カゲロウの、ショクジ風景。

この店、で、料理、ガ、食べてみたいナ!
と、その程度、に、思っていただければ・・・。

松阪牛麺 大龍軒

2010年04月02日 | 大阪
「少しだけ救われた世界。」

ヒトからワガママだといわれるヒトは、きっとそれほど悪気はないのだろう、そう思います。
自分の思い描く、良かれと思うことを、思うままに体現してみたい。
そうすることで影響を受けるのであろう身近なことに、気兼ねなどしていたら何も前には進まない。
良くなるはずの事も、何も変わらない。
少しでもより良くと思うのならば、現状に満足し、何も変わらないでいて欲しいと思う人のことを、思いやっている余裕もない。
自分の思い描くことで、少しだけでも世界が救われる、そう思えるのならば、ヒトに応援してもらえなくても、理解されずに孤独であっても、やってみる価値は、いくらかあるのではないか。

大袈裟な事でなくとも、無意識にそう思っていることって、誰にでもあるのではないでしょうか。

例えばここ、松阪牛麺 大龍軒の店主さん、きっとそのような想いに近いものを以って、彼の思い描く理想のラーメンを実現されたのであろう、そのように、想像いたします。

ラーメンに、松坂牛が載っていたとしたら・・・凄いじゃないか!
牛スジに付いている脂身の部分、あれは魚出汁に合わせると、さらに凄い旨味が出るんじゃないか。
じゃ、下に昆布も敷いてみよう!
とろろ状にすれば、そのまま残さず食べてもらえるかもしれない。
そしてそのスープに負けない麺となると、かなり強い麺でないと。
全粒粉を使った麺、あれが良いだろう。
でも、やり過ぎの麺は禁物、麺だけが浮いてしまっては意味がない。
流行のつけ麺ではなく、あくまでこれはラーメンなのだから、麺とスープ、全体のバランスが重要だ。
そして最後に、お客さん自身の手で、ひと手間かけることが出来る「何か」、それも、程良いパフォーマンスになるんじゃなかろうか。

そんな風に、彼の理想がカタチになったラーメン、それがこの松坂牛麺なのではないでしょうか。

ただ、一般的とは言い難い彼の風貌、一見して「よく食うヒトだな」という印象を、瞬時にして受けてしまうことでしょう、誰であっても。
そして、そのような彼が食べたいと思うであろう代物に出来上がっています、やはり、このラーメンも。
旨い、そして贅沢、そのことに間違いはない。
それは間違いないけれども、ひたすら重く、濃い。
食後にそう感じるであろうそのことも、まず間違いありません。

そしてあとひとつ、多くの反感を買うであろうことを承知で言わせていただきますと、例えば、同じく全粒粉を使用した、京都の地名をそのまま店名にしたラーメン屋の麺などは、個人的には、「これは、ラーメンでも蕎麦でもないよ・・・」という、釈然としない感想を抱いているというのが、正直なところなのですが、こちらの麺に関しては、「これは!ラーメンであって蕎麦でもある!」と、そのように思える、蕎麦というものに対する敬意、そして、そこはかとない優しさ、そのようなものを感じる、程好い麺なのであります。

と言いつつも、そのような直感的感想など、具体的には何のアテにもならない思い込みに過ぎないのではありましょうが。