新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

長寿の島、徳之島

2016年01月07日 | 日記

 徳之島空港のレンタカーコーナーに「○○大学陸上競技部様」「○○会社マラソン部様」といった歓迎の垂れ幕が10枚ほど並んでいた。徳之島がいまマラソン選手のメッカになりかけている。きっかけは高橋尚子さんがシドニーオリンピックまえに小出監督とともにここで練習したことを記念して、町がその練習場所を「尚子ロード」と命名したことにある。冬のこの時期でも気温は20度近く(今年は23度も)あるし、雨が少ないので冬場の合宿には絶好の条件を備えている。今回、闘牛を見にいったときには女子マラソンの福士加世子選手が来賓席に招かれていた。人口はすこしずつ減っているようだ。若い人が島から出て行く傾向にある。しかしそれを補うように、合宿などで島を訪れる若者が増えている。
 40年まえには世界最長寿の泉重千代さんが110歳をすぎてなお健在だった。お目にかかる機会はなかったが、当時タクシーの運転手がみな祝儀袋を備えていたというほど観光客が重千代さんの家を見にいきたがった。いまでは伊仙町に銅像が建ち、焼酎の名前にその名を残している。
 40年まえと比べて変わったところといえばもう一つ、山のなかに農道、林道が張りめぐらされたことがある。ハブの島として知られ、容易に藪のなかへ入れない点はいまも変わらない。だが、道路ができれば平坦な土地が利用できる。ゴルフ場が開設され、とても安く利用できる。赤土のジャガイモ畑が開墾されている。ジャガイモは2月に収穫できるので、日本本土でジャガイモが切れたころに新ジャガが供給される。
 夏の暑さは尋常ではないが、冬をのんびり過ごすにはよいところだ。




徳之島の闘牛をみた

2016年01月06日 | 日記
    
 徳之島の闘牛は、牛と牛が角突き合わせて力と技を競う。勢子がハッパをかける。
 最初の取り組みで、いっぽうの牛が横を向いてやる気がなさそうに見えた。「あれは相手牛に自分の体の大きさを見せつけて威嚇しているんです」と地元の案内人が解説してくれた。なるほど・・。しかし取り組みはあっけなく終わった。逃げた牛が負け、審判の旗が揚がった。
 2つ目の取り組みは30分以上にわたる熱闘だった。角と角をつき合わせ、力比べが延々とつづく。ときには押されて柵ぎわまで追いつめられるが、また持ちなおす。勢子がハッパをかける。牛がそれに応える。どちらの牛も大きく腹で息をしている。30分もおなじ姿勢がつづくと、観ている私も、もう引き分けでいいじゃないか、という気分になる。完全決着するまで闘わせるのがルールになっているので、司会者が拍手で決めます、と宣言する。なんと大多数が戦闘続行を支持した。島の人たちは闘牛には熱い思いをもっている。
 40年まえには野原に柵をめぐらしただけの闘牛場で観た。いまはドーム型の屋根、コンクリートの席を備えている。そして牛たちもそれなりのショーマンシップを見せるようになった。数千人の観客に観られているという意識は、牛にハッパをかける勢子たちだけでなく、牛自身にもあるようだ。40年まえにはいっぽうの牛が相手牛の腹を角で突き破る場面を観た。腹を破られた牛は怖じ気づいて、二度と試合には出られないはずだ。今回はそのような血を見る場面はなかった。
 そして勝った牛主側の喜びようはこのうえない。太鼓を打ち鳴らし、踊り狂いながら闘牛場をあとにする。「ワイド、ワイド、ワイド」と町中を練り歩く光景がむかしはあったが、今回は見かけなかった。みんなおとなしくなったか。