新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

徳之島の闘牛をみた

2016年01月06日 | 日記
    
 徳之島の闘牛は、牛と牛が角突き合わせて力と技を競う。勢子がハッパをかける。
 最初の取り組みで、いっぽうの牛が横を向いてやる気がなさそうに見えた。「あれは相手牛に自分の体の大きさを見せつけて威嚇しているんです」と地元の案内人が解説してくれた。なるほど・・。しかし取り組みはあっけなく終わった。逃げた牛が負け、審判の旗が揚がった。
 2つ目の取り組みは30分以上にわたる熱闘だった。角と角をつき合わせ、力比べが延々とつづく。ときには押されて柵ぎわまで追いつめられるが、また持ちなおす。勢子がハッパをかける。牛がそれに応える。どちらの牛も大きく腹で息をしている。30分もおなじ姿勢がつづくと、観ている私も、もう引き分けでいいじゃないか、という気分になる。完全決着するまで闘わせるのがルールになっているので、司会者が拍手で決めます、と宣言する。なんと大多数が戦闘続行を支持した。島の人たちは闘牛には熱い思いをもっている。
 40年まえには野原に柵をめぐらしただけの闘牛場で観た。いまはドーム型の屋根、コンクリートの席を備えている。そして牛たちもそれなりのショーマンシップを見せるようになった。数千人の観客に観られているという意識は、牛にハッパをかける勢子たちだけでなく、牛自身にもあるようだ。40年まえにはいっぽうの牛が相手牛の腹を角で突き破る場面を観た。腹を破られた牛は怖じ気づいて、二度と試合には出られないはずだ。今回はそのような血を見る場面はなかった。
 そして勝った牛主側の喜びようはこのうえない。太鼓を打ち鳴らし、踊り狂いながら闘牛場をあとにする。「ワイド、ワイド、ワイド」と町中を練り歩く光景がむかしはあったが、今回は見かけなかった。みんなおとなしくなったか。