新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

カモンイスが見た日本

2014年08月30日 | 日記

「ウズ・ルジーアダス」の一節を見たのは、石見銀山資料館の廊下のいちばん端だった。日本が銀を産出する国として記述されている。その後私はこの一節を、該当する詩のなかで探していた。1000連(1連は8行からなる)あまりにおよぶ長編叙事詩のなかの最後から20連ぐらいのところにこの記述があった。
 大西洋上にこしらえた「恋の浮島」の山頂で、女神テティスがヴァスコ・ダ・ガマに地球の鳥瞰図を見せながら説明している。アフリカ、中東、紅海沿岸、インドから話は地球上を東へとめぐり、その後の時代にポルトガルが布教したり、商業取引をすることになるマラッカや東シナ海沿岸の土地へとつながる。極東の国、日本はまだ半分隠れてよく分からない国として紹介される。そこに記されている日本の特徴は次の2点のみだった。純銀を産出する国であること、のちにキリスト教が入る国であることだ。中国から船を出して探し求めていくとたどり着ける国ということになっている。ザビエルが布教に来たのはこれより50年ほどあとだった。
 その前の連が中国についての記述で、北回帰線から凍土へつながる広大な敷地を誇り、北側の国との境界に長大な囲壁を築いていることが記されている。万里の長城がすでにヨーロッパにも知られていた。そしてさらに驚くことには、中国では武、文、徳に優れた人物を選んで君主にいただく文化があり、王位の世襲制が主流であるヨーロッパの国々とは異なるという記述があることだ。
 ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を発見して帰国した、すなわちこの場面の舞台になっているのが1498年、ザビエルが日本に布教に来たのが1549年、カモンイスがこの詩を出版したのが1572年だった。
 




最新の画像もっと見る

コメントを投稿