新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

百科事典を捨てる

2020年03月19日 | 日記

 暖かくなったらしたいこと、それは涼しくなったらしたいことと同じだ。いつもそう思いながら寒さがすぎると暑くなり、暑さが終わると寒くなった。暑くも寒くもない時期が短かすぎて、のらくらしているうちに時がすぎてきた。
 きょう、やっと重い腰をあげた。百科事典を捨てる。1970年代半ばに購入した平凡社の世界大百科事典全35巻。長年、書棚の最下段を占め、重石の役目をしてきた。中身を読んだことが何回あったか。いまはもう中身の鮮度でも量の面でもネット上のウィキペディアにかなわない。とっくにその役目を終えている。
 百科事典の役割とはなんだったのか。広く浅く知ることが必要だった時代の産物だったような気がする。現代用語の基礎知識が発刊されてから、新しい語句の意味用法はそれで調べるようになった。百科事典はだれもが知るべき項目についてある程度掘り下げて解説してある。かといって専門書で読むほど詳しいことは書かれていない。むしろ百科事典で一通りの知識を得たあとで、専門書へうつるのが順序だったのかもしれない、といまになって思う。
 コンマリさんによれば、モノを捨てるかとっておくかの識別基準は、心ときめくか否かだそうだ。百科事典はまったくときめかないので、捨てるのになんの躊躇もない。
 ところが、心ときめかない本類を大量に処分したことがあった。25年ほどまえだ。それからしばらくして、あれを読み返したい、これを読み直したいと思う本がいくつも出てきた。捨てなければよかった、となんども後悔している。今回もそうなるのだろうか。