新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

アフガニスタンに斜め堰をつくる

2020年03月12日 | 日記

 STさんから中村哲氏の講演記録が送られてきた。2019年9月9日、川崎でおこなわれた講演を文字に起こしたものだ。
 詳しく書けないが、アフガニスタンはもともと緑豊かな、食糧自給率100パーセント近い農業国だった。シルクロードの時代には民族の十字路と呼ばれたほどに各種民族が往来して賑わった。それがほんの4,50年ほどまえから砂漠化してしまった。年間降雨量が200ミリほどしかない。内乱につけ込んだソ連が9万人もの部隊を送り込んでき、内乱は9年つづく。2000年には大干ばつ、2001年世界同時テロが起こるや、アフガニスタンが狙い撃ちされ、多くの民間人が犠牲になる。2000年ごろから地下水が減ってきて、大河川から水を引かないと農業生産が取りもどせなくなる。
 中村氏は、生まれ育った九州、筑後川の斜め堰を思い出す。金網でつくった籠に石をつめ、その籠を川に並べていくことで川の流れを弱め、そこから農業用水を採取する。さらにそこへ柳の木を植える。柳の根が伸び、石の隙間に入り込んで、金網が朽ちたあとも石を頑丈に固定してくれる。コンクリートブロックを使うより安上がりで、環境への負荷も少ない。
 中村氏はその3か月後、ジャララバードで凶弾に倒れる。おそらくこれが日本での最後の講演だっただろう。

 なお冒頭のSTさんは元炭遊舎代表のことで、まもなく81歳、車を手放し、毎日5000から1万歩を歩いているとのことです。「かわせみだより」の最新号も同封されていました。