新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

アベノミクスは是か非か

2018年10月15日 | 日記

 安倍首相が来年10月からの消費税引き上げを正式に表明するらしい。8パーセントを10パーセントに上げたところで、財政再建には焼け石に水であることは経済学者たちの一致した見解のようだ。将来もっと税率を上げる必要があるだろう。しかし税率を上げてばかりでは自民党内閣がもたない。食品には軽減税率を適用しようとか、さまざまな人気挽回策を同時に講じていくのだろう。
「アベノミクスによろしく」の著者、明石順平さんがラジオで話していた内容が、頭にこびりついている。日本経済はそのうち破綻するかもしれない。ギリシャやベネズエラのようになるかもしれない。ベネズエラでは年に一千万パーセントのインフレが起きた。貨幣価値が1年で千万分の一に下がったわけだ。これが日本で起これば、1千万円の預金が1年後には1円の価値しかなくなる。銀行預金もタンス預金もおなじことで、貨幣の価値自体が下落する。
 そうなるかもしれない根拠は、国の借金にある。いま日本国が抱える借金の総額は刻一刻と増えており、1100兆円を超える。国民で頭割りすると一軒あたり2080万円になる、と財部誠一氏がネット上の「日本の借金時計」で明らかにしてくれている。
「アベノミクスによろしく」(インターナショナル新書)を読んでみた。経済オンチな私でも、この国が危険な状況にあることは読みとれた。政府は国債を民間銀行に買わせておいて、日銀がそれを買いとる。政府はまたあらたに国債を発行し、民間銀行に買わせる。日銀がそれを買いとる。こうして日銀が紙幣を増刷し、民間に紙幣を垂れ流しつづけることで政策的インフレを起こそうとしている。だがインフレ目標2パーセントがいまだに達成できていない。
 景気浮揚策をとり続けることで、どうにか景気を保っているが、安倍氏以外の人が首相の座について、景気浮揚策を捨て、財政再建一本やりの政策に転じることに対しても、明石順平氏は危惧している。アベノミクスを肯定もしないし否定もしていないことは「アベノミクスによろしく」という書名にも現れている。日本の財政状態はにっちもさっちもいかないところまで来ていると主張する。
「久米宏、ラジオなんですけど」に出演したときの明石氏の発言は、いまひとつ歯切れが悪かった。国の財政破綻が起こると、まずは円が暴落し、株価も同時に暴落する。銀行預金も現金も価値がいっきに下がる。このようなことが起こるとしたら、時期はたぶん東京オリンピックのあとだろうという。しかし起こらないかもしれないとも・・。景気引き締め策をとっても経済は悪化するし、景気浮揚策はいまだに成功していない。だいたいインフレが起これば、一般の人の財産が目減りする代わりに、国の借金も目減りする。つまり財政再建のためには国として、ある程度の物価上昇が必要なのだ。借金をまともに返すことより、借金の額を目減りさせていくことを政府は選んでいる。
 話を個人に戻そう。悪性のインフレが生じて、貨幣価値がいっきに下落すると、銀行預金としてもっているお金の価値がいっきに下がってしまう。貴金属や不動産に替えておけば、インフレによる損失を最小限にくいとめられるだろうか。