新・日曜炭焼き人の日記

炭遊舎のホームページで書いていた「日曜炭焼き人の日記」を引きついで書いていきます。

Nickel and Dimed

2014年05月12日 | 日記


Nickel and Dimedはペーパーバックの書名。アメリカ貧困層の絶望的な状況を描き出している。PhDの学位をもつ50歳ぐらいの女性ライターが、この本を書くために3つの仕事を体験する。フロリダのレストランでウェイトレスをし、メイン州では掃除婦として働く。ミネソタではスーパーマーケットの店員をする。いずれも時給600円から700円程度。トイレに行く時間さえも上司にみはられている。この賃金でどうにか日々の食料は購入できるが、住む場所を確保するだけの余裕がない。多くの同僚はヴァンで生活したり、アパートをシェアしたり、パ-トナーと同居してしのいでいる。2つ以上の仕事をかけもちしてこなしている人がいる。働いても働いても生活に余裕はできない。最下層20パーセントに属する人たちの悲哀を体験している。
 堤未果「貧困大国アメリカ」(岩波新書)とその続編はその構造的要因を解明している。一握りの大企業がオバマ政権を動かし、世界を牛耳ろうとしているようだ。TPP交渉などを見ていると、アメリカの大企業を利する方向へしかいかないし、そこへ日本の大企業も乗っかろうとしているかのように見えてくる。
 ニッケルは5セント硬貨、ダイムは10セント硬貨を意味する。書名「Nickel and Dimed」については、そこから想像力をはたかせて意味を考えてみてほしい。