韓国語を学び始めた日本人が、必ず驚かされることがあります。
韓国人の敬語の使い方です。
韓国語は、世界で最も敬語法が複雑に発達した言葉だと言われています。
それゆえに、敬語の使い方をマスターすれば、それだけ相手とのコミュニケーションが円滑に進みます。
その敬語の代表例が家族内の呼称です。
そこには、韓国の社会構造の基本を家(一族)とし、数世代がともに暮らしていたかっての大家族制度が大きく関係しています。
父の兄弟まで含めた何世帯もの家族が、人間関係の秩序を円滑に構築、維持するには、年齢と世代を基準にして細分化された揺るぎない絶対的な呼称が必要でした。
それによって一族内の各自の地位を明確にしていたのであります。
日本の敬語法が社会の中での位置を示すための、いわゆる相対敬語なのに対して、あくまで家(一族)を重要視する韓国では、「父親が一番偉い」という「家の論理」を社会に拡散させたために「絶対敬語」が存在します。
日本お家の中では「お父様」だが、外の社会では「父」になります。
しかし韓国では、父親は外の社会でも「お父様」なのです。
これは社会構造の基本があくまで家(一族)にあることを示しています。
そんな社会認識の国では、外部との会話で「家の父(オヤジ)が◯◯と話していました」などと言おうものなら、これは親不孝の極みであり、礼儀知らずとして信用を落とします。
こういうときは「家のお父様におかれましては◯◯とおっしゃっていました」と話すべきなのです。