ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

海外の試合結果

2007年08月11日 | 海外試合(その他)
以前に「メキシコvsタイ」で争われた「ボクシングの
ワールドカップ」の第2回大会が行われた。今回は
「メキシコvsフィリピン」だったのだが、何と
フィリピン勢が5対1で圧勝。今や世界的な
スーパースターであるマニー・パッキャオを
筆頭に、フィリピン選手の躍進は実に目ざましい。


その中には、WBOの世界戦2つも組み込まれていた。

メインのスーパー・バンタム級タイトルマッチでは、
王者ダニエル・ポンセ・デ・レオンが期待の新鋭レイ・
バウティスタをわずか1ラウンドでTKOに下して
5度目の防衛に成功するとともに、ここまで全敗を
喫していたメキシコ勢に、貴重な1勝を与えた。


バウティスタの惨敗も意外だったが、何より驚いたのが
ジェリー・ペニャロサ。元WBC世界スーパー・フライ級
王者のペニャロサが、実に10年振りに王座獲得、2階級
制覇を達成したのだ。

川島郭志、山口圭司、徳山昌守といった日本が誇るテクニシャン
たちとの対戦で馴染み深いペニャロサ。既に35歳になったが、
今年3月、前述のポンセ・デ・レオンと接戦を演じ、その技術に
錆び付きがないことを証明。そして今回、強打者として人気のある
WBO世界バンタム級王者ジョニー・ゴンサレスをボディブローで
KOし、ついに再び世界の頂点に立った。


パッキャオのようなスター、バウティスタやZ・ゴーレスと
いったホープ、そしてベテランのペニャロサも頑張っている。
しばしば日本選手を苦しめる「無名の強豪」たちも含め、
現在のフィリピンの選手層には底知れないものがある。

西岡利晃vsハビエル・ソテロ

2007年08月11日 | 国内試合(その他)
会場はガラガラ。かつて4度も世界に挑んだ選手の試合としては、
非常に寂しい客の入りだ。


1ラウンド、早々とダウンを奪った西岡。いつもの西岡よりも、
距離がやや接近している。ダウンを取ったのは、西岡の主武器として
お馴染みの左ストレートではなく、コンパクトな左フックだった。
以前のようなフットワークのキレこそやや失われたものの
力強さは増していて、ここ数年で戦い方を変えてきているのが分かる。

このまま早いラウンドで終わるかと思いきや、ここからソテロが
巧さを発揮する。頻繁にスイッチを繰り返し、西岡を撹乱。
その中で危険な右ストレートが一発ヒット。思わずクリンチする西岡。
これは容易ならざる相手のようだ。

最初は戸惑っていた西岡だが、5ラウンドに入る頃にはソテロの
動きが読めてきたようだ。この辺りはさすがである。

この日に備え、西岡は接近戦の練習をよくしてきたという。
サウスポーだろうとオーソドックスだろうと、接近してしまえば
それほど違いはない。そういったことから、このソテロ相手には
接近戦に活路を見出すのが得策かと思われたが、西岡は必ずしも
接近戦にこだわらないようだ。もちろん接近してのボディ連打なども
あるが、中間距離でも打ち勝とうという意思が見えた。

第6ラウンド序盤に再三見せた、左ボディストレートを打って
素早くスウェーバックし、ソテロの反撃をかわすという動きは
出色だった。もうソテロの動きは完全に把握したようだ。

そしてこのラウンド終盤、またしても左フックをきっかけに
迫力の連打。ここで目の上をカットするトラブルがあり、試合は
一時中断されたが、再開直後、豪快な左ストレートで2度目の
ダウンを奪う。ここはゴングに救われたソテロだが、フィニッシュは
もう間近であることは誰の目にも明らかだ。

第7ラウンド。開始早々、左ストレートで3度目のダウン。
何とか立ち上がったソテロだが、10カウントが数えられるまでに
明確な続行の意思を示すことが出来なかった。


ヒヤリとした場面もあったが、終わってみれば西岡が強さを
見せつける内容となった。バンタム級時代は線の細さも感じさせた
西岡だが、スーパー・バンタム級におけるパワーアップの作業は
完成に近づいているようだ。

その分、危険な距離で打ち合う機会が増えたことは不安材料では
あるのだが、攻めきれずに大魚を逃した過去の反省をふまえ、
西岡なりに考えた上で現在のスタイルがあるのだろう。

スーパー・バンタム級の世界王者は、WBAがセレスティーノ・
カバジェロ、WBCがイスラエル・バスケス。いずれも強豪だ。
当然、分が悪いことを承知で挑まなければならない相手である。
これらの強者を向こうに回し、果たして西岡はどのような戦いを
見せるのだろうか。

評価を落としたかつてのホープが、こんなガラガラの会場から
這い上がり、もし世界を掴むようなことがあったら・・・
それは非常にドラマチックな話である。