ボクシングレヴュー

「TM」はタイトルマッチ、階級名につく「S」はスーパー、「L」はライトの略です。

明日再戦、長谷川vsウィラポン

2006年03月24日 | 国内試合(世界タイトル)
いよいよ明日に迫ったWBC世界バンタム級タイトルマッチ。
長谷川穂積とウィラポン・ナコンルアンプロモーションが、
立場を入れ替えて再戦する。

各ボクシングサイトやブログなどでも試合の予想が出揃ってきている
ようだが、正直言うと僕の予想は「分からない」である。


前回の両者の対戦は昨年4月。それまで14度もの防衛を果たしてきた
絶対王者ウィラポンだが、調整に失敗したのか年齢による衰えなのか
動きが鈍く、若き挑戦者・長谷川のスピードと気迫の前に敗れ去った。

その後ウィラポンは再起し5戦全勝。長谷川へのリベンジを意識し、
サウスポーとの対戦が多かったという。王座返り咲きにかける
執念は本物のようだ。問題はコンディションである。もし前回の敗戦が
単なる体調不良によるものだったとしても、37歳になった彼に
これ以上の体力的上積みは期待できない。

一方、前回とは逆に有利の予想を立てられた長谷川だが、そういった
世間の声とは裏腹に、ベルト奪回にかけるウィラポンの執念に対して
警戒感を示し、「前回よりも勝てる確率は低い」とまで言っている。
本人の中では、あの勝利はウィラポンの不調や油断によるものだという
認識があるのかもしれない。


そういった様々な要素を考えると、この試合の予想は非常に立てにくいのだ。
ウィラポンのコンディションはどうか、あるいはどんな作戦で来るのか。
技術的な引き出しの多い両者であるから、お互いの出方次第で戦い方も変わって
くるだろう。つまり、前回と同じような展開になるとは言い切れないのである。

焦点の一つは、ウィラポンが長谷川のスピードにどこまで対応できるか、と
いうことだ。反応速度の鈍ってきたボクサーにとって、スピードは最も
やっかいな敵である。もしウィラポンが明らかな「衰え」を晒してしまう
ようなら、ほぼ一方的に長谷川が試合を牛耳ることになるだろう。
最近は攻撃力もアップしてきている長谷川である。そうなればKO防衛の
可能性も膨らんでくる。

逆に、ウィラポンが良いコンディションを整えてきた場合、あるいは衰えを
カバーするだけの気力を見せることが出来た場合は、持ち前の老獪さを駆使して
長谷川の動きを封じる展開になるかもしれない。また、基本的には「手堅い
ボクサー」という認識のあるウィラポンだが、荒々しい攻めも不得手ではない。
かつて辰吉丈一郎を2度もKOしたように、攻撃力だって決して軽視できないのだ。


答えの出ない「試合予想」だけでここまで書いてきてしまったが、つまりは
それだけ楽しみな試合だということである。今はただ、ドキドキしながら
ゴングが鳴るのを待つばかりだ。