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書籍名:殺人犯はそこにいる~隠蔽された北関東連続幼女殺人事件~
著者名:清水 潔
出版社:新潮文庫
発刊日:2013年(単行本)、2016年(文庫化)
価 格:750円プラス税
ページ:509
内 容:骨太ジャーナリストによる未解決事件、菅家さんは冤罪だった。北関東幼女殺人事件の真犯人を追うドキュメント。事実情報を丹念に集める姿勢が胸を熱くする。読みやすい。「プロの捜査に疑問を呈するならば、彼らを上回る取材をしなければだめだ。」DNA”型”鑑定はそんなに信用していいものなのか?「根拠と結論が逆転している」には大きくうなづけた。普通は悲しみのどん底の過去をほじくられたくない関係者へ取材のための過細い線を手繰り寄せるために丹念に丁寧に取材を重ねていく。
しかし、間違いを認めない(それどころか隠そうとする力学が働く)組織体、警察・検察、あるいは国家とはやはり想像の共同体でしかない???のだろうか。国家の威信とやらも想像の産物でしかないはずだが。
小さな声にこそ、耳を傾けるべき。という言葉は印象に残った。
p450
「そもそも報道とは何のために存在するのかー。~行うべきことは、なんとかその魂に寄り添って、小さな声をきき、伝えることなのではないか。
権力や肩書付きの怒声など、放っておいても響き渡る。だが、小さなことは違う。国家や世間へは届かない。その架け橋になることこそが報道の使命なのかもしれない、と」
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