中国の内陸部での緑化協力にかかわる報告です。
続々・黄土高原レポート
905話)水土流失


犠牲者がでたり、家屋が倒壊したり、というほど劇的な被害でなくても、雨が引き起こす問題は大きいのです。年間降水量は平均400mmなんですけど、その3分の2以上が6月半ばからの3か月に集中します。そしてひどいときは、狭い範囲に短時間、集中的に降り、1時間に70mmを超すことがあります。ゲリラ豪雨という名称はここの雨にこそふさわしい。
植生の貧しい黄土高原にそのような雨が降ると、表土が流されてしまいます。雨水もそこに止まることがありません。中国ではそれを「水土流失」といいます。写真のような侵食谷=ガリはその結果です。それがつづくと、土地が劣化し、作物や植物が育たなくなります。これが黄土高原の砂漠化なんですね。皮肉なことに雨が砂漠化を加速しているわけです。
少し前の数字ですけど、中国の発表では中国第2の大河、黄河が1年間に運び出した土の量は16億tで、その8割が黄土高原の土なのだそうです。その土で幅1m、高さ1mの堤防を築くと、長さはどれだけになるか?
答えを書くと、だいたい108万kmほどになり、赤道を27周もすることになります。黄土高原の緑化の最大の目的は水土流失の軽減にあるわけです。それが砂漠化防止にもつながるわけですね。
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