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911話)井戸掘りに協力

広霊県苑西庄村は高所の村です。もともとこの村には20本ほどの井戸があったそうです。スコップとバケツで掘った井戸で、深さは30mほど。私が最初に訪れた1996年には、その大部分が涸れ、水の出る井戸は4本だけで、1日にバケツ100杯しか汲めませんでした。住民は150人ほどでしたから、私が「1人あたりバケツ3分の2杯の水で生活しているんだ?」というと、「そうじゃない、家畜もいる」という返事が返ってきました。

1997年に、テレビ朝日のクルーが取材に入りました。その準備がたいへんだったんですけど、はしょります。一軒の農家のオンドルにクルーと私の4人で泊り込みました。主人が朝早く、村内の井戸に水を汲みに行きます。ツルベで汲むので、順番が遅れると水が濁り、ときには水がなくなることもあります。クルーはそのようすを撮影に行きました。

洗面器の底にちょびっとだけ水をもらい、4人が交替で顔を洗いました。洗うというより、湿らす程度のことです。最後の私が残った水を庭に撒こうと思って、外にでました。意図を察して、主人が手を振って止めました。止められなくてもわかったのは、私がでたとたんに、飼われているヒツジやニワトリが大騒ぎをはじめたからです。洗い物をしたあとの水は、家畜の飲み水です。

「素敵な宇宙船地球号」の番組として放映され、大きな反響がありました。井戸を掘るための寄付金が集まったのです。この村で井戸を掘りました。通水式で1人の老人が私の手を握って話しません。そして大声で泣きだしたのです。「もらい水の歴史に終止符が打たれた」といって。
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