788話)植えるまえの整地作業

 マツの苗を植えるまえの整地作業です。たいていは前年の7~9月、雨のふる時期におこないます。なぜか? あの黄土、春先の雨のふらない時期はカチンカチンに乾いていて、スコップの刃も立たないくらい。すこしでも水がはいると、とろとろになります。春に穴を掘って、苗を植えようとしても、能率があがりません。雨期に整地をし、土を和らげておくから、春先、効率よく苗を植えることができるわけです。

 ゆるやかな斜面の場合は、等高線に沿って、3m間隔くらいで、幅60cm、深さ30㎝くらいの溝を掘り、掘った土を溝の下手に積んで、土手をつくります。マツの苗は、その溝の底に、溝と土手とがつくる壁に沿わせて、だいたい1m間隔で植えます。そうすると、1haあたり、3300本。日本でいうところの坪植えですね。

 ただの斜面だったら、雨が降ると、それが暴走して、土を流します。ところがこうやって整地がしてあると、溝と溝とにはさまれた区間に降った雨は、下手の溝に集まり、そこの土に浸透します。3mごとに分断されると、暴走することはないんですね。

 9月になると、気温は急に下がり、10月も後半になると、氷点下です。土のなかの水分は凍結して、そのまま保存されます。翌春、苗を植えるころに凍結が融けて水になり、苗木を育てるわけですね。春の雨は油より貴重だといわれるくらい、春は雨が少ないんですけど、不足する雨を前年夏の雨で補うわけです。おもしろいでしょ。
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