785話)水汲み

 力仕事のなかでも、もっともたいへんなのが水汲みだと思います。水不足の村にもいろんなタイプがあります。たとえば、広霊県の苑西庄村では、1997年当時、水のでる井戸は村のなかに4つでした。合計で1日にバケツ100杯くらいをくみ上げることができます。村人の数は150人。

あるじたちは、朝まだ暗いうちに、井戸にきて順番を待ちます。ツルベを落として汲むんですけど、あとになるほど水が濁ります。さらに遅れると、翌日まで待たないといけません。でも、ここの井戸は村のなかにあり、ほぼ平らな道を天秤棒で担ぎます。

渾源県の二嶺村はもうちょっとしんどかった。井戸は村に近い浸食谷の底にありました。いちばん近い家からでも900mほどあります。往路はいいんですよ。バケツは空っぽだし、下り坂です。帰りは、前後2つのバケツを水でいっぱいにし、かなりきつい上り坂。朝の早い時間でも、みんな汗だくになっていました。これもみな、男のしごと。

何時間もかかる家があったんですね。で、私が「え~っ、水汲みだけにそんなに時間をかけるの!」といって驚くと、「生きていくうえでいちばん大切なことに時間をかけるのがどうしておかしい」と言われました。そのとおりです。私なんかのほうが、どうでもいいことに、時間をかけているようです。
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