はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

六花の勇者(2)

2012-07-16 15:07:25 | 小説
六花の勇者 2 (六花の勇者シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
クリエーター情報なし
集英社


「六花の勇者(2)」山形石雄

 魔神を倒すべく選ばれた6人には、それぞれの体に6枚の花弁が、勇者の証が現れるという。
「7人」揃ってしまった勇者一行の中に、誰か1人、裏切り者がいる……。
 自称・地上最強の男・アドレットは、疑心暗鬼に陥った7人の中、自身が最有力候補として何度も殺されかけながら知略智謀を張り巡らせて裏切り者をいぶり出すことに成功した。殺すことはできず、追い払うだけだったが、なんとか魔神との戦いに集中できるようになった。
 ……のだが、アドレットたちの前に、「もう1人」の勇者が現れた。彼女の名はロロニア。山の聖者モーラが認め、アドレット自身にとってもなじみ深い少女だった。
 前回の戦いでアドレットに信を抱き始めた一行は、彼の頭脳に期待を寄せる。今度もまた、見事に事態を解決してくれるのではないかと。
 が、そううまくは運ばない。時同じくして一行の前に現れた凶魔テグネアは奸智に長け、一行との死闘の最中にも巧みに裏切り者の存在を匂わせる。焦りと不安から行動がバラバラになり始めた一行は、さらなる窮地へと追い込まれていき……。

 練り込まれたミステリパートは好評だった前作と比べてもなんら遜色のない出来。ストーリーテリングも相変わらずの絶妙な力加減で、最後まで安心してジェットコースターに乗れた。
 とくに良かったのは人間関係。アドレットのことをすっかり意識するようになり、なんと嫉妬までみせるようになったフレミーや、わがままな中にも落ち着きを見せるようになったチャモ。ワンアクションでアドレットと絶妙のコンビネーションを見せるようになったハンスなど、それぞれの個性に合わせた距離の詰まり方が愛おしかった。
 まだまだ伏線もあり、疑問も多い一行が、敵地まっただ中で今後どのような戦いを繰り広げていくか、楽しみでならない。
 

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