はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

僕は友達が少ない(8)

2012-07-11 20:33:04 | 小説
僕は友達が少ない 8 (文庫J)
クリエーター情報なし
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「僕は友達が少ない(8)」平坂読

 学園祭もいよいよ本番。紆余曲折の末に自主製作映画を上映することになった隣人部の面々は、しかし編集その他一切合財を任せていた理科が倒れたことで、上映中止を余儀なくされる。なんだかんだで力を傾けていただけあって、拳の振り下ろしどころに困った面々は、しかたなくいつもの日常に戻るしかなかった。
 しかし、破滅の時はすぐそこまで迫っていた。ふとした拍子に、なんの気なしに漏れ出た星奈の本音という名の爆弾は、よりにもよって隣人部勢揃いの中でさく裂し、そしてそして、当事者の小鷹は、情けなくも逃亡したのだった……。

 大人気シリーズもいよいよ佳境。
 だけあって、作者の力の入り具合もいつもと違う。
 今回は理科回だった。いままで縁の下の力持ち的存在だった理科が、初めて本性を現した。ヘタレて逃げ惑う小鷹を追い詰め、真正面から本音をぶつけ合ったクライマックスシーンは、ここ最近のライトノベルで見たことのない、切実で真剣で、青春な1シーンだった。ヒロインとして、もしくは友達として、理科はその一瞬、星奈も夜空もたどり着けない高みへと到達した。BL好き……なだけじゃない本当の彼女の姿はたまらなく魅力的だった。
 どんでん返し、あるぞ!
 たぶん読者の誰しもがそう思ったはず。
 このあと星奈回、夜空回が当然控えているだろうけども、これを超えるほどのインパクトを残せるかどうか。メインヒロインズをしてそう思わせるだけの説得力があった。
 ギャグパートも申し分ない出来。「DX友達作りゲーム」の鬼畜設定と、タイトルとは裏腹の友達破壊度には、思わずニヤニヤさせられた。
 次が本当に楽しみ。もはや開き直るしかない小鷹にも期待しているのだが、恐ろしいのはいまだに彼の本命が見えないこと。ここまできて、なし崩しなハーレムエンドだけはやめてほしい。平坂さん、信じてまっせ!

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