丘ルトロジック4 風景男のデカダンス (角川スニーカー文庫) | |
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「丘ルトロジック4 風景男のデカダンス」耳目口司
最終巻……だと?
作者の卒業(大学生だったようで)に合わせてキリのいいところで打ち切りってあたりが真相だと思うんだけどどうだろう。読み手を選ぶもんね、この作品。
今まで謎ばかりだった沈丁花の目的は、彼女の愛した神秘世界や奇跡やそれによって引き起こされる感動を衆目に知らしめることだったのだ! どどん!
いやまあそれはいいんですけど、そのための手段がちょっと……ねえなにこれ。ただのテロ……いや集団自殺か?
とにかくすさまじく斜め上をいってた。世に未曾有のカオスを巻き起こし、そこに神秘やらなんやらいう怪しげな要素をぶち込んでかきまわして煽ってクラッシュさせた。沈丁花の子供じみた妄想のせいで、けが人だけでなくリアルに死人まで出てた。咲丘たちも殺されかけた。
フォローしようがないほどにひどかった。ラノベだってやっていいことと悪いことがあるんじゃないだろうか。これにノレってのは無理がある。僕らは戦争を知らない子ども達かもしれないけど、でも9.11は知ってるんだぜ? フィクションの世界に道理常識を持ち込んでもしょうがないとはいっても、これはさすがに誰の共感も得られないだろ……。
これでは咲丘がかわいそう。彼の沈丁花への想いはたった数日にして木端微塵に打ち砕かれてしまった。好きになった人がこんな化け物だったなんて、ねえ。咲丘自身も変態だけど、にしてもなあ……。
江西陀さんが救いの愛の手を差し伸べてくれてよかった。エピローグでほっとできた。この作品の良さは、やはり最初から最後まで江西陀さんだった。彼女と咲丘との掛け合いがあったからこそ読みきれた。
日常パートのお話は大好きなので、次回作があるとしたら、頼むからもうすこしおとなしめなのにしてください。
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