はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

武士道シックスティーン

2008-05-14 20:58:58 | 小説
 過日、オフ会にてI君とK君に再会した。ほぼ同時期にFF11を始めた同郷の彼らは、4年という歳月を経て見違えるように成長していた。若さとは時に頑なで険のあるものだが、彼らの放り込まれた社会が適度に角を取り、丸みを帯びた魅力ある若者へと変貌させていた。
 その姿に過分に喜ぶ自分に驚いた。人の成長が、これほど心を揺さぶるものだとは思わなかった。
 
「武士道シックスティーン」誉田哲也

 伝説の剣豪・新免武蔵を師と仰ぎ、五輪書を読みながらの筋トレを欠かさない、現代の武士を志す女子中学生・磯山香織は、全中2位を誇る剣道エリート。しかしなんの気なしに出場した市民剣道大会で、不思議な中段を使う甲本早苗の前に敗れる。
 内心侮っていた大会だけに、敗戦のショックは大きかった。あまりの悔しさに、磯山は他校からの高校推薦をすべて蹴り、甲本のいると思われる東松高校への進学を決めた。奇しくも、同校には兄を剣道部退部まで追い込んだ仇・岡巧も在籍している。
 敵をまとめてなぎ倒してやると鼻息も荒く高校生活をスタートさせた磯山。しかしライバル甲本(旧姓で、現在は西荻)は日舞出身の驚くほど波のある選手で、勝利への執着も薄い。あっさりとリベンジは果たしたものの、手応えがなさすぎる。
 あの日敗れた西荻は、けっしてこんなものではなかった。こいつには、まだまだ底がある。見せていない地力がある。
 膨れあがったライバル幻想を信じる磯山は、西荻につきまとい彼女の成長を促す。それは、まっすぐ進むことしか知らない磯山らしく頑なで、コミュニケーションなど意にも介さない乱暴なものだった……。

 ガール・ミーツ・ガール。反発しながらも引かれ合う2人の出会いと成長を描いた青春チャンバラストーリー。
 ミシェル・ロドリゲスを彷彿とさせる三白眼の女・磯山と、おっとりとして女の子らしい西荻の対比が面白い。
 とくに磯山。この成分の99%がツンでできている女が、残りの1%のデレに目覚める瞬間が可愛すぎる。といっても男関係ではなく西荻との友情なのだが、剣道を通して認め合い心交し合う仲になった2人がまぶしすぎて悶えた。
 武道のモットーは精神の修養と人格の形成にありとはよくいったもの。勝敗を超えたところにある何かを見つけた彼女らの姿が清々しく、ついつい、自分に娘がいたらなーなんてことを考えてしまった。

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