はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

しをんのしおり

2007-10-13 21:10:47 | 小説
「しをんのしおり」三浦しをん
 
 三年前に教習所を卒業していらい車を運転すること数回、好物は残り物をぶちこんで作るお好み焼き、趣味はできるだけ動かずにじっとしていること。銀行の預金残高を鑑みずにすぐに服を欲しがり、ふだんは日光浴中のトドのごとき緩慢な動きしかせぬのに、突如として追っかけツアーに出かけたりするダメ人間まっしぐらの三浦しをん。直木賞受賞作家の手による爆笑エッセイ。
 脳内で作る理想学園、通りすがりのフランス料理店の厨房における恋の鞘当(全員男)、京は哲学の道で結成された超戦隊ボンサイダー(全員男)。彼女は日常の中で本当に呼吸するように妄想する。付き合っている友達がほぼ100%(そういう人しか話題に登らないからか)変人のため、右脳の働きはとどまるところを知らない。何を見ても「あれはきっと○○なのよ」「そりゃひどいやつだね」なんて勝手に盛り上がれる日常は、うらやましくはないけど楽しそう。
 とくにたいした題材でなくても面白いものを書ける人がいる。読んでいるだけで笑えるような、読者を包む笑気のようなものを持つ人がいる。三浦しをんはそんな力を備えた稀有な作家だ。「風が強く吹いている」など感動のスポ根物とはまた方向性の異なる彼女の才能を、余すところなく味わっていただきたい。

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1 コメント

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Unknown (藍色)
2009-09-22 15:38:38
読んでいてパワーがあふれていました。
トラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
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