はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

七花、時跳び!

2010-07-23 08:01:01 | 小説
七花、時跳び!―Time‐Travel at the After School (電撃文庫)
久住 四季
アスキーメディアワークス

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「七花、時跳び!」久住四季

 未来研究会の部員・柊は、退屈だった。変わり映えのしない日常と、希望のない未来を思って憂鬱だった。そんな柊に、ある日転機が訪れる。後輩の七花が、いきなりタイムトラベルができるようになっていたのだ。
 七花の能力に乗っかって様々な時間に跳ぶ柊は、そのあまりの面白さに、非日常に、大盛り上がり。ハイテンションで七花を引きずり回す。
 彼らの跳ぶ時間は、そんなに大それた過去や未来じゃない。歴史上の出来事を体験したいわけでも発展した未来都市を見たいわけでもない。せいぜいが、3分後の未来でカップラーメンを食べるとか、無くなったケーキを食べた犯人を捜して昨日へ跳ぶとかその程度のかわいいもの。
 だけど、腐ってもタイムトラベルはタイムトラベル。2人の前には大いなるパラドックスが横たわっていて……。

 タイトルそのまま、タイムトラベルもの。
 最初は主人公が好きになれなかった。七花のいうことを聞かず、自分勝手に振り回して自分だけ楽しんで。でも、読むにつれてだんだんと主人公のことがわかってきた。つまらない日常に膿んでいた少年が、七花との時間旅行を経て変わっていくのが好ましく思えた。
 それに、もし自分が同じ立場になったとしたら、けっこう同じような行動をとるかもしれない。過去や未来の自分を見て、にやにやするかもしれない。未来や過去の彼女と出会い、胸を熱くさせるかもしれない。理性も理屈も吹き飛ぶような、それは大きな感動に違いないのだから。
 非日常との邂逅がもたらす衝撃。大人の七花さんのかわいさ。おすすめです。

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