![]() | 格闘する者に○ (新潮文庫)三浦 しをん新潮社このアイテムの詳細を見る |
そろそろここを出ねばならぬ。
今日は5時間で18冊の漫画を読んだ。まずまずのペースと言えよう。
「格闘する者に○」三浦しをん
およそ就活中とは思えぬモノローグとともに登場するのは、漫画と小説が何より好きな女子大生・藤崎可南子。一流の大学に入り一流の家格の出自の彼女は、しかし社会人への第一歩を踏み出せぬまま、今日も満喫に入り浸る。
公園で時間を潰すリストラサラリーマンのような日々を送る彼女の周りには、これまたおかしな人々ばかりが集う。ホモ、アーパー女子大生、お見合い連敗記録更新中の喫茶のマスター、脚フェチの老書道家、わけアリの家族たち。
「まっとう」とはほど遠い、妄想全開のモラトリアム少女は、人情の機微の混沌の中で、行き先も定めぬままに、えっちらおっちらスタートを切ったのだが……。
三浦しをんのデビュー作。青春就活小説。
もちろんまともではない(褒めてる)。
美脚ぐらいしか取り柄のない少女が脚フェチの老人と恋愛したり、メインのくせに就活がいまいち盛り上がらなかったり、とある問題の解決方法が唐突すぎたり、問題は山積みなのだが、不思議と最後までつっかからずに読めた。
それは機知に富んだ一人称のおかげでもあるが、一番はキャラクター性の勝利だろう。本が大好きでひきこもり気味の藤崎可南子が、狭く偏った人間関係の中で溺れるようにもがきながら成長していく様が魅力的で、一気に読みきってしまった。
ダメ人間なりの社会人への第一歩。背中をどやしつけるのではなく、そっと見守ってあげてください。
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