はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

相棒~警視庁ふたりだけの特命係~

2007-12-12 08:58:02 | 小説
相棒 警視庁ふたりだけの特命係 (朝日文庫 い 68-1) (朝日文庫 い 68-1)
輿水 泰弘/碇 卯人
朝日新聞社

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 亀山薫は途方に暮れていた。
 首筋にはトカレフ。周囲には機動隊員、同僚の刑事連中、マスコミ、物見高く集まった野次馬たち。指名手配の凶悪犯に逆に捕まり、人質にされるとはあまりにも不甲斐なく情けなく、かといって暴れるには危険を伴う。一触即発のところへ、一本の電話がかかった。薫の上着の内ポケットで音をたてる携帯電話。それがすべての始まりだった……。

「相棒~警視庁ふたりだけの特命係~」脚本:輿水泰弘 ノベライズ:碇卯人
 
 シーズン6始動に映画化決定。「はぐれ刑事純情派」の後釜としていまや不動の地位を築きつつある刑事ドラマ「相棒」満を持しての(?)ノベライズ。
 公衆の面前で刑事としてあるまじき醜態を晒した薫は、生活安全部の特命係という聞いたこともないような部署に左遷された。他の課からの厄介事を押し付けられる便利屋ポストを管理しているのは上司の杉下右京ただひとり。しかもこいつが折り紙付きの変人で……。
 上等の仕立てだと一目でわかるスーツのポケットからポケットチーフをのぞかせ、折り目のついたズボンをサスペンダーで吊るした英国紳士風の杉下右京は、慇懃無礼な物腰で正論ばかり吐き、警視庁の縦社会になじめず島流しにあい、以来一匹狼を気取るという筋金入り。ガチガチの体育会系の薫とは真逆の人間だが、犯罪を憎む熱い魂だけは変わらない。
 怜悧な頭脳と偏執的な熱意で事件に迫る右京。暴走する肉体と情熱だけで捜査する薫。二人の異なる警察官が絶妙のバランスで混合され、特命係は数々の難事件を解決していくことになるのだが……。
 
 本書はまだ、二人の出会いと始まったばかりのぎこちない二人三脚を描いているのみだ。
 薫の恋人・新聞記者の美和子、楚々とした料亭のおかみにして右京の元妻・たまき、「特命係の亀山ぁ」の捜査一課・伊丹、「暇か?」の薬物対策課・角田、アキバ系の鑑識課・米沢。個性豊かな面々に囲まれ、さらには杉下右京なんていう素晴らしいキャラがいるのにも関わらず、どうにも小粒なノベライズ。各方面に配慮し、ドラマから離れぬようにとの気遣いのせいか、文章が平坦でおとなしくつまらない。正直読みながら何度も挫折しそうになった。よっぽどのファン向けの一冊、としておきたい。

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