はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

ブラッディ・マンデイ③

2007-12-14 21:11:51 | マンガ
BLOODY MONDAY 3 (3) (少年マガジンコミックス)
恵 広史,龍門 諒
講談社

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 ワイズマン。賢者、知恵ある者。転じてウィザードという。知識秘術の限りを尽くして奇跡を起こす者のことだ。だがそれだけに常人の理解の及ばぬ彼らのことを忌み恐れる思想は根深い。超越者に比較的寛容な電脳世界でも、それなりに縛りはある。破ってはならは掟は当然あって……。

「ブラッディ・マンデイ③」龍門諒×恵広史

 米国国防総省に侵入した過去から日本の秘密情報組織「THIRD-i」の監視下に置かれることとなったファルコンこと高校生・高木藤丸。父親・竜之介を罠に嵌め、テロを企てる謎の組織と対決することとなった彼の活躍を描く第三巻。
 生徒思いの教師かはたまた悪魔の使者か? テロリストの容疑のかかった美人女教師・折原マヤとの命がけの腹の探り合い。
 殺戮を無上の喜びとする特殊部隊上がりのキリング・マシーン、ジャック・デイモンとの文字通りの殺し合い。
 容疑者のマンションで、人気のない研究施設の暗がりで……。警察権力の介入の期待できない状況での孤独な戦い。それに挑むのが高校生たちだというのだから燃えずにはいられない。「ただの」ではなくそれぞれ一芸に秀でた若者ばかりとはいえ、相手は百戦錬磨のテロリスト。一歩間違えば仲間たちもろとも皆殺しに合いかねない危険な状況で見せる、極限の集中力に手に汗握った。
 無敵のハッキング能力に加え、和弓使いと空手女子、ついでに大人の集団である「THIRD-i」まで手足の如く扱うファルコン。武力を伴った知性の恐ろしさをまざまざと見せ付けた。だが一方で組織の全貌はまったく見えてこない。底の見えぬ悪意の圧力が背景に見え隠れしているのも「いつひっくり返されるかわからない」緊張感に結びついていてよい。
 肝心要のハック関係も悪くない。強力なウイルスで一発解決! なごまかしかたをしないし、その場その場で身近なものを武器にする即応能力にも磨きがかかっている。フラッシュメモリーやエアコンのリモコン、IP電話にスカイプと、決して珍しくない日常のものを駆使してテロリストたちを追い詰める様がなんとも小気味よい。現在形のハイテク・サスペンスの今後にさらなる期待が募る。

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