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広く浅く

今後はhttps://taic02.hatenablog.jp/で更新します

斑入り雑草?

2015-10-15 23:34:26 | 動物・植物
植物に「斑入り(ふいり)」と呼ばれるものがある。
葉っぱの一部分に葉緑体がなく、そこだけ違う色になる(普通は白っぽくなる=それが「斑」)性質。※花弁が斑入りになるものもありますが、ここでは省略します。
斑入りの植物は、葉っぱに濃淡ができて模様になるので、園芸植物では珍重されることが多い。
一般的には形質として遺伝するものを斑入りと呼ぶが、環境や病気が原因で斑入りになってしまう場合もある。
アサガオの斑入り葉

(再掲)ジンチョウゲの斑入り葉
遺伝する斑入りは、メンデルの法則に従って劣性遺伝するものと、葉緑体が独自に持つDNAにより母方からだけ遺伝(母性遺伝・母系遺伝)するものがある。
上のジンチョウゲは、斑が葉を縁取るように入っている。アジサイなどでも見るタイプで、たまにまったく葉緑体がない真っ白い葉ができることもある。
こういう斑の入り方は、母性遺伝だと聞いたことがあるが、真偽は不明。(実際には挿し木や取り木で殖やすから、確認しにくいし、どっちでも問題はない)


野生状態では、斑入り→葉緑体が少ない→光合成能力・効率が劣る→弱くて淘汰されるという流れになるのか、あまり見ないと思う。
ところが、秋田市内の公園で、こんな植物を見つけた。
斑入り?
植栽されたのではない、雑草の葉に斑が入っていた。

この植物はブドウ科の「ヤブガラシ」。
つるを伸ばして旺盛に繁茂し、藪を覆い尽くして枯らしてしまう「藪枯らし」が和名の由来。別名は「ビンボウカズラ(貧乏葛)」で、諸説あるようだがイメージは良くない植物。
ただ、見方によっては、きりりとしなやかで端正な姿。絵画の題材にされたりもする。

ヤブガラシは民家の庭や空き地などでも、わりと見かける。冬に地上が枯れたり、除草作業をしたりしても、地中に根が残ってしまうので、退治は難しい。
ヨウシュヤマゴボウと似たような性質のやっかいな雑草だが、こちらはツルで伸びるので、さらにやっかいかもしれない。我が家では、ケーブルテレビの引き込み線に巻き付かれてしまったことがあった。

なお、ヤブガラシは夏から初秋にかけて地味な花が咲く。この花はアシナガバチやスズメバチが好むらしく、花の周りを飛んでいることがあり、怖い。
さらに今まで知らなかったけれど、多くのヤブガラシは花が咲いても果実はできないのだそう。「3倍体」と言って染色体数が半端なため。
植物で3倍体は珍しくないけど、じゃあどうやって日本中にヤブガラシが広まったのだろう? 元から日本にあったみたいだけど…(ヒガンバナは3倍体で実ができず、人里近くにしか分布しないため、稲作とともに大陸から渡来して人為的に広まったと考えられている)

そのヤブガラシの斑入りとは初めて見た。
ネットで調べると、たまに例はあるようだし、同じブドウ科のツタなどにも斑入りがある。
まあ、きれいと言えばきれいかも。雰囲気としては、庭木のアオキの斑入りに通ずるものがある。
斑のあるのとないの
公園では斑のあるのとないのが混ざっているが、まず株が違うのだろう。

だけど、1本の同じツル(株)の中でも、葉によって斑の入り方がまちまち。
右のツルの先端の葉ほど斑が少ない?
固定された形質ではなく、病気とか何かの突発的な原因だろうか。そのわりには元気に茂っているけど。
ほんのちょっとだけ斑入りの葉もあり、普通ならこんな差は出なさそうなような…
根が残って来シーズンも出てくるだろうけど、その時、斑が入っているか?→この記事後半にて
【2017年10月9日追記】こことは別の秋田市内の公園にも、斑入りのヤブガラシが生えていた。
コメント (4)
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ポプラ探訪

2015-10-08 23:32:59 | 動物・植物
当ブログでは、樹木のポプラを何度か取り上げてきた。
ポプラというのは、原産地や樹形が異なる種(しゅ)やそれらの交雑種を含む総称であり、それぞれの種名は専門家の間でも見解が統一されていなかったり、混同されていたりするらしく、あいまい。

札幌の北海道大学の並木のような、根本から何本も枝分かれして細長い樹形になるのが、狭義というか基本的なポプラらしい。
秋田市内では、城東中学校のグラウンドや山王中学校隣・県庁第二庁舎裏の山王第一街区公園のポプラが、それっぽい。
一方で、保戸野小学校のグラウンドにあって今はすべてなくなってしまったポプラは、地際からは太い幹が1本だけ出て、上の方から枝が分かれて広がった樹形で、これは別種だと考えられた。
この記事など参照


ほかに秋田市内にポプラ並木って、あったっけ?
1972年10月1日付「広報あきたNo.537」の連載「秋田市の木と林と森」第18回が参考になった。以下、引用文は原文ママ。種名については上記の通りあいまい。

「私達の秋田でも通り町橋たもとのホテルハワイの川岸と、中通り五丁目あきたくらぶの庭に見事な並木が茂っています。 」
通町橋は50メートルに16本、推定樹齢60~70年、中通は60メートルに14本、推定樹齢70~80年との表も出ていた。

通町橋のホテルハワイは現在のアパホテル、あきたくらぶは現在のルートイングランティアであり、どちらもポプラは現存しない。そして、

「近年イタリアポプラと称する改良種が導入されて広まっていますが、これは生長が非常に早く十年そこそこで用材をとることができます。」「十条製紙KKでは新屋大橋に近い川べりにイタリーポプラの見本林を作っています。」
十“条”製紙ではなく正しくは十條製紙。企業名の変遷を経て、現在は日本製紙でいいのかな? 新屋大橋に近い川とは、秋田大橋と雄物川のこと。
イタリアポプラのことを「セイヨウハコヤナギ」だとする資料もあるが、それだと「改良種」には当たらない。交雑種の「カイリョウ(改良)ポプラ」のことなんだろうか? とにかく複雑。

そう言われれば、新屋にはあったような。
秋田公立美術大学の裏(附属高等学院側)と堤防の間に、十條製紙系列のゴルフ練習場(今は営業していない)があり、その辺りにそれらしきポプラがあった。秋田大橋からも羽越本線の列車からも見える。
堤防から。右奥が美大附属高等学院
根元付近へ立ち入ることはできない。
美大側から
4本のポプラがあった。以前はもっと本数があったのかもしれない。
葉がまばらに見えるのは具合が悪いのか。(過去のストリートビューの画像ではもっと多い)

この木は、地面からは1本の幹だけ出ていて、北大のとは違う。
どちらかと言えば、保戸野小のに似ている。だけど、より低い位置から枝分かれしていて、樹皮の凹凸も少し違う感じ。
(再掲)在りし日の保戸野小のポプラ
この斜め向かいの、美大の駐車場(新屋図書館側ではない大学単独の大駐車場)とグラウンドの間にも、8本程度のポプラらしき木が並んでいた。こちらは葉が繁茂して元気そう。(写真はありません)
かつて国立米倉庫【2025年1月28日訂正】国立農業倉庫だった頃に防風用に植えられたのかもしれないが、いずれにしても十條製紙との関係はなさそう。
枝の出方は十條製紙のに似ている。一方で背が高くてスラリとした外見で、その意味ではどことなく北大などの並木を連想させる。
【10日追記】昔の航空写真を見てみると、現在、ゴルフ練習場跡と美大の間にある市道は、昔はなく、両方の敷地が一体化しているようにも見えた。ひょっとしたら、十條製紙によって同時に植えられたポプラであり、後に一部が(国立米倉庫を経て?)秋田市の所有となって残っていて、その間にあったポプラは切られたということかもしれない。そして、以降の管理者と環境変化が違ったから、違う姿形になったのかもしれない。



そして、秋田市内の別の場所で本格的なポプラ並木を見つけた。「ぽかぽかオレンジロード」である。と言われてもどこか知らない方が多いでしょう。
所在地は大住三丁目から仁井田潟中町にかけての、仁井田緑町との境界をたどる道。仁井田緑町とは、県立秋田南高校の敷地。つまり、南高の裏側を通る遊歩道のことである。
地元の大住地区の人たちが管理していると聞いていたが、なんで「オレンジロード」なのか知らなかった。テレビアニメ(1987年度放送)にもなった漫画「きまぐれオレンジ☆ロード」を連想してしまう。

2005年に秋田市が整備してオレンジ色に舗装したのを機に、愛護会が結成されて命名されたそう。なんのことはない、路面の色が由来でした。
特に表示板などはなく区間はあいまいだが、オレンジロードとしては400メートルあるらしい。ポプラが植わっている区間として長めに解釈すれば500メートルほど。
ぽかぽかオレンジロード大住側起点。たしかに路面はオレンジ色
道の片側(南高側)にだけ、けっこうな本数のポプラが並んでいる。
そしてそのポプラは、幹からの枝分かれのしかた、樹皮の凹凸、葉っぱの感じ(葉柄がやや赤く、葉は大きめ?)からして、保戸野小学校ポプラとかなり似ていると思う。
ただ、これまで見たどのポプラよりも樹高が低く、ずんぐりむっくりしてプラタナスのようにも見えてしまう。剪定など管理方法のせいかもしれないけど、保戸野小のはもっと高かった。
これは特に小ぶりな木
仁井田潟中町方向に進むと松が混じるなどしてポプラはまばらになるが、南高の敷地沿いに点々と同タイプのポプラがある。

いつからポプラがあるのかは分からないが、南高ができる前のここは「潟」だったそうだから、開校後・1962年以降だろう。保戸野小の今は亡きポプラは、1960年代には既に植えられていた(以前の記事で検証)ので、こちらはずっと若い木なんだろう。(だから背が低い?)
【10日追記】ここのポプラは、どれも南高側に向かって傾いている。大住側に住宅ができる前(湿地や田んぼだった頃?)は、海や雄物川からの北西の風をまとも受けていたせいだろうか。

北大の並木なんかと比べれば、雰囲気が違うけど、本数・距離としては、ぽかぽかオレンジロードが秋田市随一のポプラ並木ではないだろうか。

【2017年9月6日】中島みゆき(作詞作曲歌)「空と君のあいだに(1994年)」では、冒頭で「君が涙のときには 僕はポプラの枝になる」と、いきなりポプラが登場(他の植物は出てこない)。
君を守ってあげるというニュアンスは分かるけれど、どうしてまたポプラを選んだのだろう。ポプラのイメージと語呂・メロディの乗せやすさかな…
関係ないけど、この曲、タイトルは「空と君のあいだに」なのに、歌詞ではすべて「空と君とのあいだには」と、「君“と”の」と「と」が入るのが昔から気になっていた。それならタイトルにも「と」を入れればいいのに…

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この木なんの木?

2015-10-05 00:00:14 | 動物・植物
植物に詳しくなくはないつもりだけど、知らない種(しゅ)はまだまだある。
最近、存在に気づいた種名が分からない木を2つアップします。もし、ご存知でしたら、教えてください。

泉のハミングロードにて
さまざまな木が植えられた遊歩道に、1本だけあった。
背丈よりちょっと高いくらい。白い花が咲いているのが目に付いた。
こんな花と葉
小さな花が円錐形に集まって咲く。1つ1つの花は、花弁が4枚。葉は細長い。

花の形状からすれば、キンモクセイとかライラックとかオリーブとか、モクセイ科に属する可能性がありそう。でも葉は?

それと、花が終わって枯れたのが残っていて、今咲いているのは木全体の一部分のみ。
もしかしたら、本来の花時期は春で、狂い咲きで今咲いてしまっているのかもしれない。

ネットで調べる限りでは、種名は突き止められなかった。
日本の在来種ではない雰囲気があるので、外来種か園芸種か。

【2017年3月11日追記】ふと目にした新聞記事から、この木の名が判明。「ブッドレア」。
「フジウツギ属」の植物で、フジウツギという種などは日本に自生するが、これはおそらく外来種。総称として学名の属名から「ブッドレア」と呼ばれるそうだ。チョウが集まるそうで、英名は「バタフライブッシュ」。
なお、遊歩道内の少し離れた別の場所には、ピンク色の花が咲くブッドレアも1本あった。


もう1つは、
旭川の川原。右側の大きな木
秋田北高校付近の旭川の岸辺(護岸の上ではなく水辺)から生えている木。意識していなかったものの、ずっと前からあったはず。
幹は複数本
細めの幹が何本も伸びているのか、何本もの同種の木が集まっているのか。

下のほうは別として、上部の樹冠を見て、そして風にそよいだ「さらさらさら」という葉の音を聞いてはっとした。
ポプラのそれにそっくり。
近くで葉を観察
ハートに近い形状で、厚め。葉柄が長く、やや赤い。見慣れたポプラと共通する点が多い気がする。

樹形などが違うので、植樹される外来種のポプラ(※この記事など参照)とは別種っぽいが、その近縁種かもしれない。日本に自生するポプラの仲間(慣例的にポプラとは呼ばない)もあるから、それか? まったく自信はないけれど。
葉の形状からすれば、「ヤマナラシ」辺りかな。「ヤマナラシ」の由来は葉っぱが風にそよぐ音から「山鳴らし」。
ヤマナラシの別名は、この木の材から箱を作ったので「ハコヤナギ」(ポプラはヤナギ科)。ちなみに、外来種のポプラのうち1種は「セイヨウハコヤナギ」という和名が付いている。

【28日追記】この場所から少しさかのぼった対岸、堤防と秋田工業高校のテニスコートの間(堤防の外側)にも、同じような木が1本あった。
この木は、秋に黄葉した


身近なのに名も知らない植物はまだまだあるものです。

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アザミ/ケヤキその後

2015-07-31 00:09:34 | 動物・植物
トゲがあるけれど可憐な花を咲かせるアザミ。
アザミの花
開花時期や葉からして「ノアザミ」かな?(自信なし)【2021年11月2日コメントでご指摘いただき追記】花の付き方やトゲから、外来種の「アメリカオニアザミ」のようだ。アメリカ~と言いながらヨーロッパ原産。トゲが多く鋭くやっかいで、外来生物法の生態系被害防止外来種に指定されている。

アザミの仲間には、もっと小さい花が咲く種も多いけれど、これは大きめで、頭に思い浮かぶ典型的なアザミ。
葉はのびのびと茂っている。

野原などにも生育する植物ではあるが、少なくとも秋田市ではそんなによく見る植物というわけでもない。
写真のアザミが咲くのは、秋田市中心部の…
消火栓の脇!
アスファルトの隙間から生えた「ど根性アザミ」だ。
秋田市中心部で野生のアザミを見ること自体、かなり珍しいと思う。
同じキク科のタンポポやフキのように、花後は綿毛ができる

【2019年6月6日追記】その後、この消火栓自体が、(おそらく車の出入りの邪魔にならない場所に)数メートル移設のうえ更新され、元あった場所はふさがれた。
※2025年に近くの別の場所にも生えた。2025年7月27日の記事


増水した旭川で、幹が折れた状態だった那波家の水汲み場のケヤキ。
水が引いて29日までに折れた枝が切断・撤去された。
護岸の石の色が変わっている部分(まだ黒く濡れた所+その上の白く乾いた所)まで増水していた



全体的には以前と変わったようには感じない
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アジサイとともに咲く

2015-07-12 23:55:35 | 動物・植物
今のところ空梅雨気味の秋田。
秋田市八橋の草生津川沿いの「コスモスロード」。※過去の記事
アジサイも咲いているけど
なんとコスモスがもう咲いている!

白いのは野草
草丈は低く、最盛期のようにびっしりとではないが、それなりの数の花が咲いている。花色はピンクとエンジばかりで、秋には見られる白や黄色系統はなかった。
毎年こうなのか、今年だけなのかは知らないけれど、驚いた。

たしか、コスモスは種を早い時期にまくと、秋に草丈が高くなりすぎるため、わりと遅めに種まきするのがいいと聞いていた。
今咲いているのは、昨年のこぼれ種か、運良く冬を越した株(コスモスは一年草だけど)なんだろうか。
それと、コスモスは短日植物だから、夏至から間もないこの時期に開花すること自体おかしい気もするけれど、日長に鈍感な品種なのかもしれない。(咲いている花色が2つだけなのは、このせいかも)

梅雨の花と秋の花の意外な組み合わせ
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2つの昼顔

2015-06-21 23:03:02 | 動物・植物
東北地方北部は平年日の6月14日を1週間過ぎても、まだ梅雨入りしない。たまに雨は降るもののおおむね晴天の暑い日が続いている。
そんな中、植物は季節を追って花を咲かせていて、秋田市ではタチアオイやアジサイなどとともにヒルガオが咲いてきた。

今回は、そのヒルガオのお話。※前回の記事と同じくドラマのタイトル(昨年の「昼顔」)じゃありません。
まず、一般の人のヒルガオという植物の認知度はどの程度なんだろうか?
雑草として目にする機会は少なくないはずだが、特に花はアサガオ(同科別属)とよく似ているため、混同している人もいそうだ。
大雑把に言うと、花色はピンクだけで、昼になっても花が咲いているのがヒルガオ。(ただし、西洋アサガオのピンク系の可能性もなくはない)
ちなみに、ユウガオはカンピョウの原料になるウリ科植物。アサガオ、ヒルガオ、ヨルガオはヒルガオ科。

実は、日本で広く見られるヒルガオには「ヒルガオ」と「ハマヒルガオ」の2種が存在する。
砂浜など海辺の環境に適応した植物には、「ハマ(浜)~」という標準和名が与えられ、分類学的にも近縁であることがある。ハマナデシコ、ハマヨモギなどは、ハマが付かないナデシコやヨモギが海辺の環境(乾燥や塩)に適応した種と考えることができよう。ハマヒルガオとヒルガオも同様。


さて、秋田市内で咲くヒルガオ。※以前の記事
浜辺では、ハマヒルガオオンリーであろう。砂地で塩分が多い厳しい環境では、ヒルガオは生育できないはずだし、だからこそ、ハマヒルガオが分化したはずだから。

では、秋田市中央部。テニスコートのネットにからまるヒルガオ。
 
アサガオとよく似ていて見間違うけれど、これが「ヒルガオ」。葉がアサガオよりも細長い(厚さはやや薄いか?)。
一年草であるアサガオと異なり冬を越して生長し続ける多年草(宿根草)。種よりも地下茎で増え、畑の雑草として嫌われる。
別名は「畑アサガオ」「雨降り花」などだそうだけど、「雨降り花」の由来はなんだろう?


そして、
道端の街路樹の根元に広がって咲く
上のヒルガオより花色が濃く、咲き始める時期がやや早い。
生育条件が良いだけかもしれないが、上のヒルガオより心持ち花が大きい
何よりも葉が違う。丸くて、緑色が濃くて、テカテカしている。
そう。これが「ハマヒルガオ」。こちらも多年草で、世界中の海辺で見られる。
図鑑によってはハマヒルガオが浜辺だけに分布するとしているものもあるが、実際には少なくとも日本では内陸部の湖畔・河畔などにも生育するそうだ。

アサガオやヒルガオと同じく、ハマヒルガオも物にツルを巻きつけることはできるが、それよりも地面をはうことのほうが得意そう。
浜辺の環境では巻きつく物がないのは当然だけど、街中でも、
フェンスがあるのにあまり巻き付かず、こちら側にはって来ている
この性質のおかげで、巻きつく物がない空き地などではかえって有利なのかもしれない。さらに、地面一面に濃い緑の葉と濃いピンクの花が広がっていることがあり、見る分にはきれい。

秋田市中央部では、ヒルガオよりハマヒルガオのほうが多く分布している印象がある。おそらく過半数を占めている。
僕は街中でハマヒルガオを見ても違和感がないので、昔からハマヒルガオを見慣れている=昔から生育していたのだと思う。


街中に咲くハマヒルガオ
往年のヒットドラマ「君の名は」の主題歌(作詞:菊田一夫。1991年版では歌:石川さゆり)で「♪今日砂山にただひとり来て 浜昼顔にきいてみる」とあるように、それなりに認知されている種名だとは思うけれど、まさか街中にハマヒルガオがあるもんかと思われるのか、これがそのハマヒルガオだとは思いもしない人が多いことだろう。
ハマヒルガオは、本来の生育地である海辺では、外来種のコマツヨイグサと競合して押され気味だという。ハマヒルガオの新たな居場所が、空き地が増えた街中なのかもしれない。

秋田市内でも山間部や農村部では、ヒルガオのほうが優勢なのかもしれないし、他の町ではどうなっているでしょうか。

※アサガオは日が短くなるとつぼみ(花芽)ができる短日植物(仕組みとしては暗い時間に反応するのでほんとうは“長夜植物”)。一方、ヒルガオやハマヒルガオは今、既に咲いているということは、明暗の感受性が鈍感なのか、関係ないのか、アサガオとは花芽形成のメカニズムが多少違うのだろう。

【2015年7月31日追記】その後、梅雨末期になるとハマヒルガオの花は見なくなり(葉は引き続き茂っている)、ヒルガオの花を6月よりもよく見るようになった。両種で花の時期がずれているようだ。(それでも、分布としてはハマヒルガオのほうが多い)

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最後のポプラ

2015-04-30 23:06:11 | 動物・植物
秋田市立保戸野(ほどの)小学校には、シンボル的存在の木が2つあった。
正門横の「ニレの木」(個人的推定では標準和名「ノニレ」)とグラウンドの「ポプラ」である。
ニレは相変わらず元気そうで、今春も若葉を出し、(葉より先に地味な花が咲くので)種子を落としている。

問題はポプラ。
現在は公式にはニレをシンボルツリーとしているようだが、学校の歴史上はポプラをメインのシンボルツリーに位置づけていた時期もあり、卒業生の中にはポプラのほうに思い入れがある人も多いはず。
30年以上前はグラウンドの周囲3方がポプラの並木で囲まれていたそうだが、後に順次伐採され、現在は南側の隅にわずか2本だけ残っていた。【5月1日追記】ほとんど伐採されたのに2本残った理由は不明。比較的短いというポプラの寿命によるものかもしれないが、同じ樹齢であったはずの2本だけが残った説明はつかない。あるいは、ポプラは雌雄異株で、メスの木からは綿毛が飛ぶ。それが問題になったこともあったそうでその対策かもしれない。残った2本はオスの木らしく綿毛は飛ばしていなかった。でも、あんなにあった全部がメスだったとも考えにくい。近隣住宅の日照権が問題になるほどでもなさそうだし。
(再掲)
その2本のポプラは、2013年の5月に枝がすべて払われ、その後新芽が伸びたものの秋に再び枝を落とされてしまった。
ポプラは放っておくと枝が落ちやすく危ないそうで、強めに剪定を行って新たな枝を伸ばす管理方法が取られるそうだ。でも、1シーズンに2回もそれを行うのは、木に負担がかかるのではないかと心配していた。
(再掲)
その後、翌2014年の春には、1本はほんのわずかに枝と芽が出て、もう1本はまったく芽が出ず、そのまま冬を迎えた。さらに2015年の春も同じ状態であり、上の写真とほぼ変わらない状態が1年以上続いていた。不安は的中してしまった。
季節のある場所で生育する落葉樹が、季節が一巡以上しても葉を出さない(もしくはほとんど出さない)ということは、植物にとって致命的だと思う。蓄えた栄養分を使い切ったから葉を出せないのだろうし、葉がなければ光合成ができないから栄養を作れず、植物は死んでしまう。

樹皮が前より白っぽくなって乾いているようにも見えたし、一部の樹皮がなくなっている(はがれ落ちた)所もあった。
つまり、「枯れた」かそれに近い状態のようにも思われた。上がこうでは根も正常ではないだろう。

枯れ木同然となった木をグラウンドに生やしておいては、腐食するなどして何かの拍子に倒壊する可能性があるかもしれない。運悪く、グラウンドにいる児童や道路の通行人に当たったりしたら…
枯れていないポプラでも、比較的倒れやすい木で、北海道大学のポプラ並木が通行止めにされたり、広島県内の公共施設では倒れて死傷者を出した事例もある。(ポプラ以外でも類似事例はあり、ポプラがとても危険な木だということではない。種の性質に応じた管理が必要だということ)
また、仮にもシンボルツリーであったポプラのこんな姿をいつまでもさらしておくのは、忍びなくも感じられた。


そして、
切り株に
4月25日に伐採が行われた。あのような状態であった以上、妥当な措置だと考える。(こうなった原因であろう、1シーズンに2度も枝払いを行ったことについては疑問だが)
ただ、これで保戸野小学校からポプラの木がすべてなくなってしまったことになるはず。
 
グラウンド内から見て左側(児童館寄り)の木はほぼ完全に枯れ、右側の木はわずかに葉を出していたのだが、切り株の状態はどちらもほぼ同じだった。
切り株を見る限り、内部は極端な乾燥または腐食は認められず、青臭い(動物園の草食動物舎のような)臭いがした。
切り株の切断面は、どちらの木も直径90センチ前後もあった。数えられるような年輪は認められなかったが、ポプラは生長が速いからだろうか。


以前はぐるりとポプラ並木だったはず
かつてポプラがあった場所には、先代校舎時代に校庭にあった木が移植されたのか、現在はソメイヨシノやイチョウなどが植えられている。
古い切り株
今回伐採されたポプラの隣には、以前に伐採されたポプラのものと思われる切り株が朽ちつつあった。



なくなった木を今さらどうしようもないけれど、このポプラの「種(しゅ)」は何だったのか。
「ポプラ」というのはいくつかの種の総称。マダイもクロダイも「鯛」と呼ぶようなもの。
ポプラの場合、種の識別は難しく、種間雑種も存在し、専門家でも統一見解が定まっていないという。

一般には「セイヨウハコヤナギ(イタリアポプラ)」やその雑種がポプラの正体であることが多いそうだ。根元近くから枝分かれし、縦に長い樹形で、樹皮は比較的つるりとしている。北大の並木のほか、秋田市の城東中学校、山王中学校隣の公園のポプラがそれっぽい。
だけど、保戸野小学校のポプラは、樹形が違った。これは剪定方法などでなく、種の違いだったようだ。
(再掲)風にそよぐ葉の音が印象的だった
わりと上のほうから枝分かれし、横に広がっている。樹皮は縦方向にゴツゴツした凹凸があった。
おそらく「改良ポプラ」と呼ばれる雑種だったのではないだろうか。
「改良ポプラ」の定義には「イタリアポプラを品種改良したもの」「イタリアポプラなどヨーロッパ系とアメリカ系ポプラを交配したもの」など諸説あるようだし、それ以前にひとくちに改良ポプラといっても複数の系統があるとか。(Wikipediaでは品種改良されたポプラの総称が「改良ポプラ」だとしている)

ここにこういうポプラがあったことを記録しておきます。
※その後、秋田市内でこれとよく似たポプラを見つけた
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ナニワズ

2015-03-26 23:34:36 | 動物・植物
秋田市中心部にある千秋公園の“山”。
整備された城跡の都市公園としての一面もあるが、街中とは思えないうっそうとした林のようなエリアもあり、珍しい動植物に遭遇する機会があることを折に触れ紹介してきた。
本丸と二の丸の中間層(?)の南側斜面
今の千秋公園内は、雪が消え、大部分を占める落葉樹は芽吹き前。スミレなども咲いていない。(彼岸にお寺の庭で咲いていたけれど、あれは早咲き園芸品種だろうか?)
周りの景色は夏場よりよく見通せていいけれど、園内はこんなに殺風景だったっけ? と思えるほど茶色一色。
落葉樹の根元の周囲に葉を茂らせる低木があるのが、数少ない緑。その中に、小さい黄色い花を咲かせる低木を見つけた。
ケヤキの根元に
公園全体にまんべんなくではないが、斜面にその木が散在する一角があった。
手前はバッケ(フキノトウ) 左の赤い実はアオキ


木の大きさ、葉の雰囲気、花の形からすれば、ジンチョウゲに似ていると感じた。そう言えば、こういう植物の存在をどこかで聞いた覚えがあった。
調べてみると、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の「ナニワズ」という種のようだ。名前は初耳かも。

「オニシバリ」というよく似た近縁の別種もあるが、オニシバリは主に福島県以西に分布し、花色が淡く、葉の形も少し違うことから、千秋公園のはナニワズだと推定。
「ナニワズ」という変わった和名の由来は諸説あるので割愛。「オニシバリ」は樹皮が丈夫なので鬼を縛ることができる(できそう)から。
ナニワズもオニシバリも、夏の間は葉を落とすことから「ナツボウズ(夏坊主)」の別名があるそうだ。ナニワズは「蝦夷夏坊主」と呼ぶ場合もあるそうだ。両者が共存する地域はないようなので、方言的な呼び名で取り違えたり、混同される場合も多分にあるだろう。


何株かのナニワズの花を撮影し、後からパソコンで見ると、花の形が違う株があるのに気付いた。
 
ジンチョウゲなども同じなのだが、ナニワズは雌雄異株だそう。イチョウなどのようにオスの木とメスの木があるのだ。【27日追記】上でちらりと赤い果実が写っている常緑低木・アオキも雌雄異株。
花の中央にオレンジ色のものが見えるのが花粉を出すおしべで、それが雄花だろうから、それが咲くのが雄株、それがないのが雌株ということか?
上の2枚では、花弁(のように見える萼?)の形も違うようにも見える(雄花のほうが細い?)けれど、そういうものなのか、何かの勘違いなのか…

ジンチョウゲの仲間ならば、ナニワズも芳香がするかも。嗅いでみたいのだけど、千秋公園のナニワズは微妙に手の届かない位置に咲いていて、かなわなかった。(ジンチョウゲほど強くはないものの、芳香があるらしい)
【2016年3月21日追記】秋田市内のお寺に、鉢植えのナニワズがあり、花の香りを確かめることができた。ジンチョウゲよりはずっと弱く、クチナシの香りに少し似ている気がした。
※ジンチョウゲ、ナニワズ、オニシバリなどは有毒とされています。敏感な方はむやみに触れないほうがいいかもしれません。
※千秋公園のナニワズは、園路外の急斜面や、むやみに足を踏み入れると植生に影響を及ぼす恐れのある場所に生えているものがあります。観察時は注意と配慮をお願いします。

ナニワズの生えている場所は、早春の今は日光が当たるものの、夏場は日陰になるであろう場所。
笹やぶの中に咲くナニワズもあった
夏は葉を落とすそうだが、なるほど、こんな場所で夏に葉を付けていても無意味かもしれない。こういう環境に適応するために身に付けた能力(?)なんだろう。
落葉樹と言えば冬に葉を落とすという先入観を打ち砕かれた。
※落葉の季節が違っても、分類としては「落葉樹」に含めて良いようだ。ジンチョウゲは通年葉を付ける常緑樹。


現在のジンチョウゲ
秋田市内のジンチョウゲは、やっとつぼみが開き始めた段階。ナニワズのほうが先に開花するらしい。
なお、ジンチョウゲはもともと日本に自生しない。植えられているジンチョウゲはほとんどが雄株とのこと。
これも雄花のようだ
葉っぱはジンチョウゲのほうが硬そう。


千秋公園に(というか世の中に)こんな植物があったとは知らなかった。千秋公園も植物も、奥が深い。ただし、秋田市の過去の広報紙や公園課のホームページで紹介されてはいたので、僕が見ていなかった(目にしたけど忘れた)だけです。
早春に咲く花と言えば、フクジュソウ、クロッカス、マンサク、ロウバイ、サンシュユなど。黄色っぽい花色のものが多く、ナニワズも少し濃いけれど黄色。
千秋公園内では、アセビ(これは白い花)も咲いているそうだが、それとともに先陣を切って咲き出す花がナニワズなのだった。

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木が倒れた後

2015-01-26 22:49:37 | 動物・植物
秋田市中央部の某所
建物の前に木が生えている、どこにでもありそうな風景にも見えるけれど…

木が建物に倒れかかっている!

根が浮き上がってしまっている

何らかの原因で木が根こそぎ倒れ、その先に建物があったわけだが、倒れたのは昨日今日ではない。
上の写真の枝ぶりを見ると、それぞれの枝がちゃんと上を向いているのが分かるかと思う。幹も全体的に上向きに反っているようにも見える。
木が倒れた直後ならば、こうはなっていない。倒れた後も、一部土とつながった根から水や養分を吸収して木は生長を続け、重力に逆らう方向に正しく伸びていることになる。
幹から下方向に枝がないので、倒れかかった後で、下側の枝を払ったのかもしれない。

2012年10月撮影のGoogleストリートビュー
2012年10月の時点で、既に今と同じ状態になっている。


【29日訂正】いただいたコメントによれば、かなり以前から倒れていて、しかも「ナニコレ珍百景」にも出たそうです。下記の推察は撤回します。(20年以上前の台風で倒れたそうなので、1991年9月の台風19号かもしれません)
おそらく、2012年4月3日から4日にかけての強風で倒れたのではないかと思う。
千秋公園内や周辺において、同一線上にあった複数の木が同じ方向に倒れる被害が出たが、実はこの木も、そのほぼ延長線上に位置し、倒れた方向もほぼ一致する。


この木は、千秋公園二の丸で東屋に倒れかかったのと似た針葉樹で、根張りは浅いようだ。そのために倒れたのだろうが、幹の途中で折れずに済んだので、倒れた後も水を得られていることにもなろう。
何よりもこの木が幸運(?)なのは、木の所有者と同じ所有者の建物に倒れかかり、さらに撤去されず残されたからこそ、生育し続けられているのだ。所有者がおおらかなのか、撤去費用を出したくないのかは分からないけれど。
仮に、吹いた風の向きが少し違えば、道路上や隣の土地に倒れるなどして撤去を余儀なくされただろうし、同じ建物に倒れても屋根を突き破るなど物的被害が生じればどうなっていたか分からない。

何年もこの状態では、屋根への悪影響が出そうな心配もあるが、いつまで続くだろうか。
その後、このようなことになった。(リンク先後半)

※秋田市内にほかにも似たような木があった
コメント (4)
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続イチョウ・黄色い実

2014-11-25 23:28:16 | 動物・植物
1週間ほど前の秋田駅東口から見る、うっすらと雪化粧した太平山
最近はまあまあ良い天気が続いているが、あとは里にも雪が降れば冬に突入しそうな、秋田市内の木の話題2つ。


まずは、黄葉が遅くて太いイチョウのその後。
(再掲)手前の木
↑さすがに↓
ほぼ落葉し、わずかに残るだけ
通りの他の木(というか秋田市内のほとんどのイチョウ)は既に丸裸になっているので、やっぱりこの木がいちばん遅かった。



さて、秋田市内の住宅地にある街区公園に、1本だけこんな木があった。

ほぼ落葉して、黄色い果実が下がっている。

住宅の庭木などでも、たまに見かける木であるが、ぱっと見て種名としては2つに絞り込める。

「マルメロ」か「カリン」である。
どちらも、見た目が似ていて果実に芳香があり、果実は生食には向かないが「喉に良い」と言われて果実酒やジャムなどに加工して食べられるという共通点がある。
※マルメロ、カリンとも、石細胞(和梨のジャリジャリ成分)が多く、渋みや酸味が強いので、生食はしないとされているが、「マルメロは生食が可能」という情報も一部にはある。
植物分類学的にも近縁ではあるものの、バラ科マルメロ属とカリン属と、それぞれ別属に分類されている。

マルメロは、秋田県の北秋田市森吉町や青森県の平川市碇ヶ関(ソフトクリームがある)などが特産地。生の果実が、秋田市内の店でたまに売られている。
森吉の温泉「クウィンス森吉」はマルメロの英名だし、弘前市には「まるめろ緑地」があるように、親しまれている植物でもある。

両者の見分け方はそれなりにいろいろあり、秋田県果樹試験場のホームページ(http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1138260441721/)に詳しいが、素人や季節によっては難しそう。

果実の表面を見るのが簡単。
「表面に毛があるのがマルメロ、ツルツルなのがカリン」である。
陽射しを浴びて輝く
果樹試のホームページには、「カリンは果実が楕円(のものが多い)で、樹皮が滑らか」という趣旨の記述もあるから、そうした観点からしてもこの公園のはカリンで間違いないでしょう。

ただし、信州(特に諏訪近辺?)では、マルメロのことを「カリン」と呼ぶ。
1993年に放送された、NHK連続テレビ小説「かりん」(細川直美主演)でも、作中では実態に忠実にマルメロが登場していたそうだ。(という話を果樹園芸学の専門家から伺った)
また、勘違いや誤解でマルメロとカリンが混同されたり取り違えられたりすることも、多分にあるだろう。


さて、気になるのが、この公園のカリンの実の行方。
取ってそのまま食べられないから誰も手を付けないこともあるだろうけど、公共の場所に実った食べ物を気安く食べるのも気が引ける。一方で、少々もったいない気もして、こんな罪作り(?)な木を公園に植えなくてもいいのに…とも思えてしまう。
この公園は20年ほど前にできた公園らしいが、その前からここにあった木なんだろうか。

秋田市では、柿の木がある公園もあるが、あれは元は別の施設だったので、その頃からあったのかもしれない。渋柿だから、これもそのままは食べられないけど。
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遅くて太いイチョウ

2014-11-13 20:47:32 | 動物・植物
秋田市は強風が吹いて初雪を観測。秋田市街地の紅葉もおおむね終わり。
秋田地方気象台の生物季節観測によれば、イチョウの黄葉は11月3日、落葉は6日。イロハモミジの紅葉は7日、落葉はまだとなっている。
「紅葉(黄葉)」の定義は「葉の色の大部分が紅(黄)色系統の色に変わり、緑色系統の色がほとんど認められなくなった最初の日」
「落葉」は「葉の約80%以上が落葉した最初の日」
春の魁新報によれば、イチョウの標本木は日吉八幡神社にあるとのこと。モミジは気象台構内だろう。

今まで何度か触れているように、ケヤキとかソメイヨシノとか、近くにある同じ種の木であっても、葉が出たり花が咲いたり紅葉したりする時期に差が見られる。
日当たりなどの環境、剪定等のストレス、生まれ持った個体差(ただしソメイヨシノなどはクローンなので基本的には個体差はないはず)によると思われる。
中でも、イチョウの黄葉→落葉は、かなり幅がある。

10月31日の保戸野みその通り
今年はみその通りのイチョウが見事だった。数年前に剪定されて、ボリュームのある樹形に整っている。
気象台が黄葉を観測する前だったけれど、どう見ても100%黄色くなっている木がほとんど。
ただし、
ここは違う
まだ「黄葉」とは言えない状態の木も若干。
写真の木は並木の端で、南~西方向に建物がない(道路と墓地)ため日当たりが良好。そういう条件によるものだろうか。

同じ日の保戸野原の町通り
こちらはみその通りよりは緑が多い感じもしたが、それでも黄葉しているとみなせそう。

みその通りも原の町通りも、1980年代中頃に秋田市が建設した道路。現在は原の町通りは県に移管されて県道233号線となったようだ。
そうした経緯で管理者が異なった今では、市と県で剪定方法が違うらしく、両者で樹形が違っている。原の町通りのほうが少し小ぶりに感じる。
※原の町通りは来年で開通30年。みその通りはその3年くらい前にはできていたはず。
もっと古くからあるイチョウ並木では、メスの木が混ざっていて秋にはぎんなんが落ちて臭いを漂わせていることがあるが、両通りはすべてオスの木。苗木の育成や選別の技術が向上した時期だったのだろう。(葉っぱの形で雌雄が区別できるというのは迷信【16日追記】ぎんなんの殻の形状が二面体か三面体かで、それが発芽後に雌雄どちらかになるか識別できるという話もあるそうだが、それも怪しいらしい)
【2018年4月4日追記】原の町通りは、「秋田環状線」の一部として1985年12月2日開通。ただ、街路樹の植栽など道路としての形は、同年春頃にはもうできていたような記憶がある。

原の町通りでも、黄葉が遅い木があった。
手前と奥の木は黄色くなっているが、間のあちら側2本・こちら側2本は緑のまま
しかも、それ以外にも他の木との差が見られた。
分かるでしょうか
黄葉が遅い木は、幹が太くて枝に葉が多い。さらに、
幹の下のほうに葉が付いたり、新たな細い幹(徒長枝・シュートと呼んでいいのか)が出たり
木の元気がいいのだ。

この4本だけ、別に植えられたかのようにも思えるが、そうではないはず。
原因として考えられるのは、宅地化から残されたかのようにぽつんと西側にある畑の存在。近隣の民家1軒の敷地と同程度の広さ。
日当たりの良さに加えて、畑で施している肥料が雨水に溶けて道路に流出し、その前にある2本の街路樹のイチョウの養分になり、さらに道路の下を通って向かい側にも流れて、向かいの2本のイチョウをも“育てて”しまったのではないだろうか。(下の写真の赤矢印のような流れ)
黄葉前でも、葉が繁茂しているのが分かる

11月8日にはやっと黄葉の盛り。向こうの細い木は既に裸
※黄葉のその後はこちら
【2018年6月11日追記】その後、この畑は2017年で耕作をやめて、2018年春には舗装されて駐車場になってしまった。今後のイチョウはどうなるか?


(再掲)竿燈大通りのケヤキも端の1本は立派

「置かれた場所で咲きなさい」なんて言った人がいるけれど、動けない植物は、まさにその場で生きていくしかないのです。

エノキの黄葉の時期の違いについて
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ニセアカシア

2014-06-04 00:18:33 | 動物・植物
北日本では季節外れの猛暑。
3日の最高気温は秋田市で31.0度の真夏日、大館市35.1度の猛暑日となった。秋田市は、風があって、陽射しはやや弱く、からりとしていて、日向でなければそんなにつらくないような気もするが、やっぱり暑い。

この手のニュースなどで、インタビューに答えた人が「今からこう暑くては、この先が思いやられる」と答える人がよくいる。でも、「この先が思いやられる」ってどういう意味なんだろう?
30度、40度、50度と上がること? んなこたぁーない(Byタモリさん)。
この高い気温がずっと続くこと? それも極めて考えにくい。
こういう突発的な短期間の気温の変動は毎年起こるものだし、この後は梅雨もあるのだから。

今回は気温の上昇幅が極端に大きかったし、体調管理や農作物などへの影響はあるにせよ、これまでの経験と長期的視野に立って物を言うべきである。
むしろ、今年は冷夏の予想が出ているから、その意味で「この先が思いやられる」べきだろう。


植物はほぼ例年通り、季節を進めている。
クレマチス類やヤマボウシは終盤【12日訂正】まさに盛り、シランが咲きはじめた。
千秋トンネルの通り、保戸野側の鷹匠橋付近から、千秋公園を見ると、
上の建物は御隅櫓(復元)
御隅櫓の左側、ちょうど明徳小学校グラウンドの辺りの木が白っぽくなっている。

ちなみに、今年の芽吹き直前・桜が咲いていた頃は、
4月末
現在、白っぽくなっている所は、芽吹き前はスカスカした感じだった。
千秋トンネルの上でもある
この時期の秋田の代表的な花の1つであろう「ニセアカシア(標準和名 ハリエンジュ)」の花だ。
※一般に「アカシア」と呼ぶことも多いが、アカシアは別の植物。

秋田市では、ニセアカシアは新屋方面や勝平山など、海近くの丘によく生えている印象があったけれど、部分的とはいえ千秋公園にもこれほどまとまっていたとは今まで知らなかった。
千秋公園の西~北斜面は、ケヤキと若干のヤマザクラくらいだけだと思っていた。

秋田北高と秋田工業高の間の新中島橋から、千秋公園北西側(北の丸)を見ると、
山の上のほうにニセアカシアが広がっている


さらに線路の向こうを見れば、
こちらも真っ白
手形山の秋田高校の上、県道41号線「手形山大橋」下の坂付近にもニセアカシアがまとまっている。
近くで見ると、それほど白くない

ずいぶん高い木も

さらにさらに、秋田大学医学部附属病院の裏というか脇。
大学の職員住宅「糠塚宿舎(旧称・糠塚官舎)」付近の丘

 
これも見事な木で、花付きは特に良好。
バス停のポールが曲がってるよ(次が終点なので、ここから乗る人はいない)

今が盛りのニセアカシア

里山を彩るニセアカシアの花だけど、手放しできれいだと見ているのは、どうなんだろう。
ニセアカシアは、本来日本に自生しない帰化植物であり、旺盛な繁殖力で既存の植生を破壊してしまう恐れがある。
手形山や千秋公園でこんなに茂っていたとは、驚かされた。長期的にはちょっと心配だ。
【4日追記】千秋トンネル上の場合、トンネルもしくは小学校の建設時に、斜面の保護や緑化のために人為的に植えられたのかもしれない。
コメント (4)
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木3題

2013-12-03 23:29:05 | 動物・植物
木の話3つ。
●エノキの黄葉
昨年、存在を知った「エノキ」。
きれいに黄葉するという話だったものの、ケヤキなど他の木よりも早く落葉してしまい、昨年は見逃してしまった。今年は…
11月初めのけやき通り北端・八橋一里塚交差点
ケヤキは美しく紅葉(個体差があるので黄葉する木も)している。
信号機のすぐ後ろに、小さいエノキが1本だけあるのだけど、
ギリギリ間に合った!(いや、間に合ってない?)
たしかに黄色くなるようです。


以下2つは、秋田市立保戸野小学校の木関連。
●秋田のハルニレ
保戸野小正門にあって、学校のシンボルである2本の「ニレの木」の正体(標準和名)は、以前の記事では「ハルニレ」ではないかと推測していた。
しかし、今年夏に札幌の北大植物園に行って実物を見たところ、葉っぱの感じからハルニレではなく近縁の「ノニレ(別名マンシュウニレ)」ではないかと思うようになった。
じゃあ、秋田にはハルニレってないのだろうか?

それがあった。
場所は土崎で、街路樹として。
通称「ガス灯通り」と呼ばれる、国道7号線の「臨港警察署入口」交差点から旧道の五十嵐記念病院・秋田信用金庫の交差点とを結ぶ、短い市道。全長96メートルの「市道土崎港中央一丁目線」というそうだ。
1986年春に7本のガス灯が設置され(土崎が秋田油田に近く、かつての秋田市営ガスの発祥地であることにちなんだのか?)て歩道が整備された際、街路樹のハルニレが植えられていた。
南側にだけ4本のハルニレがある。
 逆光などで見づらいですが10月下旬撮影
あまり大きくはなく、格好もいまいち。
北海道のハルニレに比べればずっと若いから大きさはこんなもんだろうが、広くはない道路の街路樹という性質上、かなり刈り込まれてしまったのだろう。
 
葉っぱはケヤキの葉を大きしたようで、北大植物園のハルニレもこれと同じだった。地肌が縦方向にゴツゴツしているのは、ハルニレにもノニレにも共通する特徴だから、保戸野小との似ている。

撮影時はあまり紅葉していなかった。今年は保戸野小のノニレも似たような感じで、紅葉が遅かったのかもしれない。
どうしてハルニレが選ばれたのかは分からないけれど、秋田では貴重かもしれないハルニレ並木です。

土崎にはアキニレ並木が2か所あるのを発見した。


●ポプラ
保戸野小のもう1つのシンボルツリーであるポプラ。
昔はグラウンドの外周にたくさんのポプラがあったのだが、今はたった2本になってしまった。
(再掲)
ポプラは種が綿毛で飛んで、その処分やアレルギー源として問題になるという。ポプラはイチョウと同じく雌雄異株なので、オスの木だけを植えれば解決するけど。
それに、生長が早い上に根が浅く、倒れやすいことも問題になる。有名な北大のポプラ並木でも、倒木の恐れがあって並木が通行止めになったり、新しいポプラを植え替えて対処したりしている。
保戸野小のポプラが2本に激減してしまったのも、それらが理由だろうか。(今ある2本は綿毛は飛ばさないはず)
※札幌市の資料(http://www.city.sapporo.jp/ryokuka/midori/forest/dororyokuka/documents/31popura.pdf)によれば、「ほうき状の樹形となるのは雄の木で、雌の木はやや広がる。 」【2015年4月30日追記】雌雄で樹形が違うことへは異論もある。


上の写真のように、昨年は美しく枝を広げて、葉がさらさらと風にそよいでいた。
今年も若葉は出そろったものの、5月下旬には、
あれ?
太い幹を残して、上部の枝がすべてバッサリと切られてしまった!
広げて乾燥させて処分したらしい
そういえば、何年か前にもこんなことがあったような。
上記の通りポプラは枝が弱いため、放っておくと危険。そこで、ポプラは生育が旺盛なこともあり、かなり切り詰めて丈夫な新しい枝を伸ばさせる「強剪定」が、管理方法の1つとして存在するそうだ。
最近は、秋田市でも他の自治体でも、経費節減や落ち葉の処理からか、街路樹や公園の樹木をかなり大胆に切ってしまうことが少なくない。このポプラでもその意図もあるのかもしれないが、ポプラという種の性質上、安全に長く生かすために必要な措置なんだろうと思った。
その後、
 6月下旬と8月中旬
その後、わずかな期間で幹の上部にはたくさんの葉が茂った。
この分では、また数年経てば新たな枝が高く伸びるだろうと思っていたら…
9月中旬
左の木がだいぶ枝を減らされ、右のも少し減った。さらに、
10月中旬
また丸裸になってしまった!
1年に2度も剪定を行うやり方があるのだろうか?
まあ、ポプラの生命力からすれば、来春も枝や葉を伸ばすとは思うけれど、ちょっと心配。→あまり芳しくないようで…(リンク先末尾)

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北大植物園

2013-10-31 22:55:53 | 動物・植物
放置していた北海道旅行記。※以前の記事
交通資料館のほかにも、以前から行きたかった札幌市内の施設があった。「北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園」、いわゆる北大植物園。
1886(明治19)年にできた国内で2番目に古い植物園(最古は小石川植物園)。
札幌駅北側にある北海道大学の本体は、大学のキャンパスとしては珍しくそれ自体が観光地になっているが、植物園は別の場所。観光地としてもさほど著名ではない(中学校の修学旅行の自由行動でも、ごく一部の班だけが訪れただけだった)。
植物が好きな僕は興味はあったけれど、前回札幌を訪れたのは冬で、温室だけの縮小開園のため見なかったのだった。
※今回の訪問は8月下旬です。11月からは冬期の温室のみの開園です。また、2014年度夏期は建物の耐震補強工事のため一部で公開が休止されるとのことなので、訪問の際は公式ホームページで確認してください。

所在地は札幌駅の南西側。大通公園や時計台からもそう遠くなく、アクセスはいい。(JRや地下鉄の駅からは離れていて、わりと歩くけど)
札幌の格子状の町割りで表せば、南北方向は北2条から北4条、東西方向は西8丁目から西10丁目に渡って、計9ブロックほぼ全域が植物園の敷地。13.3ヘクタールに4000種の植物がある。
出入口は1つだけで、西7丁目と8丁目の境の道路に面する。北海道庁の1ブロック西側。
道庁側を背に。道路の向こうが植物園で、白い建物が受付のある管理棟
入園料は大人400円。入口に無料(100円玉リターン式)のコインロッカーあり。
長い名だけど要は植物園
順路は2つ示されていて、所要1時間30分で時計回りの外回りルートと45分で反時計回りの内回りルート。僕はもちろん外回りにしたが、雨が降りそうで次の予定もあった。そこで、ロックガーデンとかバラ園とかどこでも見られるようなものはざっと飛ばして、1時間ちょっとで回った。

温室。
実ったバナナとかアロエとかサボテンとか、定番のものが多い。初めて見られたのは、熱帯スイレンの花。
 
温帯のスイレンは水面で花が咲くが、熱帯のはハスのように水の上の空中まで花茎が伸びて咲く。花弁の形や、青系統の色も特徴的。


北海道と関わりの深い植物が植えられた「北方民族植物標本園」。
 
水色の花が咲いているのは、「エゾトリカブト」!
他のトリカブトやそれらの交雑種もあったけれど、花の色や形が微妙に違った。
こういう青系の色って、(オリンパスの?)デジカメでは正確には記録できない。

びろーんと伸びてアザミのような玉状の花が付くのは、根っこ以外はなかなか見る機会がない、
「ゴボウ」

どこかで見たことがあるような、ないような?
これは「ヤマゴボウ」。上のキク科で根が野菜になる「ゴボウ」ではなく、ヤマゴボウ科の有毒植物。
そう、あの「ヨウシュヤマゴボウ」の「ヨウシュ(洋種)」でない在来種、いわば「和種ヤマゴボウ」。

ヨウシュヤマゴボウとの違いは、茎に赤系統の色が出ないこと、花・果実が垂れ下がらず上に向かって出ること。そのためか、ヨウシュヤマゴボウほど気持ち悪く見えない。
1つ1つの果実には、カボチャのように筋が入る点も違う(ヨウシュはツルツル)
北海道だけでなく九州まで日本各地に分布し、実は昔、秋田市の町中で1株だけ見たことがあった。
厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル(http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_det_21.html)」には「在来種のヤマゴボウなど2種は身近に少なく誤食の可能性は少ないと思われる。」とあるが、身近にまったくないわけではないから、やはり注意すべきでしょう。



園内の多くは、植物園になる前の原生林がほぼそのまま残っているそうだ。通路を歩いていると、北海道の林の中に迷い込んだかのように錯覚してしまう。
明治時代あたりは、こんな中に時計台などがぽつぽつと建っていたのだろうか。
ヒグマが出たらどうしようと思ってしまいそうだけど、四方は道路とビルに囲まれているから、それはないでしょう。
柵の向こうは車が行き交う大都会
そんな林の中で、カリカリカリと音が聞こえてきた。何かの工事とは違うし、人の気配がない。林の中をよーく見ると、
リス?!

種としてはエゾリスってことでしょうか
これだけのうっそうとした林なら、いてもおかしくないけれど、見られてうれしかった。
秋田市の千秋公園にはニホンリスがいるそうだが、僕は今まで1度も見られなくて、特に子ども頃に悔しい思いをしたのだが、それが少し晴れた。
エゾリスは僕がいることには気づいているはずだが、クルミのようなものを食べるのに夢中。距離は10メートルほど離れていて、人間はこれ以上近寄れないことを知っているのだろうか。

粘ってもう少し撮影しようかと思ったけれど、臨時列車「ヌプリ」のガイドで「アイヌの人はエゾリスを『腑抜けになる』などと忌み嫌い、猟の途中で出会うと、中止して帰ってしまった」と聞いたのを思い出し、切り上げることにした。


北海道を代表する木の1つが「ハルニレ」。
「ハルニレの林」
植物園内には、開園前から生えている樹齢150~200年のハルニレの大木がたくさんある。
園内の樹木は約8000本。うち直径10センチ以上のものが3000本で、その1割300本がハルニレ。

ニレといえば、秋田市立保戸野小学校のシンボルツリー「ニレの木」。以前の記事ではハルニレだろうと推測した。ところが、
植物園のハルニレ。これはあまり大きくない
写真では分かりづらいかもしれませんが、幹の縦方向に凹凸があってゴツゴツした感じは、保戸野小のとそっくり。
でも、葉っぱが違う。植物園のハルニレのほうが明らかに大きい。ケヤキよりも大きく、まるでサクラの葉並み。
保戸野小のはケヤキより小さく、離れて見ると全体に繊細な印象を受けるのだが。植物園のハルニレとは違うような…
そして、
 これ!
保戸野小のニレの木に似ている木を発見!
「マンシュウニレ」または「ノニレ」と呼ばれる、ハルニレとは別の種だった。
植物園内には、温室の前などに数えるほどしかない。調べてみると、葉のほかにはハルニレとの違いは小さく、花の時期も近いそうだ。日本には自生せず、大陸から移入されたようで、保戸野小のも人が植えたのだろう。
※秋田市にあるハルニレについてはこの記事中ほど


園内では、観光客や地元の人のほか、学生など大学関係者も見かける。公園ではないので、スポーツや飲酒は禁止。(飲食は可)
その分、ゆったりと北海道の植物や自然に親しむことができる。
園内には、いくつか建物もある。各種展示施設として使われるほか、建物自体が重要文化財に指定されているものも多い。
「宮部金吾記念館」
植物園の初代園長の資料を集めた建物だが、その前にある木は「札幌最古のライラック」。
1890年頃、スミス女史が故郷のニューイングランドから持ってきたそうだ。もっと古いのが、スミス女史が創立した北星学園にあったそうだが、それは現存しないので、これが最古ということらしい。
この木から札幌のあちこちにライラックが分けられたそうだ。(函館にはもっと前の1879年にイギリスから持ち込まれている)
博物館
手前が1882(明治15)年築の「博物館本館」で内部は現役の(日本最古の建物の)博物館として公開。その後方の建物は「重要文化財建築群」と呼ばれる、明治・大正期の建物。
博物館本館では、動物の剥製を中心に展示。南極に行った「タロ」や世界で唯一残る「エゾオオカミ」があった。どちらも思ったより小さく、エゾオオカミはシンリンオオカミとは全然違って、どことなくキツネっぽい。
撮影禁止だと思って写真は撮らなかったが、フラッシュや三脚を使わなければ撮影できるそうだ。

以下も、すべて重要文化財かつ現役の建物。
「倉庫」1885(明治18)年

「便所」1903(明治36)年建築、1918年移築
重要文化財のトイレとは珍しいが、おそれ多くも一般入園者も使用できる。昔の公衆トイレ風の造りだが、水洗化されてきれいだった。
出入口へ戻って、
「門衛所」
1911(明治44)年の一般公開開始に伴って造られたそうで、今も時間外の守衛詰所になっている。

門衛所と出口。奥に道庁の赤れんがが少しだけ見える
雨にも当たらなかったし、いろいろとためになった。
大学としての教育研究が第一という考えなのか、昨今の他の多くの博物館のように積極的に人に来てもらおうとする取り組みはあまりされていない、飾り気のない施設だと感じた。だから、興味のない人にはつまらないかもしれないが、これはこれでいいだろう。
今度は、花がいろいろ咲く時期とか、新緑の頃なんかに訪れてみたい。
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洋種山牛蒡の家

2013-10-15 23:21:52 | 動物・植物
「ヨウシュヤマゴボウ」ってご存知ですか。
秋田市内の駐車場に茂るヨウシュヤマゴボウ。自重で倒れ気味
ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草。根が山菜の「山ごぼう」のようで、アメリカ原産の帰化植物(明治に渡来)なので「洋種山牛蒡」という意味。
「アメリカヤマゴボウ」とも呼ばれるようだが、セイヨウタンポポなどのように「セイヨウヤマゴボウ」ではないのがおもしろい。

人の背丈ほどまで大きくなるが、「木」ではなく「草」なので冬は地上部は全部枯れる(多年草だから翌年に同じ場所にまた生える)。
植物全体が有毒。食べた場合のみならず、「皮膚に対しても刺激作用がある」そうなので、むやみに折って汁を触ったりしないほうがいいのかもしれない。(参考:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル」http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/higher_det_21.html)なお、鳥は果実を食べるようだし、葉を食べる虫がいるようで、すっかり食べられて葉脈だけになった株を見かけた。
※食用にされる「山ごぼう」は、野菜のゴボウもしくはアザミの仲間の「モリアザミ」だそうで、いずれもキク科。ヨウシュヤマゴボウとはまったく別種。
※「山ぶどう」やブルーベリーともまったく違う別物。繰り返しますが有毒なのでご注意を!

ヨウシュヤマゴボウは夏以降に白い花が咲き、それが緑色の果実になり、熟すと黒に近い紫色になる。
果実はブドウっぽい形状
果実や茎の赤紫色の色素は、多くの植物で一般的なアントシアニンではなく、限られた植物しか持たない「ベタシアニン」という色素(色素構造の中に窒素原子を持つのがアントシアニンとの違い)。


僕がヨウシュヤマゴボウの存在を知ったのは、小学校2年生(たぶん)の理科の授業。「秋の植物のようす」みたいな単元だったはず。※当時は生活科がなく、小学校1年生から理科と社会があった。
当時の秋田市立学校が採択していた理科の教科書・大日本図書「たのしい理科」では、写真ではなく絵で「ようしゅやまごぼう」と紹介されていたはず。
授業では、教科書の絵を見ただけだったかもしれないし、クラスの誰かが実物を取って持ってきたような気もするし、先生から「この実は食べてはいけません」と注意があったような気がしなくもないような…
授業の記憶はほとんどないけれど、「ヨウシュヤマゴボウ」という名前ははっきりと印象づけられ、その響きは何か独特な誘惑を感じさせられた。
「洋種山牛蒡」という和名の由来は教わらなかったこともあり、「ヨウシュヤマゴボウ」の音だけが頭に入ってしまった。ワインの原料であるブドウのような果実の姿からの連想もあったのか「洋酒」だと思い、それに続いて突如「ゴボウ」が登場するのが、とても不思議に感じた。

そう感じたのは僕だけではなかったようで、その後、クラスでちょっとした「ヨウシュヤマゴボウブーム」が巻き起こった。
ある日「学校の中庭にヨウシュヤマゴボウの種が落ちている。それを拾って蒔けば、ヨウシュヤマゴボウが生えてくるよ!」と誰かが言い出し、僕を含むクラスの男女数人で、落ちている小さな黒い粒を一生懸命拾ったことがあった。
拾った種をその後どうしたかは記憶にない。さらに数年後に冷静に考えてみれば、ヨウシュヤマゴボウが生育する余地はない手入れされた中庭に、その種子がまとまって落ちているとは考えにくく、あれは別の植物の種子を拾っていたのではないかと思っていた。
ところが、今、改めてネットで調べてみると、ヨウシュヤマゴボウの種子は黒くて光沢のある直径数ミリほどの粒で、あの時拾ったものにそっくりである。ということは、あれはほんとうにヨウシュヤマゴボウの種子だったのだろうか。謎だ。
【2016年10月9日追記】鳥が落としていったフンに混ざっていた種だったのかもしれない。


小学校低学年の僕は、行動範囲は狭く植物への興味もさほどなく、その頃にヨウシュヤマゴボウの実物を見た記憶はない。その後、少し世界が広がると、秋田市中央部でもけっこうヨウシュヤマゴボウが生育していることを知った。(あるいは、人口減少や空き家の増加で人の手=草刈りが昔ほど入らなくなって、秋田市内でヨウシュヤマゴボウの勢力が広まったのかもしれない)
ついには、自宅の庭にも生えてきてしまった(まさか2年生の時に蒔いた種?)。
その頃にはヨウシュヤマゴボウブームは消え去り、改めて見れば、赤い茎、果実の形や色が毒々しくて少々気持ち悪い。自宅に生えてしまったのには、困惑した。

Wikipediaによれば、ヨウシュヤマゴボウにも花言葉があり、「野生、元気、内縁の妻」。内縁の妻はなんでだか分からんが、その他2つは、ヨウシュヤマゴボウの姿を見れば納得できる。(個人的には、花言葉って植物に対して勝手な価値観を押し付けるようであまり好きじゃないのですが)
空き地や駐車場の片隅はもちろん、アスファルトの隙間から生えたり、一度草刈りされたのに再度伸びて結実に至ったりと、帰化植物らしい「ど根性」ぶりを見せつけるから。
気持ち悪く感じる茎や花も、生け花に使われることがある。


さて、9月中旬に秋田市中央部を歩いていると、
ヨウシュヤマゴボウの枝?!
家の玄関らしい引き戸のすき間から、道路に向かってヨウシュヤマゴボウの枝(茎と葉)が出て、その先に花が咲いていた。
ということは、この家って? そしてヨウシュヤマゴボウの根元はどこに?
20年以上前にはちらほら見かけた「ドロボー立入禁止地区」の看板が残る
なんと、玄関の床(土間)からヨウシュヤマゴボウが生え、玄関先の空間に繁茂。そして、その先端の一部がたまたま、引き戸のすき間から外に出たのだった。
外で花を咲かせられたのは奇跡的
以前からのこの家の存在は知っていたが、こういう状況だということは空き家だったのか。ガラスが割れたりはしておらず、見た限りはちゃんとした家の体裁を保っているが、屋根などにすき間があって、そこから種が落ち、雨水が漏れ落ちて発芽・生長できたのだろう。光は、引き戸のすりガラス越しに日光が充分入る。
(玄関のすぐ外側のコンクリートのすき間からも小さなヨウシュヤマゴボウが生えていた。もしかしたらその株と中の株とで根がつながっているのかもしれない)
ガラスの向こうには…
すりガラス越しに見ると、屋内では外に生える株と同じくらいかそれ以上に元気に繁茂している。ある意味、外敵から隔離され、保温された温室状態だからね。
ただ、葉の一部が枯れているのは水が充分でなかったり、屋内で通気が悪いためだろうか。

ちょうど1年前に撮影されたGoogleのストリートビューを見てみると、
ひざ丈くらいか
昨年は外へ枝を出せなかったようだし、屋内側でも実を着けられなかったかもしれない。少なくとも2年越しで外へ出てきたことになる。

中でも実を付けているけれど…
9月下旬に再び通ると、外に出ていた枝がなくなっていた(中はそのまま)。近所の人が切ったのか、酔っぱらいがむしり取ったのか。
若干通行のジャマではあったけれど、やっとのことで外に出てきたヨウシュヤマゴボウを思うと無念。
ヨウシュヤマゴボウのしたたかさを見せつけられた、「ヨウシュヤマゴボウの家」だった。

ちなみに、この場所は、危険な空き家の近く。その家は、いつ倒壊しても不思議でない状況のまま、今も変わらない。
ヨウシュヤマゴボウの家も、このまま何年も放置されれば、同じ姿になってしまうかもしれない。
※翌2014年は、家自体の状態は変化なし。しかし、8月時点において、ヨウシュヤマゴボウはまったく生えていない(ガラス越しに内部にも確認できない)。何らかの処置がされたのか。
※さらに2015年は、2013年ほど盛大ではないものの、家の中で繁茂している。2年ぶりに復活した。この記事末尾参照。
※そして2016~2017年冬にはこうなってしまった(リンク先中ほど)。


ところで、この植物がわざわざ「“ヨウシュ”ヤマゴボウ」という名前になったからには、「ヨウシュじゃないヤマゴボウ」もあるのです。後日別記事にて。
※別のヨウシュヤマゴボウの姿はこの記事後半
【2017年4月24日追記】さらに別のヤマゴボウも知った。「オンブー」または「メキシコヤマゴボウ」と呼ばれるもので、木のように巨大になる草。日本でも栽培する植物園があるとのこと。
コメント (2)
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