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弘前の公園と犬

2011-06-04 21:01:50 | 津軽のいろいろ
街の中にある「都市公園」。遊びや憩いの場、災害時の避難場所などとして、都市生活には欠かせない。
僕は秋田市と弘前市にしか住んだことがないが、両市の都市公園にはいろいろ違いがある。
※記事中では秋田市と弘前市の状況を混ぜて記載しています。混同・誤解されないよう、ご注意ください。

●都市公園とは
都市公園法で定める「地方公共団体が設置する都市公園」には、秋田の千秋公園や弘前の弘前公園のような大きなものから、住宅地の児童公園的なものまでが含まれる。

都市公園を管轄するのは、秋田市では建設部公園課、弘前市では商工観光部観光局公園緑地課。
都市公園担当課は、全国的には都市計画や建設関係の部に設けられることが多く、弘前市のように観光関係の部内にあるのは珍しいと思う。さすが観光都市だ。
(秋田市浜田森林総合公園(梅林園)や弘前市りんご公園のように、農林関係のセクションで管轄する公園もある。これは都市公園ではないのかな?)

弘前市では、公園管理の実際の作業は、外郭団体の「弘前市みどりの協会(旧弘前市公園緑地協会)」が行っているようだ。
樹木の剪定も造園業者に委託するのでなく、同協会自身で行っているらしく、そのせいかどこの公園の桜も、弘前公園に負けない美しい花を咲かせる。
また、同協会では、公園ごとの各種作業予定や冬期のトイレ閉鎖などをブログで紹介しており、親切。


●公園の名前
都市公園は、どのくらいの範囲内に住む人の利用を想定しているかや面積によって、いくつか種類がある。
※国土交通省都市・地域整備局公園緑地・景観課のホームページ(http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/p_toshi/syurui/index.html)に分類が出ている。

秋田市では、基本的にこの分類に従って各公園の命名をしているようだ。(「インターネット版秋田市例規集」内に一覧表あり)
保戸野八丁街区公園」「広面近隣公園」など、「地名+公園の種類」という名称がのものが圧倒的に多い。
ただし、「保戸野街区公園」「楢山緑地」など大雑把な地名が付いているもの、「友鳩街区公園」「琴平第一街区公園」「楢山末無町街区公園」「川尻カイハ街区公園」「通り穴第一街区公園」「柳原新田第四街区公園」など、住居表示が実施された地区であっても以前の地名が使われているもの、通称(団地名や町内会名?)が使われるもの、「第一、第二…」と番号が付くものがあり、名前を聞いただけでは場所を連想できない公園も少なくない。


一方、弘前市では、一覧がないので全貌は不明だが、秋田市ほど名称が厳密でない印象がある。
秋田市で言う街区公園っぽいものでも、「◯◯児童公園」「◯◯児童遊園」「◯◯公園」といった名称があるようだ。
なお、「児童公園」は街区公園のかつての名称、「児童遊園」は児童福祉法に定める施設(児童館併設の庭みたいなの?)だそうだ。


●緑地
都市公園の分類では、「都市緑地」というのもある。遊具のない公園みたいなものだろうか。

都市緑地に相当すると思われるものは、秋田市では、「中通二丁目広場(アトリオン仲小路側?)」「山王官公庁緑地(市役所前庭?)」「雄物川河川緑地(茨島地区の河川敷?)」「楢山緑地(楢山南中町)」など、数えるほどしか存在しない。
 
秋田市の「楢山緑地」は、ここはかつて市立秋田南中学校、さらに以前は市立秋田商業高校(の前身)があったらしい。
避難場所の表示は「楢山緑地」だが、公園の門(校門の跡?)は「楢山公園」となっている。


一方、弘前には「◯◯広場」「◯◯緑地」というのがとても多い。
一見、ただの桜並木に見える弘前市道路沿い
手前が「中野児童遊園」、先の方に少し見えるのが「中野緑地」だそう。
「児童遊園」の方にはすべり台などが多少あるが、「緑地」の方はただのグリーンベルトのようにも思える。

住宅街の中のほんの小さな空き地に芝を張ってベンチを1つ置いただけみたいな「緑地」もある。
法律では、都市緑地は面積0.05ha以上を標準として設置することになっているらしいが、明らかにずっと狭い。(街区公園は0.25haが標準)
弘前市春日町緑地

ただの空き地と言えなくもなさそう…

また、緑地が近接してあることも多い。
上の春日町緑地のそばにある、
弘前市仲町緑地
仲町緑地は武家屋敷の近くであることもあり、広くて樹木が多く、東屋もあっていい雰囲気。

さらに、なんと、仲町緑地の向かいにも緑地が!
こちらは狭いが黒い板塀に囲まれる
青森市出身で弘前市に暮らしていた津軽弁詩人であり医師の高木恭造の詩集「まるめろ」にちなんだ緑地で、その名も、
「まるめろ緑地」
緑地内にはマルメロの木が植えられている。
まるめろ緑地から向かいの仲町緑地を見る


●犬・猫
弘前市の公園といえば、この立て札
「犬・猫等の入園を禁止します。」
弘前公園のような大きな公園から、上記の街区公園や緑地、りんご公園など、すべての公園類にこの表示がある。

弘前市都市公園条例を見ても、動物を連れて立ち入ることを明確に禁止するような条文は見当たらず、根拠はよく分からないが、ともかく一律に禁止されている。
これでは、犬の散歩の途中にベンチに座って休憩することすらできない。
弘前市南大町第2緑地
線路と民家に挟まれたここも細長くて狭い緑地だが、中央部分が歩行者用通路を兼ねているようだ。ここも犬は通れないっていう理屈なのだろうか?

ちなみに、秋田市では、「犬のフンは持ち帰ってください」「猫にエサを与えないでください」といった表示をよく見かけるが、これはすなわち、犬や猫がいること自体は問題ないと解釈できる。
ただし、ごく一部の街区公園では、「近隣から苦情が出ていますので犬の立ち入りを禁止します」といった、公園課もしくは町内会名義の手作りの札を見たことがある。状況に応じて、対処しているようだ。

僕が子どもの頃は、道端などで犬のフンを踏んづけることは珍しくなかった。
しかし最近はそんなこともめっきりなくなり、飼い主のマナーが向上していると感じている。弘前市だけ特別にマナーが悪いというようなこともないと思う。
弘前市で犬を飼う人の中には、この規制に不満な人も少なくないようだし、よそ者ながら僕も厳しすぎると思う。

もちろん、動物が怖い人もいるだろうし、放し飼いはもってのほか。万一に備えて飼い主がリードを持つことは必須。それに弘前公園などでは貴重な建造物にオシッコをかけられても困るから、場所による規制は必要だろう。
だけど、住宅地の街区公園や緑地程度なら、飼い主同伴のペットが入っても問題ないのではないだろうか。

弘前市の「わたしのアイデアポスト」に市民などから寄せられた要望と市の回答が、市のホームページに掲載されており、公園にペットを入れさせてほしいという意見も複数あった。それに対して市では、
多くの町会から犬・猫等のペットの糞尿の処理に苦情が寄せられたことや、公園の清潔さと安全性に問題があるため、全公園でペットの入園を禁止したものであります。
近年、ペット愛好者からの入園禁止規制の解除を望む声もありますが、残念なことに、禁止している現在においても、ペットの糞尿の不始末、ノーリードでの放し飼いによる公園利用者と飼い主とのトラブルなどが後を絶ちません。
」「規制の解除について同意を得られるまでに至っておりません。
公園内へのペット入園に関し、他の自治体では、認めているところ、認めていないところがありますが、それぞれに問題が生じているのが現状です。公共の公園を管理している自治体等では、その対応に苦慮しており、公園管理に関する各講習会においても、ペットの対応についての情報交換、また研究議題として取り上げられています。
などと回答しており、弘前市では禁止をやめるつもりはなさそうだ。

市の言い分も分かるが、それなら路上にフンを放置する人もいるだろうし、その辺のリンゴ畑なんかにする人だっているのではないだろうか。
市が飼い主に対して、マナーを周知・指導する活動を行うことも可能ではないだろうか。(秋田市では市保健所が実施している。弘前市は中核市でないので保健所は県管轄であり、難しいのかもしれないが)
要はごく一部のマナーの悪い飼い主のせいなんだけどね。

【2012年5月23日追記】2012年5月21日から10月末まで、弘前市の2つの公園において、犬が入れるようにする社会実験を行なっている。結果次第では犬が入れるようになるかもしれない。東奥日報によれば、弘前市管理の公園は338あり、すべてで犬が入れない。


●犬のいる緑地
弘前市で唯一、犬がいる緑地がある。
といっても犬のオブジェで、弘前市出身の画家・彫刻家の奈良美智(ならよしとも・男性)氏の作品。
同氏の犬といえば、2006年にオープンした青森市の青森県立美術館の「あおもり犬」。高さ8.5メートルのつるんとした白い垂れ耳の犬で、胴体が地面に埋まっている。

一方、弘前の方は、
場所は中土手町や土淵川沿いの弘南鉄道大鰐線・中央弘前駅からすぐの
「土淵川吉野町緑地」
※観光地図では「吉野町緑地公園」などとなっているものもある。
隣には、レンガ造りの「吉井酒造煉瓦倉庫」がある
2006年夏に隣の倉庫で「YOSHITOMO NARA+graf AtoZ」という展覧会が開催され、盛り上がった。
終了後の翌2007年10月に、その収益金で制作して弘前市に寄贈され、この緑地に設置されたのが、この犬。
「AtoZ Memorial Dog」というタイトル
全長約4.5m、高さ3m、巾約1.5m、 重量1t。(特定非営利活動法人harappaサイトより)

美術館のあおもり犬よりは小さいようだが、開放的な空間にある全身像だからか存在感は充分。
あおもり犬と“同じ犬”なのか、よく似ているけど、表情は違うし、表面がよりつるつるしているようだ。
犬と五重塔

手前はラベンダーか
園内にはあまり大きな木がない。ラベンダーもいいけれど、ケヤキとかイチョウとか木を植えれば、木陰ができて良さそうに思うけれど。これだと真夏は来る人がいないんじゃない?

弘前駅城東口の新しくなった地図にも、この犬のイラストがあった。
やや頭でっかちで足長か
土淵川吉野町緑地では、冬に犬の雪像コンテストが行われたこともあるが、もちろん本物の犬が入ることは禁止されている。

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4 コメント

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公園・緑地 (とびいり)
2011-06-04 21:26:29
いつの頃からか弘前市は公園に対して結構なチカラを注ぐようになり、猫の額のような余地でも空地にしておかず緑地などにさせています。
その多くは公共用地であり、施設の移転により余剰発生した土地や、道路拡幅などで家も建てられないくらい狭くなった残地を買い上げたりした場所に作られています。

また青森県では、民間の業者が開発許可(造成を行って建物を建てられる土地を整備するための許可)を取るには、条件によって緑地の整備を強く求める場合があるようです。
いずれにせよ、公園・緑地を「作る・維持する」といってもお金がかかります。が、極端な反対論は沸き起こっておらず、冬場に雪を投げられるという利点もあるようです(投雪禁止の場所もあります)。
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猫の額 (taic02)
2011-06-04 22:32:37
まさに「猫の額」と呼ぶにふさわしい緑地もあり、驚きました。
たまに歩道が部分的に無意味に広い場所があったりしますから、そんなことをするよりは緑地扱いにした方がいいのかもしれませんね。雪の多い弘前では雪捨場としての利用もできるのには納得です。

秋田でも新興住宅地は公園が多い印象があります。
秋田市中心市街地には、公園が極めて少ないエリアがあり、味気ない気がしています。
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ツルツル! (あどれ)
2011-06-08 22:25:37
青森犬が脱走したのかと思いきや!
青森犬じゃないのね?兄弟??
その頭の光沢が我が家の黒びかりしてる方と似てるような・・・(笑

青空と犬と倉庫の写真、素敵です。雲の流れも絶妙なタイミング!
犬が禁止されてる、ってちょと残念かな。。。
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黒版があったら (taic02)
2011-06-08 22:55:22
どういうご関係かは存じませんが、よく似てますよね。
美術館のあおもり犬の方は、壁沿いで窮屈そうですが、こちらはのびのびとして見えます。冬は雪に埋れてつらいかな?
これの黒版があったら、あどれ像ですな!
そろそろラベンダーが咲いて、もっときれいになっているかもしれません。

公園でお散歩できないって、なんか大変そうですよね。
数日前のニュースによれば、弘前市営のホテル「ロマントピアそうま」(秋田市だと仁別みたいな所)にペットが泊まれる部屋ができるということでしたが、市内の公園の規制はこのままなのかしら…
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