広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

ポプラ探訪

2015-10-08 23:32:59 | 動物・植物
当ブログでは、樹木のポプラを何度か取り上げてきた。
ポプラというのは、原産地や樹形が異なる種(しゅ)やそれらの交雑種を含む総称であり、それぞれの種名は専門家の間でも見解が統一されていなかったり、混同されていたりするらしく、あいまい。

札幌の北海道大学の並木のような、根本から何本も枝分かれして細長い樹形になるのが、狭義というか基本的なポプラらしい。
秋田市内では、城東中学校のグラウンドや山王中学校隣・県庁第二庁舎裏の山王第一街区公園のポプラが、それっぽい。
一方で、保戸野小学校のグラウンドにあって今はすべてなくなってしまったポプラは、地際からは太い幹が1本だけ出て、上の方から枝が分かれて広がった樹形で、これは別種だと考えられた。
この記事など参照


ほかに秋田市内にポプラ並木って、あったっけ?
1972年10月1日付「広報あきたNo.537」の連載「秋田市の木と林と森」第18回が参考になった。以下、引用文は原文ママ。種名については上記の通りあいまい。

「私達の秋田でも通り町橋たもとのホテルハワイの川岸と、中通り五丁目あきたくらぶの庭に見事な並木が茂っています。 」
通町橋は50メートルに16本、推定樹齢60~70年、中通は60メートルに14本、推定樹齢70~80年との表も出ていた。

通町橋のホテルハワイは現在のアパホテル、あきたくらぶは現在のルートイングランティアであり、どちらもポプラは現存しない。そして、

「近年イタリアポプラと称する改良種が導入されて広まっていますが、これは生長が非常に早く十年そこそこで用材をとることができます。」「十条製紙KKでは新屋大橋に近い川べりにイタリーポプラの見本林を作っています。」
十“条”製紙ではなく正しくは十條製紙。企業名の変遷を経て、現在は日本製紙でいいのかな? 新屋大橋に近い川とは、秋田大橋と雄物川のこと。
イタリアポプラのことを「セイヨウハコヤナギ」だとする資料もあるが、それだと「改良種」には当たらない。交雑種の「カイリョウ(改良)ポプラ」のことなんだろうか? とにかく複雑。

そう言われれば、新屋にはあったような。
秋田公立美術大学の裏(附属高等学院側)と堤防の間に、十條製紙系列のゴルフ練習場(今は営業していない)があり、その辺りにそれらしきポプラがあった。秋田大橋からも羽越本線の列車からも見える。
堤防から。右奥が美大附属高等学院
根元付近へ立ち入ることはできない。
美大側から
4本のポプラがあった。以前はもっと本数があったのかもしれない。
葉がまばらに見えるのは具合が悪いのか。(過去のストリートビューの画像ではもっと多い)

この木は、地面からは1本の幹だけ出ていて、北大のとは違う。
どちらかと言えば、保戸野小のに似ている。だけど、より低い位置から枝分かれしていて、樹皮の凹凸も少し違う感じ。
(再掲)在りし日の保戸野小のポプラ
この斜め向かいの、美大の駐車場(新屋図書館側ではない大学単独の大駐車場)とグラウンドの間にも、8本程度のポプラらしき木が並んでいた。こちらは葉が繁茂して元気そう。(写真はありません)
かつて国立米倉庫だった頃に防風用に植えられたのかもしれないが、いずれにしても十條製紙との関係はなさそう。
枝の出方は十條製紙のに似ている。一方で背が高くてスラリとした外見で、その意味ではどことなく北大などの並木を連想させる。
【10日追記】昔の航空写真を見てみると、現在、ゴルフ練習場跡と美大の間にある市道は、昔はなく、両方の敷地が一体化しているようにも見えた。ひょっとしたら、十條製紙によって同時に植えられたポプラであり、後に一部が(国立米倉庫を経て?)秋田市の所有となって残っていて、その間にあったポプラは切られたということかもしれない。そして、以降の管理者と環境変化が違ったから、違う姿形になったのかもしれない。



そして、秋田市内の別の場所で本格的なポプラ並木を見つけた。「ぽかぽかオレンジロード」である。と言われてもどこか知らない方が多いでしょう。
所在地は大住三丁目から仁井田潟中町にかけての、仁井田緑町との境界をたどる道。仁井田緑町とは、県立秋田南高校の敷地。つまり、南高の裏側を通る遊歩道のことである。
地元の大住地区の人たちが管理していると聞いていたが、なんで「オレンジロード」なのか知らなかった。テレビアニメ(1987年度放送)にもなった漫画「きまぐれオレンジ☆ロード」を連想してしまう。

2005年に秋田市が整備してオレンジ色に舗装したのを機に、愛護会が結成されて命名されたそう。なんのことはない、路面の色が由来でした。
特に表示板などはなく区間はあいまいだが、オレンジロードとしては400メートルあるらしい。ポプラが植わっている区間として長めに解釈すれば500メートルほど。
ぽかぽかオレンジロード大住側起点。たしかに路面はオレンジ色
道の片側(南高側)にだけ、けっこうな本数のポプラが並んでいる。
そしてそのポプラは、幹からの枝分かれのしかた、樹皮の凹凸、葉っぱの感じ(葉柄がやや赤く、葉は大きめ?)からして、保戸野小学校ポプラとかなり似ていると思う。
ただ、これまで見たどのポプラよりも樹高が低く、ずんぐりむっくりしてプラタナスのようにも見えてしまう。剪定など管理方法のせいかもしれないけど、保戸野小のはもっと高かった。
これは特に小ぶりな木
仁井田潟中町方向に進むと松が混じるなどしてポプラはまばらになるが、南高の敷地沿いに点々と同タイプのポプラがある。

いつからポプラがあるのかは分からないが、南高ができる前のここは「潟」だったそうだから、開校後・1962年以降だろう。保戸野小の今は亡きポプラは、1960年代には既に植えられていた(以前の記事で検証)ので、こちらはずっと若い木なんだろう。(だから背が低い?)
【10日追記】ここのポプラは、どれも南高側に向かって傾いている。大住側に住宅ができる前(湿地や田んぼだった頃?)は、海や雄物川からの北西の風をまとも受けていたせいだろうか。

北大の並木なんかと比べれば、雰囲気が違うけど、本数・距離としては、ぽかぽかオレンジロードが秋田市随一のポプラ並木ではないだろうか。

【2017年9月6日】中島みゆき(作詞作曲歌)「空と君のあいだに(1994年)」では、冒頭で「君が涙のときには 僕はポプラの枝になる」と、いきなりポプラが登場(他の植物は出てこない)。
君を守ってあげるというニュアンスは分かるけれど、どうしてまたポプラを選んだのだろう。ポプラのイメージと語呂・メロディの乗せやすさかな…
関係ないけど、この曲、タイトルは「空と君のあいだに」なのに、歌詞ではすべて「空と君とのあいだには」と、「君“と”の」と「と」が入るのが昔から気になっていた。それならタイトルにも「と」を入れればいいのに…

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