広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

けやき通りのエノキ

2012-07-17 20:48:19 | 動物・植物
秋田市の八橋(やばせ)地区と川尻地区を結ぶ市道(「川尻総社線」というらしい)のうち、八橋の旧国道~秋田市消防庁舎前・八橋運動公園東側~市役所・県庁・裁判所の横~山王4・5・6丁目までの850メートルほどの区間は、中央分離帯のある広い道。
この区間は「けやき通り」と呼ばれる。
けやき通り南端(山王側)
秋田市が「市民に親しまれる道路愛称」として(市道以外の道も対象に)公募して決定しているもの(※以前の記事)で、けやき通りは1985年度の第2回で命名されている。
「市民に親しまれる道路愛称」で決定した名称の中には、秋田市民や道路利用者に必ずしも浸透しているとは言えないものもあるが、けやき通りは多くの人に認知されていて、周辺の店舗名に使われるなどしている。
とはいえ、このマンションは、
「朝日プラザ欅通」(正式には「朝日プラザエース【21日訂正】エザース欅通」らしい)
なんで「けやき」を漢字にしたんだろう。入居者は住所が書きづらい・覚えづらいでしょうね…


「けやき通り」の由来は、道の中央分離帯がケヤキ並木であるからだろう。
といっても、秋田市内では竿燈大通り(これも1995年に公募された名称)も同じようなケヤキ並木だし、他にもケヤキ並木の道路はいくつもあるのだけど。

実は、けやき通りには、ケヤキ以外の植物(樹木)もいくつか植えられている。
まず、車道と歩道の境にはプラタナス(モミジバスズカケノキ)が植えられている。

それから、中央分離帯のケヤキの間(特に「県庁西」交差点より南側に多い)には、また別の木(低木)が。それは、
アジサイ
※この記事のアジサイの写真は少し前に撮影したものもあります
セイヨウアジサイが多く、ガクアジサイが少しだけ(奥のほう)

セイヨウアジサイは花の色が微妙に異なるものも
6月下旬には草ぼうぼうでアジサイが埋もれたように見えたが、花に合わせたのか草刈り作業を行なってくれた。

アジサイは家庭の庭や公園ではおなじみの木だけど、街路樹それも中央分離帯にあるのは珍しいのではないだろうか。
アジサイという木は、暑さというか強い日射には弱いらしく、庭に植えているものも夏の炎天下では葉がぐったりしてしまう。中央分離帯のアジサイもぐったりしているのを見たことがある。(放置しても枯れてしまうわけではなく、夜に涼しくなると復活することが多い)
けやき通りのアジサイ


さて、最後の木。これは最近、存在を知った。
けやき通り北端(八橋の旧国道との交差点)
中央分離帯の木に注目。ずらりとケヤキが並んでいるわけだけど、実はいちばん端(写真手前・信号柱の後ろ)の1本だけはケヤキではなかった。
ケヤキに比べて小さい

木のそばに何やら標柱と看板が設置されている ※後ろは解体されたビル
分離帯上なので見に行くのは危険なのでズームしてみると、
「一里塚跡」 「八橋一里塚のえのき」立派な割にちょっと分かりにくい文面のような…
この木はエノキ(榎)だそうだ。

申し遅れましたが、このけやき通りと旧国道の交差点には「八橋一里塚」という名称(地点名)がついている。
旧国道は旧羽州街道であり、その一里塚がここにあったのだ。

一里塚は江戸時代に街道上の距離の目安として、1里(約3.9キロ)ごとに設置されていた塚。秋田市内には、牛島や土崎、追分などにもあったようだが、今となっては明確に場所が分かるのはここだけ(だと思う)。
その八橋の一里塚は、特に塚がそのまま残っているとか復元されているとかではなく、交差点名に名を留める程度だと思っていたけれど、このエノキも関係するようだ。

一里塚には木が植えられることがあり、それはエノキが多かったという。
きっと八橋の一里塚にもエノキがあったのだろう。
その当時を偲んで、けやき通りができた後に分離帯にエノキが1本だけ植えられたのだと思われる。
「秋田市緑化推進委員会」による看板設置は平成2(1990)年3月付。それにしても上の写真の通り、看板の文章の時系列がめちゃくちゃ(旅の旅程を示す目標として一里塚“跡”に植えられた?)で分かりづらい。

ちなみに、かつてはこの辺りに「八橋字一里塚」という地名があったそうだ。
1966年に高陽青柳町と高陽幸町、1982年に八橋本町(一、三、四丁目)の各一部となって、消滅している。



ところで、僕が秋田でエノキの木を意識して見たのは、これが2本目。
もう1つは昨年、仁井田大野で見た保存樹の「大野のえのき」。
秋田にはエノキの木はあまりないと思う。(でも、秋田には「榎さん(榎姓)」がそれなりにいらっしゃるけれど)

エノキはニレ科エノキ亜科エノキ属。
ケヤキはニレ科ニレ亜科ケヤキ属なので、そう遠縁でもないというところか。けやき通りのエノキは小さいけれど、本来はケヤキ並みの大木になる。
 
葉っぱを見ると、まずケヤキと違って光沢があるのに気付く。照葉樹っぽくて暖地の植物のようにも思える。
そして、ケヤキと比べてエノキのほうが葉が大きく、葉の縁のギザギザがないようだ。(本当は先端のほうにはギザギザがあるらしいが、ちょっと分からない)

エノキはきれいに黄葉するという。
秋に八橋一里塚交差点に来れば、ケヤキとエノキの美しい紅葉・黄葉のコラボレーションが見られるのかもしれない。
※いちおう、エノキの秋の様子
※秋田市内にある大きなエノキについて(リンク先後半)
※さらにその後の秋の様子

ケヤキに近縁で秋田ではあまり見ない木は、また別の種がありまして、それはまた後日

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4 コメント

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エノキ (ポルタ)
2012-07-18 19:55:08
もともとの一里塚のエノキは道路拡幅で塚が壊される際、緑地帯に移植されたそうです。保存樹にも指定されていたようですが、いつの間にかなくなったようです。
ちなみに、土崎の寺小山公園に立派なエノキがあります。
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寺小山 (taic02)
2012-07-18 22:08:38
情報ありがとうございます。
元々の木も、また塚自体も比較的最近まで残っていたということですか。とすれば、ちょっと残念です。

土崎方面には疎くて「寺小山公園」を知りませんでしたが、駅北側の奥羽本線から貨物支線が分岐する辺りでしょうか。
そういえば大きな木があるのを車窓から見たような記憶もあります。いつか見てみたいです。
返信する
一里塚 (FMEN)
2012-07-20 07:27:33
秋田で塚として残ってるのは神岡のR13が両側、片側は湯沢のR398だけとか。
それでも遺構としてAKT前を残しただけ良かったと思います。


欅通マンション、本名は朝日プラザエザース欅通というとか。
言いにくい、書きにくいですね。
朝日プラザエザースは学園通(附属小学校近く)もそうみたいですが、エザースって?
返信する
エザース!! (taic02)
2012-07-21 22:43:22
朝日プラザ「エース」だと思っていたら「エザース」だったんですね!
ありがとうございます。
エザースとは何なんでしょう?

けやき通りって、両端は突然道幅が狭くなって、中途半端な感じがしなくもないですね。
もうちょっと配置を工夫して塚を残すとかなんとかできたかもしれません。
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