【東京】沖縄県与那国町で2016年3月に配備された陸上自衛隊「与那国沿岸監視隊」を巡り、部隊の駐屯地内に弾薬庫が整備されていたことが27日、分かった。防衛省は13年に作成した資料で、弾薬庫を「貯蔵庫施設」と記載していた。弾薬が貯蔵されることが住民に周知されぬまま、15年に部隊配備の是非を問う住民投票が実施され、賛成多数の結果が出ていた。町民からは「投票に影響を与えた」との批判が上がっている。

与那国町の陸自沿岸監視隊施設

与那国駐屯地の弾薬庫の入り口=2016年12月、与那国町の同基地(猪股哲さん提供)

 
 防衛省は27日、沖縄タイムスの取材に「貯蔵庫に弾薬類を保管する、と町側に口答で伝えた」と説明した。一方、部隊配備に反対する市民らでつくる「与那国島の明るい未来を願うイソバの会」は14年、沖縄防衛局に「弾薬類を保管する場所はあるか」などと質問状を送ったが、回答は得られなかったという。

 防衛省は保管している弾薬の種類を「能力をさらすことになる」として具体的に説明していない。保管施設の名称は「決まりがなかったため、今回のような表現となった」とした上で「誤解を招くため、同様の施設は今後『火薬庫』と記載していく方針」と説明した。

 防衛省によると、弾薬類の保管施設を「貯蔵庫施設」と記載した部隊配備の説明資料は2013年8月、省側が町への説明のために作成。同じ時期に省職員が町側に、弾薬が保管されることを口頭で補足説明したという。

 ただ、防衛省は住民説明会を開いておらず、弾薬の存在は周知されなかった。政府関係者は「地元の首長が反対している案件であれば国が説明会を開くが、与那国の沿岸監視隊は町側が誘致したと理解しており、説明も町に任せていた」と話している。