辺野古県民投票実施へ 賛成多数で条例可決 県議会
八重山日報 2018/10/27
県議会(新里米吉議長)は26日、米軍普天間飛行場の辺野古移設の賛否を問う「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」の与党修正案を、与党の賛成多数で可決した。投票者は「賛成」「反対」の2択で意思表示する。自公は選択肢を増やす修正案を提出したが、否決された。日本維新の会の2議員は退席した。県民投票の予算約5億5千万円などを盛り込んだ一般会計補正予算案も可決した。県民投票は公布の日から6カ月以内に実施される。
辺野古移設に反対する県は、辺野古沿岸埋め立て承認を撤回し、今後、国との法廷闘争に突入する見通し。県民投票で移設反対が多数を占めるのは確実視されており、玉城デニー知事は「民意」を盾に国と対峙する構えだ。
条例によると、県民投票は、国が辺野古で計画している「米軍基地建設のための埋め立て」に対し、県民の意思を的確に反映させることが目的。投票資格者は告示日時点の有権者。投票用紙の「賛成」「反対」欄のいずれかに「○」の記号を記入する。
賛否いずれか過半数の結果が、投票資格者総数の4分の1以上に達した時は、知事は投票結果をただちに告示し「尊重しなければならない」と定めた。知事は投票結果を首相、米国大統領にも通知する。
自公は否決された修正案で、県民投票の選択肢を「賛成」「反対」のほか「やむを得ない」「どちらとも言えない」に増やすよう求めた。また、条例名に「米軍基地建設」という文言が入っていることを疑問視した。
採決前に退席した當間盛夫氏(維新)は、4年前の知事選で、県民投票を提案したが、その後、最高裁による判決が出たと指摘。今回の県民投票条例は「辺野古反対のための県民投票になっている」と批判した。
県民投票条例は、県民有志が各市町村で署名を集め、県に制定を直接請求した。
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辺野古埋め立て「撤回」をめぐる国交省の裁定は、来週一杯には決まる見込み。
前回の「取り消し」の前例から判断すれば、「撤回」の執行停止が決まる。
埋め立て工事は再開される。
納得できないとして県が国を提訴し、結局前回同様最高裁で「撤回」の失効が確定するだろう。
つまり「あらゆる手法で辺野古阻止」を公約にしたデニー知事は、「撤回」の失効により、もはや成すべき術をすべて失うことになる。
そこで「最後の手段」として登場したのが「県民投票」という「民意」だ。
>県民投票で移設反対が多数を占めるのは確実視されており、玉城デニー知事は「民意」を盾に国と対峙する構えだ。
県民投票は「辺野古米軍基地建設のための埋め立て」に賛成か反対の二者択一。
沖縄2紙はこのように県民を洗脳してきた。
「辺野古移設=新基地建設=戦争への道=人殺し」
沖縄2紙により、「米軍基地=諸悪の根源」と繰り返し報道され、地政学的観点から沖縄の安全保障についての議論することを省略した現状で二者択一で賛否を問えば、米軍基地に反対なのは保革を問わず県民の多数意見だろう。
しかし法的決定権を持たない県民投票で賛否いずれの「民意」がでても、辺野古移設に法的影響が及ぶことは無い。
沖縄県は、県議会の多数決で「県民投票」実施条例を可決した。
二者択一による「辺野古移設」の「民意」を得る目論みである。
安全保障の必要性を論じることなく、「米軍基地」の賛否を問えば、大多数の県民は「反対」であろう。
従がって「県民投票」は、「米軍基地反対」の民意を表明するだろう。
多数決は民主主義の根幹をなす。
では、多数決で得た「県民投票」の民意は、尊重すべきか。
「民意」に従がうべきか。
多数決には、少数意見の暴走を食い止めるという期待が込められている。
これは多数決の神話であり、多数決は多数意見の暴走には何の歯止めも準備していない。
民主主義の根幹をなす選挙は多数決の典型だが、選挙はポピュリズムとの戦いである。
言葉を変えれば民主政治は衆愚政治との戦いである。
つまり、多数決が正しいというには、県民が愚かでないことが前提である。
そこで登場するのが新聞の役割である。
公正な県民の判断に寄与するために、新聞には公正な報道が求められている。
では、現在沖縄で行われる予定の「県民投票」に関し、沖縄2紙は公正な立場で報道しているか。
否である。
公正どころか偏向を通り越して捏造報道さえ罷り通っている。
沖縄の現状のように歪な言論空間を放置したまま、県民に多数決の県民投票を求めるのは衆愚政治の典型と言われても仕方が無い。
このようにして生まれた「民意」は衆愚の結晶であるからだ。
少し乱暴に結論付けると、こうなる。
多数決は衆愚の温床である。
個人では冷静な人が、群集心理で狂気に走ったりやヒトラー政権下の大衆の狂気をみると、多数意見が必ずしも正しいとは限らないことが分かる。 いや正しいどころか狂気に走ることさえある。
「狂気は個人にあっては稀なことである。しかし集団・民族・時代にあっては通例である。」 (ニーチェ)
四年前の県知事選で仲井真元知事は「辺野古移設」のことを「新基地建設」と繰り返す記者団に向かって、こう反論した。
「新基地建設ではない。 辺野古・キャンプシュワブ内への移設だ」
そしてさらにこう付け加えた。
「面積でいえば、普天間飛行場の3分の一に縮小統合である。」と。
だが記者たちは聞く耳を持たず、「新基地建設」は今回の知事選でも、デニー氏の「新基地建設反対」のスローガンに用いられた。
ところが、「辺野古移設」に関する県民投票の実施で大きな問題に直面した。
「新基地建設の賛否を問う」としたら、意味が違ってくるからだ。
そこで、従来の「新基地建設の賛否を問う」は取り止めて「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票」と変更したのである。 デニー氏に投票した有権者への裏切りではないか。
沖縄県民投票条例案 県議会で審議始まる 「熟議の機会」 民意と政治の役割議論2018年10月9日 07:00
9万2848筆の署名で県に請求された「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」の審議が県議会で始まった。2日の米軍基地関係特別委員会では、請求者の「『辺野古』県民投票の会」の参考人質疑があり、議論は約3時間に及んだ。会のメンバーは「辺野古に基地が必要なのかどうか。
「新基地建設」そのものである「那覇軍港の浦添移設」に賛成するデニー知事は、「新基地建設反対」との齟齬を追及され立ち往生した模様。
那覇軍港の浦添移設容認 玉城知事「基地負担軽減に寄与」
県議会(新里米吉議長)は19日、10月定例会の代表質問を行い、島袋大氏(自民党)、仲宗根悟氏(社民・社大・結)、当山勝利氏(同)、親川敬氏(おきなわ)、比嘉瑞己氏(共産党)、金城泰邦氏(公明)が質問した。
島袋氏が質問した那覇軍港の移転について玉城デニー知事は「那覇港湾施設は基地負担の軽減や跡地の有効利用による発展に寄与する。浦添移設は認める」と述べた。
先島諸島への陸上自衛隊配備計画に対して玉城氏は「住民合意もなく地域に分断を持ち込むような自衛隊配備は認められない。政府が説明を行い、十分配慮すべきだ」求めた。
島袋氏は故翁長雄志前知事が全国に基地負担の分担を求めていたと指摘。東京都の小金井市議会では全国で負担する議論を求める意見書が提出されたが、共産党会派の反対で見送られた事例を紹介。「共産党は基地の国内移設は認めないと言っている」と述べ、玉城氏が共産党からも支持を受けているとして「全国知事会で沖縄の基地負担軽減をしてくれと言えるのか」と問うた。
池田氏は小金井市議会の事例は報道で知ったとし「県として沖縄の過重な基地負担への理解が深まることを期待している」述べるにとどめた。
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>島袋氏が質問した那覇軍港の移転について玉城デニー知事は「那覇港湾施設は基地負担の軽減や跡地の有効利用による発展に寄与する。浦添移設は認める」と述べた。
那覇軍港の浦添移設は、翁長前知事のアキレス腱といわれたが、翁長前知事の遺志を引き継いだと自称するデニー知事。
アキレス腱切断が化膿して命取りになる恐れさえある。
【追記】
玉城知事、初議会で“洗礼” 与党「県当局の想定甘い」
沖縄県の玉城デニー知事は19日、就任後初となる県議会代表質問に臨み、野党からの厳しい批判にさらされた。那覇市議、県議、那覇市長と長年の政治キャリアから議会答弁を熟知していた翁長雄志前知事と対照的に、公約違反とも受け取られかねない発言が飛び出し、野党自民のけんまくに押されるなど初議会の洗礼を受けた。支援を受ける政党間で姿勢が異なる那覇軍港移設問題を巡っては、最終的に自ら答弁することを余儀なくされたほか、北部基幹病院の整備については、保健医療部長と異なった答弁をし、後に修正するなど議会対応で不慣れな面も出た。
選挙期間中に地元負担を求めないとしていた北部基幹病院の整備費用を問われた玉城知事は「市町村の応分の負担も必要と考える」と述べ、野党から「公約違反」との批判を浴びた。その後、「市町村には補助事業の活用を求めていくが、その際の裏負担は県が負担するという趣旨だ。公約の実現に向けて全力で取り組む」と修正したが、野党の反発は続いた。
国政野党国会議員としてこれまで政府を追及する側から、追及を受ける側に変わった。経験不足からか、再質問された際には、副知事や部長らとの調整に多くの時間を割くなど、「知事と県幹部の想定の甘さ」(与党幹部)が露呈した。
この日、最初の質問に立った島袋大県議(沖縄・自民)から那覇軍港移設の是非を追及された県側は当初、池田竹州知事公室長が答弁に立ったが、島袋県議から「沖縄のリーダーとして明確に知事自ら答弁すべきだ」と指摘され、最終的には玉城知事本人が答弁に立った。与党幹部の一人は「最後に言わされるなら最初から自分の口で言うべきだった。知事本人より執行部に責任がある」とみる。別の与党幹部も「選挙中から追及されていたのに、攻撃材料を与えてしまった。玉城知事の稚拙さもあるが、副知事や政策調整監の責任も問われる」と批判した。10月定例会代表質問は玉城知事にとって厳しい船出となった。 (吉田健一)