北海道電力の泊原発の運転差し止めを求める判決の判決要旨を読んでみた。まず奇妙なのは「被告は原子炉1号機ないし3号機を運転してはならない」という主文である。これはどんな法律を根拠とし、誰が北電の原子炉運転を止めるのだろうか。

原子炉等規制法で原発の運転停止を命令できるのは原子力規制委員会だけだが、この訴訟には規制委員会が当事者として登場しない。泊原発が規制基準を満たすかどうかを判断するのも規制委員会だけだが、この判決の根拠は憲法13条の「人格権」だけで、運転を止める根拠法が書いてない。
 

判決本文も異常である。北電の態度が悪かったことへの不満を延々と書き、差し止めの理由は「防潮堤の高さが16.5メートルでは足りない」ということだけだ。

これも規制委員会が規制基準に従って判断することだが、裁判所が勝手に決め、それ以外の論点は無視している。10年かかった割には、ずいぶん荒っぽい判決である。裁判官の苛立ちはわかるが、これでは控訴審でくつがえされるだろう。
 

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