森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ヤマザクラ

2020年04月22日 | 自然観察日記
サクラは身近な植物ですがとても難しいグループだと思っています。自生種と園芸種と自生種といっても雑種が混在していて目の前に生育しているサクラを特定できないことがよくあります。庭や公園などに見られるものは園芸種と考えてその場をやり過ごしますが、明らかに自生種だと思われるサクラを調べても分からないのです。権威ある図鑑を見比べても特定できないのです。
その中で今年はヤマザクラを特定できました。これは丘陵公園に自生していたヤマザクラです(山にあるサクラという意味でなく種としての名前です)。日本海側は新潟県以西に自生しているとされる種です。

ヤマザクラの花

2020年04月22日 | 自然観察日記
ヤマザクラは葉と花が同時に展開する性質があります。葉の色は赤味を帯びることが多いのですが必ずしも赤いとは限らず緑色をしているものもあるようです。花色は白から薄桃色ですが葉が赤味を帯びていることが多いので遠くからはいわゆる桜色になって見えることになっています。古来サクラといえばヤマザクラを指していて奈良の吉野などはこのヤマザクラが長い年月をかけて保存されているといわれています。付け加えると花は花序に柄があることが大きな特徴とされます。

ヤマザクラの葉

2020年04月22日 | 自然観察日記
まだ花が見られるこの季節は葉が十分展開しているわけでなく葉の形質をすべて見られるわけではありませんが、少なくても鋸歯や蜜腺の位置は分かります。何より花柄を含め毛がないことが重要な特徴とされます。

このサクラは何?

2020年04月22日 | 自然観察日記
ヤマザクラから1kmほどの位置に遠くからはヤマザクラに似た個体がありました。道路わきではあるものの人が植えたものというのは少々無理があり自生のものではないかと思っています。

このサクラは何?花柄に毛があります

2020年04月22日 | 自然観察日記
花の咲いている枝を何とか手に入れて観察すると、花序の柄・葉の色・花の色・蜜腺・鋸歯などヤマザクラと判断したいのですが毛が多いのです。毛があるヤマザクラをカスミザクラとする考えもあるのですが、花期が早すぎます。この付近にはカスミザクラとされる大木が沢山あっていまだ花だけでなく葉さえも出ていません。
このような不明な個体が実に多いことが実感です。ある説には日本には基本になる種が10種くらいあってこれらの自然雑種などを入れると100種はあるのではというのです。こういう考えに賛同するようになってきました。