森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ミヤマカラマツ

2015年05月31日 | 自然観察日記
歩き始めて間もなくミヤマカラマツの開花株に出会いました。まだ咲き始めたばかりの様で十分展開できていません。花の時期もとても早そうに思うと同時に、この種が弥彦山塊にあることが奇異に感じられます。それも、山といってもごく浅いところでむしろ海岸に近い場所。今まで見てきたミヤマカラマツはいづれも深山幽谷という言葉がふさわしいようなところに生育していました。弥彦山塊に自生する種の不思議さがここでも感じられます。新潟の人にとっては馴染みのある弥彦山の一帯は植物の分布という観点で見ると不思議な不思議な場所なのですね。

ミヤマカラマツの花

2015年05月31日 | 自然観察日記
ミヤマカラマツは初夏の花。亜高山帯では夏場でも見られます。この種は花弁はなく白いものは雄しべの花糸。たくさんあります。じつは、この開花株がある当たりから田ノ浦の登山道では渓谷沿いに点々と群落を作っていてかなり上の方でも自生を見ました。

クルマバソウ

2015年05月30日 | 自然観察日記
アカネ科のかわいい花に遭遇しました。小さいながらも花の白さが際立って半日陰の林床に輝いて見えるほどでした。一見オククルマムグラかと思ってみたもののその場でははっきりしません。確かに最近どこかで見たような思いがあっていろいろ詮索すると、会津の大山神神社参道で見ていましたね。その時に記載した事項を振り返ってみて、この種の興味深いこ点を再認識しました。
この種もラショウモンカズラに近い分布をするという性質があるのです。阿賀野川沿いに分布し、佐渡には多くの採集記録があり弥彦山塊にも自生しています。あと県内では妙高や苗場山などの高所となぜか笹川流れに沿った海岸近くに記録があります。しかし、弥彦山塊ではあまり採集して資料として記載された例はなく私が確認できたのはかなりの幸運でした。

クルマバソウの花

2015年05月30日 | 自然観察日記
花冠が4裂していてじょうご(漏斗状)のような形状をしているところがポイントで、オククルマムグラなどとの違いです。それ以前に花が幾分大きく純白で品のいい感じがしますから、印象で分かります。葉も光沢があり毛のあるオククルマムグラのややくすんだ葉の感じと違います。

ヤマムグラ

2015年05月29日 | 自然観察日記
ミヤマハコベと並んで見慣れないアカネ科の種を見つけました。花もなく小さな存在ですから、気を付けていないと見過ごしそうな種なのですが、不思議と見えてしまします。細い葉が4枚輪生しています。しかし、葉の長さが整っていませんから輪生しているという印象ではなかったのですが、よくよく見ると輪生でした。ふと、周囲を見渡すと意外にたくさん自生しています。かなり下から自生していたかもしれませんが、見逃していたのでしょうね。

オオミスミソウ

2015年05月29日 | 自然観察日記
ここは、「雪割草」で名高いオオミスミソウの自生地のど真ん中。点々と特徴的な葉が見えます。もう花の季節は終わりましたから、どういう花なのかは知る由もありませんが、色の鮮やかなものはほとんどなくなっているという話を聞いていますから、ここもそういう状態なのだろうと思います。とてもさみしい話ですね。日本だけでなく世界に誇るオオミスミソウです。オオミスミソウの最大の特徴は変異がとても多いことですから、せめて自生地の「本家」には多種多様に変異している個体が生育しているという姿を作りたいとは思いませんか?

ミミナグサ

2015年05月28日 | 自然観察日記
ハコベ属の花を取り上げましたから、近縁のミミナグサが目に留まりましたので載せました。人里近いところなら至る所に見られる種ですが、そういう種が弥彦山の田ノ浦コースの奥深くにも生育していることにいささか驚きです。そんなに居心地がいいわけではなくかろうじて生育しているといったところでしょうか。

ミミナグサの花

2015年05月28日 | 自然観察日記
どこにでもある花は意外とわかっていません。もっとも農地の周囲にあるものはほとんどオランダミミナグサのようですから在来種のミミナグサは、タンポポのように山手に押しやられているのでしょうか。ハコベ属ではないににしろやはり花弁が切れ込んでいて近い種類だということが見て取れます。

ミヤマハコベ

2015年05月27日 | 自然観察日記
ナデシコ科のハコベ属のあまり見慣れない花が目に留まりました。ミヤマハコベという小さな花ですが、よく似たサワハコベを確認したばかりでしたので、その違いが鮮明に理解できました。花の切れ込みがとても深く、花弁が5枚でなく10枚に見えます。この種も分布に偏りがありますがどちらかというとラショウモンカズラに近いような分布でした。ただ、それほど深い山に生育しているわけでないようです。

サワハコベ

2015年05月27日 | 自然観察日記
サワハコベです。山間の湿った場所を好む小さな多年草。這って増殖します。花弁は5枚で、切れ込みがありますがミヤマハコベのように深くはなく1/3程度。県内広く生育しています。

ユキグニミツバツツジ

2015年05月26日 | 自然観察日記
ミツバツツジの中で主に日本海側に生育しているものです。葉がかなり展開していて花はそろそろ終わりに近いのでしょうが、まだまだ十分鑑賞に堪える状態。急峻な岩場付近にかなりの個体が自生していました。

ユキグニミツバツツジの花

2015年05月26日 | 自然観察日記
ミツバツツジの仲間は各地にさまざまな種が生育していて正確な種を理解するにはなかなか厄介なグループです。雄しべが10本で花柱が無毛などといっても一見して判別できる特徴でもありません。県内に自生しているミツバツツジには他のものがあるような話を聞いていませんから、三つ葉のツツジを見かけたらすべてユキグニミツバツツジで通しておきます。
ただ、分かったことには群馬など関東圏に生育するトウゴクミツバツツジとは明らかに開花するタイミングが異なっています。ユキグニミツバツツジの方は10日くらいは差があるようで、遅く咲きだします。

ユキグニミツバツツジの分布について

2015年05月26日 | 自然観察日記
昨日のラショウモンカズラとは異なり、県内のユキグニミツバツツジの分布はほぼ全域にまんべんなく見らせます。丘陵公園の浅い里山から、魚沼の奥深い渓谷にも自生しています。特に偏りがあるようぬは見えませんが、佐渡には分布していません。こういう種による分布の差はどのようにして生じているのか推理するのはとても楽しいことです。地殻の変動と種の広がりは重要な関連がありますが、それと同時に種の発生と進出してきたタイミングが重要な要因になるのでしょうか。種独特な繁殖の能力、環境への適応能力なども考える必要もあります。

ラショウモンカズラ

2015年05月25日 | 自然観察日記
ちょうどラショウモンカズラの花の時期で登山道の各所に美しい花が見られました。登り口付近から沢沿いに自生していて、湿度が多い環境を好むことを伺わせます。乾燥する尾根になるとみられません。

ラショウモンカズラの花

2015年05月25日 | 自然観察日記
とても綺麗な花なのですが名前が妙にそぐわない気がしていて、この世界に入った時から人の想像力の面白さといいますか豊かさに感心したものです。羅生門で切り落とされた鬼の腕に似ているとされることから付いた名だそうです。シソ科の多年草でつるを出し這って広がります。花の季節に花茎を伸ばし数個の花をつけます。低い草むらから青い花の房が点々とある様はなかなか素敵な景観です。