森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

イタチタケ(ヒトヨタケ科)

2006年09月30日 | 自然観察日記
 身近なところでよく発生するキノコである。ヒトヨタケほどでないにしても、すぐに劣化し黒くなり流れるように崩れ落ちる。頼りない感じのキノコだが食べることができる。以前、他の多くのキノコの中に混ぜて食べたことはあるが、このキノコの持つ個性はいえない。見た目さほど食欲をそそるようなものでもないが、よくお目にかかるから知らないというのも困るだろうから・・。

アキノキリンソウ(キク科)

2006年09月30日 | 自然観察日記
 水の流れを背にアキノキリンソウが咲いていた。2株があって、ここ以外にこの日は出会うことがなかった。どちらかというと日当たりのいい場所に生えているから、この日歩いた沢筋では少なかった。
 帰化植物で野で暴れている嫌われ者のセイタカアワダチソウの親戚だといわれるとちょっと引いてしまうかもしれないが、日本産のものは実に品があっておとなしい。ところで、アキノキリンソウという名前の由来は理解していないことに気が付いた。そのうち調べることにしよう。

カラハナソウ(クワ科)

2006年09月30日 | 自然観察日記
 ビールを造るときに使うホップの仲間。本当にそっくりなのが越後の山野にもある。雌雄異株だからこれは雌株ということになる。全体ザラザラで細かい棘状の毛がたくさんある。私は下戸だから酒類は口にしない。この実がビールにふさわしい味やこくがあるのかどうか確かめる気もないから噛んで味わったことがない。日本のカラハナソウでビールを作ろうという話を聞かないから、多分不適なものなのだろう。

セイタカイグチ(イグチ科)

2006年09月29日 | 自然観察日記
 近くの公園、といっても街中の公園でなく長岡の東山にある自然公園で見つけたもの。傘表面が白く、茎が長い。「セイタカ」の由来だろう。茎が特徴的で、網目状の文様が著しい。イグチの仲間は傘の裏、胞子を作るところがひだ状でなく、管状であって他の種と区別する最大の目安になる。この種は習慣がないので食べたことがないが美味しいという人がいる。

ミヤマクルマバナ(シソ科)

2006年09月29日 | 自然観察日記
 一瞬何か名前が出てこない。で、結論はミヤマクルマバナ。かなり時期が遅く咲いた個体ということにした。ところが、付近に何株かの個体があってみんな花が付いている。ここに住んでいるクルマバナは遅咲きの習性があると勝手に考えてしまった。
 ブナ林に続く山道の日当たりのいい場所で見つけた小さな小さな花である。普通は初夏に花盛りでもっと豪華に感じられるのものだ。クルマバナにも変異があるのだろう、越後のミヤマクルマバナは小型に感じられる。

オオカモメヅル(ガガイモ科)

2006年09月29日 | 自然観察日記
 ガガイモの葉が目に留まり、蔓を手繰り寄せた。オオカモメヅルという種で可愛らしい花がちょこちょこと付いている。久しぶりの対面でついつい挨拶をしてしまう。角度的にいい写真にはならなくて苦心したが、記録を重視することにした。
 この種はもう少し遅くなると槍状の果実をつけそれが割れると綿毛の付いた種子が飛び出す。またその頃にでも来ることにしようか。

ジンバイソウ(ラン科)

2006年09月28日 | 自然観察日記
 小道の脇にジンバイソウが10株ほどかたまって生えていた。ブナの森にときどき見るものだが、個体数が多いものでなく希少種扱いされている。花全体がとても地味で、薄暗い林の中ではそう簡単に見つかるものではない。園芸用に採取するほどの価値もなさそうなので乱獲などでの減少は考えにくいが、森林開発などで生活する環境が減少しているということはあるだろう。
 ジンバイソウを「銀蠅草」と書くのだそうで、可愛そうな名前をつけられたものだと同情してしまう。
 

長岡栃尾のブナ林

2006年09月28日 | 風景
 私の行きつけの一つのブナ林。大規模な広がりではないし、古木大木があるというふうでもない若いブナの林である。散歩をするとほどほどの時間で来ることが出来る。
 ブナ林は一般的に植生の観点でいうと単調で面白さはいまいちなのだが、やっぱりこの林を歩くと満たされた気分になる。何度も足を運んでいると、何がどうということではないが、心が落ち着くのである。地震以来久しぶりの訪問であるから懐かしい感じがするのかと思っていたが、ここにくるといつもの自分の庭のような気分になった。

ダイモンジソウ(ユキノシタ科)

2006年09月27日 | 自然観察日記
 山地の沢沿いに咲くダイモンジソウ、花弁が「大」の字に似ていることからの命名で分かりがいい。秋めいた雰囲気の中、水音を聞きながらゆっくり歩いてみた。少し日当たりの悪い崖のここかしこに咲いている花はどことなく物悲しい。水の流れと花姿の織り成す景色がいい。
 山では白い花しかお目にかかったことはないが、結構変異が多く園芸的には実にさまざまなものが栽培されている。もちろん日本産のものばかりでなく外来種も多いのだろうが、虜になっておられる方も多いのだろう。そういう方も是非、野生に息づくダイモンジソウも見ていただきたいものだ。

ノササゲ(マメ科)

2006年09月26日 | 自然観察日記
 小葉が3枚の葉でよくミツバアケビの葉と間違われるらしいが、この時期に野山の林縁によく見られるノササゲである。美しく整った形をした黄色の花が沢山付いている。日当たりのいい藪にはノアズキの黄色の花もあるがマメ科の黄色の花といってもかなりスタイルが違う。
 もう少しすると実が出来るが、これがまた美しい。光沢を持った紫色をしている。マメの中では異彩を発している感じである。

クサアジサイ(ユキノシタ科)

2006年09月25日 | 自然観察日記
 前にも取り上げたかもしれないが、季節外れのクサアジサイが咲いていた野に出会った。沢沿いの山の小道である。もう周りにはアジサイの仲間の花はなく、よくよく見れば花が終わった後のものがぽつんぽつんとあるのがわかるが、この時期のアジサイはどことなく寂しそうである。
 花の咲き出すタイミングの調整をするのは多くの場合光の周期を利用している。いわゆる光周性という性質でアジサイは長日性と思っていたが、それもこの株をみるとそうともいえない。どういう仕組みがあるのだろうか。

オオホウライタケ(キシメジ科)

2006年09月24日 | きのこ・菌類
 春から時々発生するのだが普段気づかない。しかし、この時期キノコ眼になると見えてくる。発生も多いのだろう。林下や庭先でも落ち葉の堆積したところに結構かたまって出ている。
 判りやすいきのこだから、キノコに馴染む一つのきっかけになれるかもしれない。しかし、毒はないらしいが強靭で食欲をそそる様な代物ではない。

ミズタマソウ(アカバナ科)

2006年09月24日 | 自然観察日記
 湿った林の下にはミズタマソウも生えている。優美な名前で草姿にもうまくマッチしている。小さな花だから花は目立たないが、毛のついた果実が水滴の付いたように見える。よく見るとこの毛はかぎ状に曲がっていて、動物などの体毛に引っかかりやすいようになっている。移動手段としてあみ出した戦略なのだろう。人の目線とおよそ縁のないところの適応なのである。アカバナ科でも少し毛色が違うグループである。

ゴマナ(キク科)

2006年09月23日 | 自然観察日記
 秋はキクの季節でもある。ゴマナというが、普通はもっと壮大で1m以上の草丈になり花数も数十もつける。こんな可愛らしい写真で紹介すると、実際のものが判らなくなるかもしれない。越後の山野には当たり前にある。
 ごちゃとした株だと写真を写す気になれないが、岩や川などが背景にあると映したくなるのが人情というものか。
 「ゴマナ」というくらいだからさぞ美味しいのだろうと、覚えたての頃山菜として摘んで持ち帰り家内に調理してもらったことがある。しかし、まずくはないがさほど評価する程のことがなかったからそれ以来口にすることもない。

カナヘビ(カナヘビ科)

2006年09月23日 | 自然観察日記
 たまには小動物もいいかもしれない。写真はニホンカナヘビという。トカゲの仲間でよく見かけはするが、なかなかカメラの中に納めることができない。運よく動きの悪いというか寝ぼけ気味なのかじっとしているものがいたからパチリ。
 日本にはもう一種尻尾の青いニホントカゲがいるが、最近なかなか眼にしない。人の話だが、人里から急速に姿を消していて絶滅危惧種にも名前が挙げられそうだとか。
 そういえば我が家の周りから、トノサマガエルがとっくに姿を消しホタルも最近消えた。確実に自然が変質しているのである。