森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ミヤマネズ

2015年09月30日 | 自然観察日記
ロープウェイで上がってくる最中、山腹に広がる針葉樹のアオモリトドマツが印象的でしたが、尾根筋ではハイマツやイチイと並んでミヤマネズが見られました。昨年月山でも観たのですが東北の高山にはミヤマネズは比較的多く生育しているようです。ネズミサシというくらいで葉が尖り触れれば痛いのですが、それほど危険なものでもありません。葉が密生していて地に伏せている形状は強風に適応した生活系でしょう。

ミヤマネズの球果

2015年09月30日 | 自然観察日記
ミヤマネズの雌花や雄花を確認したことがありません。花の季節は6月のようですから残雪期に登らないとみられないようです。すでに、球果になっていて薄青白く輝く丸い実はちょっとした宝石の様でさえあります。枝を跳ね上げた内側を見ると球果がたくさん実っていました。必死で子孫を作っているという風情です。

ヤマハハコ

2015年09月29日 | 自然観察日記
まだ開花前ですが中央に白いつぼみの塊をつけているヤマハハコが目に留まりました。本州中部以北の亜高山から高山帯に生育するキク科多年草。紫外線が強い場所に生育するためか白い綿毛が目につく種です。似た種に山地の河原に生育するカワラハハコがありますがこの高山型と考えてもよいかもしれません。キク科植物には白い綿毛をたくさん持つ種がいくつかありますが、いずれも厳しい環境に適応しているものです。キク科というグループはとても大きいグループで、多種多様な環境に進化適応した結果生じたものでしょう。それほど幅広く変化適応する能力を持ったグループなのでしょう。

ヤマハハコのつぼみ

2015年09月29日 | 自然観察日記
白いつぼみの塊、これはこれでかわいいものです。調べて初めて気づいたこと、それはこの種が雌雄異株らしいということ。キク科にも雌雄異株のものはたくさんありますが、ヤマハハコがそうだということには考えてもいませんでした。開花した花を調べなければ納得できませんが、それぞれの株が雄株か雌株ということになります。もちろんキク科の花は頭状花で管状花と舌状花でできているのが基本ですが、ヤマハハコは舌状花はないようです。

オノエラン

2015年09月28日 | 自然観察日記
越後三山の中之岳以来のオノエランとの出会いでした。もう40年近く前の話ですからその間なぜオノエランと出会えなかったのか??結構いろいろとオノエランが生育していそうな山登りをしてきたはずですが、不思議と出会えて来なかった因縁の種です。おもわず歓声をあげました。中之岳の時は数株しか記憶にないのですが、蔵王の稜線には実に沢山生育していてその多さに驚く始末です。やや湿り気のある明るい草地に多く見られました。

オノエランの花

2015年09月28日 | 自然観察日記
花を写真に撮ると色が飛んでしまいます。カメラを使いこなせていないせいで思い通りの写真になりません。唇弁の基部にW字の文様が何とか認められます。清楚な純白な花で、それぞれの花弁の微妙な陰影が出せるとよいのですが・・・。

オノエランの住む草地

2015年09月28日 | 自然観察日記
周りにはシロバナハナニガナなどが多く生育していて、この季節はまだそれほどではありませんがやがてこれらが生育しオノエランを覆ってしまうことでしょう。夏の盛りには高径の草に覆われてしまう環境と見ました。

シロバナトウチソウ

2015年09月27日 | 自然観察日記
あまり天候が芳しくないのですが、ロープウェイを利用して蔵王の山岳部分に足を延ばしました。一帯はスキーのメッカということもあって三本のロープゥエイがあるようですが、蔵王地蔵尊に繋がるルートを利用して上がりました。
山頂部は霧の中、やがて雨が降ってくるのですが短かな時間を利用して尾根部の散策道を歩いてみました。ロープェイを降りると霧の中で迎えてくれたのがシロバナトウチソウです。ワレモコウの白花版というよりカライトソウの白花版といったほうが近いですね。調べて分かったことですが、東北地方の高山にしかないある意味貴重な種です。蔵王の高山はこの種の分布の中心といったところ。周りにはたくさんありますからその貴重さが薄れてしまいます。

シロバナトウチソウの花

2015年09月27日 | 自然観察日記
ワレモコウ属の花は花序の下から順に咲いていく種と上から下へと咲いていく種があるのですが、シロバナトウチソウは後者です。ちなみに前者の代表は北海道に生育するタカネトウチソウだそうです。このグループには花弁がありません。花の色はがくや花糸の色です。

ヨブスマソウ

2015年09月26日 | 自然観察日記
林下の湿潤地にヨブスマソウの小さな個体群。ときに大群落を作る高径草本ですがここではパラパラ。生育状態もよくありません。しかし、まだ花の季節でないので根出葉が残っていて、コウモリソウ属の特徴的な葉とは異なり切れ込みがあるダイコンの葉のような葉が何枚かあるのが面白いですね。ここまで気付いて指摘する人はあまりいないのではないでしょうか。

ヨブスマソウのつぼみ

2015年09月26日 | 自然観察日記
コウモリソウ属の花序は円錐花序とされます。ヨブスマソウの栄養状態のいい個体は大きな花序になりますが、この個体はやや小ぶりでつぼみの数がとても少ない。8月に入ると開花するのでしょうか。
ヨブスマソウは東北地方では「ほんな」と呼ばれ主要な山菜になっています。かつて出かけて折に1~2回ほど食べたような気がしますが個人的には馴染みがないものです。もっとも私のいる越後の中越の浅い沢沿いではこの種はまったく見かけません。深山の山菜ですね。

タマガワホトトギス

2015年09月25日 | 自然観察日記
山岳地域の山麓部分いわゆる深山幽谷の湿り気のある場所に見られるタマガワホトトギス。秋の花のイメージがあるホトトギスの仲間の中では比較的早く咲き夏場から花が見られます。鴫の谷地沼の一角にも自生が見られこの地も深山幽谷の環境ということが分かります。県によっては絶滅危惧に指定されていると聞きますが、新潟や山形あたりはそれほど憂慮することにはなっていないと思います。

タマガワホトトギスの花

2015年09月25日 | 自然観察日記
薄い黄色の花は自然界の中ではほとんど目立ちません。花弁には黒い斑点が沢山ありそれなりに装飾をしているのですが・・。
ホトトギスの仲間は花のしべの構造が結構複雑で花柱は3裂しさらに2裂し、花糸は反転し外向きに葯をつけるなどなど。花を解剖するとなかなか面白い種です。
調べていて気づきましたが、タマガワホトトギスは太平洋側には少なく日本海側に多く生育しているようです。新潟県は重要な産地になっているようです。