森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

サワギキョウ

2013年01月31日 | 自然観察日記
湿地ににょきにょきと棒が立っています。サワギキョウでした。花がないのでほとんどの人はそれとは気づかずに通り過ぎます。この湿性植物園にはかなりの数のサワギキョウがあるので花の頃はかなり目立ったことでしょう。十月の半ばを過ぎれば葉は枯れ茎を含めて全体が枯れ草色になってきていますが、まだすべての仕事を終えた訳ではないのです。

サワギキョウ 実

2013年01月31日 | 自然観察日記
サワギキョウの果です。果皮はまだみずみずしく中の種子を包んでいます。完熟するのはもう少し後のようです。やがて果皮は上部が避け穴が開き中の種子がこぼれやすくなります。冬の強い風で茎が揺れることで種子散布が行われます。

ミズキンバイ ①

2013年01月30日 | 自然観察日記
ミズキンバイ、これも珍しい水草です。絶滅危惧種に指定されています。関東の一部に自生しているという話ですが、箱根の仙石原湿性植物園に展示されています。花は黄色でキンポウゲ科の金梅草(キンバイソウ)に似ているという水草ですね。でも、キンポウゲ科ではなくアカバナ科の種です。

ミズキンバイ ②

2013年01月30日 | 自然観察日記
花もない時期にミズキンバイを見ても何の印象ももてないかもしれませんが、この浮遊している葉の姿がミズキンバイの特徴の一つです。花の写真を撮られた方の構図はすべて茎が立っている状態のものですから、そこからこの姿を想像することができないのではないでしょうか。水草は水によって姿かたちを変えるという変化を示します。その姿を捉えてこそ水草を扱っているということになりますね。水中葉、水上葉、浮遊葉・・・。不思議な能力を身に着けているのが水草です。

オオミクリ

2013年01月29日 | 自然観察日記
ミクリに似ている極めてまれな種で絶滅危惧種に指定されているものです。もちろん初めてでこういう種があることさえ認識していませんでした。湿地にに取り付けられている木道脇にみつけまさに大きなミクリだなぁという感じでした。

オオミクリ 果実

2013年01月29日 | 自然観察日記
ミクリもそう多くない種で湿地に行かないと観察できません。ミクリが生えているような場所には容易に近づけないというのが本当のところで、生態とか個体数などはあまりよくわかっていないのが実態かもしれません。そもそも湿性の植物を扱って調べている人は極めて少ないのが実情ですから、いろいろ話をする人ももとはと言えば出所が同じ資料で言っているような気がする場面も多いもの・・・。
それはそうとオオミクリの実、大きさばかりでなく平面が多いのが特徴のようです。径2㎝位はあろうかという大きさです。文献を調べると県内でも採集されているようです。平凡社の私が利用している図説に「オオミクリ」が載っていないことが驚きで、日本を代表する資料にも落ちがあるのですね。

ホソバシュロソウ 果 ①

2013年01月28日 | 自然観察日記
登山に精を出していたころに時々見かけたシュロソウはどうやらこのホソバシュロソウのことのようです。花の時期だけの付き合いでしたから、実の形態を観察できたことはよかったですね。調べてみるとシュロソウ属は変異が多くなかなか分類が難しいとあります。各地で様々な形態を持つものが存在しているということです。似た花に県内にもあるアオヤギソウとは花の色が違うことで容易に見分けがつきますが・・・。
それはそうと、果(さくか)の様子が面白い。がくだけが茶褐色になっていて軸を含めてまだまだ新鮮な緑色をしています。このアンバランスさが気になりました。

アキチョウジ

2013年01月27日 | 自然観察日記
長い花冠はアキチョウジ。でもこれは箱根にはない種らしく植栽されたもののようです。調べてみて、西日本の山地で見られるものと分かりました。しかし、ちょうどいい花の個体があって何ともすがすがしい色に見入りました。形も独特でシソ科の花の特徴を持ってはいるもののここまで長い花冠は他にありません。

セキヤノアキチョウジ

2013年01月27日 | 自然観察日記
箱根にもあるというのがこのセキヤノアキチョウジ。「セキヤ」とは関所のことらしくて箱根にあったのが名前の起こりでしょうか。あいにく花はありませんでした。アキチョウジとの違いは花の柄が長いなどの区別点があるそうです。長い花柄がわかりますか?

ヒキオコシ

2013年01月26日 | 自然観察日記
ガイドをしていると秋越後でときどき触れなければならないのが「ヒキオコシ」です。県内にはタイリンヤマハッカという種が多く自生していますから、必ず解説します。タイリンヤマハッカは「ハッカ」というより「カメバ(亀葉)」の方が分かりがいいのですが、カメバヒキオコシは太平洋側の種で日本海側にありません。「オオカメバヒキオコシ」とでも名付けてくれればよっかったのですが、なぜか「タイリンヤマハッカ」。それはそうと「ヒキオコシ」は「引き起こす」ことからだそうで、この種が薬草に利用されていることから来ています。実物のヒキオコシは観察したことがありませんでしたから、感慨深い面持ちで見ていました。

カメバヒキオコシ 葉

2013年01月26日 | 自然観察日記
これが太平洋側の種、カメバヒキオコシです。タイリンヤマハッカとはかなり葉の大きさが違います。しかし、葉の先端が亀のしっぽのような形質はそっくりですね。ヒキオコシとカメバヒキオコシは葉が全く異なりますが、花はよく似たものです。

ハコネギク

2013年01月25日 | 自然観察日記
葉を触るとざらつきがあってノコンギクの仲間とは見当がつきますが、葉が小さくてかわいい感じです。ハコネギクという名がつけられていますからこの地域に自生する種です(群馬から長野あたりにもあるそうです)。花色は白で、舌状花はそれほど花弁は長くありません。別名ミヤマコンギク。