森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

タテヤマウツボグサ

2017年09月30日 | 自然観察日記
平標の登山口から山頂までの高低差は1000m位あります。山麓部にはウツボグサが見られましたが、山頂近くなるとタテヤマウツボグサがたくさん見られました。花の季節でしたからお花畑を彩る重要な種でその存在を誇示していました。どこまでウツボグサが見られるか気にしていましたが、松出山を過ぎるころから気づかなくなり、いつしかタテヤマウツボグサになっていました。

ウツボグサ

2017年09月30日 | 自然観察日記
登り始めて少したってから尾根道で生育していたウツボグサです。結構しっかりした花で花の大きさではタテヤマウツボグサとあまり差がない印象です。ただ、奥に写っている葉には明らかな葉柄があります。葉もやや細長くタテヤマウツボグサとは差異を感じます。
同じ山塊で低地型の種と高山型の種があるのが面白い現象でこの両種がどの位置まで接近しているのか、あるいは混在している場所があるのかなどちょっと興味深い問題です。

ヤマジノホトトギス

2017年09月29日 | 自然観察日記
県内でも分布が限られているヤマジノホトトギスが出てきました。山脈を超えて群馬県に行けばよく出てくる種ですが、県内には魚沼地域に偏って出てきます。庭に植えられるなど比較的なじみのあるものですが、分布という点で見ると不思議な種です。三国山脈を越えて群馬側から入ったと見るのが妥当なのでしょうか。普通川沿いに移動するのが分かり易いのですが、ヤマジノホトトギスには当てはまりません。

ヤマジノホトトギスの花

2017年09月29日 | 自然観察日記
花弁には紫点が目立ち平開し反り返ることはありません。花は葉腋から出て咲きます。めしべの柱頭が3裂しさらに2分裂するといった変わった形態をしています。秋の花で茶花などによく使われるようですが、平標の登山道のあまり標高が上がらない林の林床にポツンポツンと見られます。かなり暗い林であまり居心地はよさそうではありません。

イヌドウナ

2017年09月28日 | 自然観察日記
コウモリソウ属の大型の種が出てきました。イヌドウナという種で深山の沢沿いなどやや湿潤な場所に見られるキク科多年草です。とはいっても、松出山の鉄塔脇に見られたのには意外でした。尾根筋でササ原の中。多くのイヌドウナの生活する環境とは思えない場所でした。



イヌドウナのつぼみ

2017年09月28日 | 自然観察日記
まだ花が咲いていない季節でしたから、つぼみの付き方を記録しました。あまりよい画像でないので分かりにくいですが・・。
近縁種にイヌドウナという種がありますが、かつては混同されていたとのこと。いずれも「ボンナ」という名で山菜としてかなり有名なのですが、低地には見られませんから県内ではあまり普及していません。美味しい山菜という話です。私はしっかりと味わたことがないので機会があったら是非試してみたいと思います。

イヌドウナの葉

2017年09月28日 | 自然観察日記
コウモリソウ属の葉は独特です。カニの甲羅のような形あり、鋭く先が尖って翼を広げたコウモリをイメージした形ありで強い印象が残ります。イヌドウナはどちらかというろ丸みを感じる形で、近縁のヨブスマソウの鋭い尖った葉とは印象が異なります。草丈もやや小型のものが普通です。

イヌドウナの葉柄の基部

2017年09月28日 | 自然観察日記
おおよそ葉の形でヨブスマソウとイヌドウナは区別できますが、葉柄の基部で見分けるというのもあります。耳状に茎を抱くのがヨブスマソウ、丸く茎を抱くのがイヌドウナ。
新潟県内のイヌドウナの分布を調べてみました。中・下越の県境沿いの深山に生育していることと、阿賀野川沿い・弥彦・佐渡に自生していますが県北地域には無いようで、特徴的な分布をしています。阿賀の川沿い・弥彦・佐渡に分布する種はキバナノアマなのど県北にあって中越以南にはないのが多いのですが、この種は逆になっています。また、あらたな疑問がわいてきました。

イワガラミ

2017年09月27日 | 自然観察日記
山麓の林ではスギ林から雑木林までイワガラミがとても目立ちました。ちょうど花の時期で高木に巻き付いて一斉に花を咲かせている景は圧巻です。どこにでもあるつる植物といえど数の力は大きいものです。イワガラミはフジやクズと異なり樹を締め付けず付着根で這い上がる性質がありますから好感の持てる存在。大木の幹を華やかに飾ってくれる景観に感動し、さらに好感を持つことができました。

イワガラミの花

2017年09月27日 | 自然観察日記
実際の花は小さくて地味なものですが、目立つのはその縁についている1枚の装飾花。これが4枚の装飾花ならツルアジサイなのですが、この谷にはほぼ100%イワガラミのようです。