森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

キンコウカ

2015年12月31日 | 自然観察日記
亜高山の湿原植物で馴染み深いキンコウカ。他にはあってここにはない種もいくつかありますが、キンコウカはたくさんあります。小松原湿原では一面に黄色い花が咲く景観をみることはないのですが、特に中屋敷の一部の湿原は個体が多くほぼそれに近い景観になることがあるようです。これは雨模様の日木道脇に大きな塊で咲いていたものを写したものです。

キンコウカの花

2015年12月31日 | 自然観察日記
ユリ科の種で花が花柄に沢山つく形質。一つ一つの花を見ればユリ科の特徴が見て取れます。
生育する場所として意外と多いのが渓流沿いの崖で水が滴るような草付。結構適応できる環境は幅広のものがあるようですが、こういう場所で見ると平たい湿地で咲く種と異なるような感じさえします。花は有毒なのだそうです。

ミツバオウレン

2015年12月30日 | 自然観察日記
湿地の中というより周辺の湿り気のある林下に生育しています。小葉が三枚であることから名づけられていますが、亜高山帯~高山帯に生育する種でそれなりの苦労をしないと出会えません。しかし、亜高山帯に登ってくれば小松原地域でもアオモリトドマツの林の下などでは見つけやすい種です。

ミツバオウレンの花

2015年12月30日 | 自然観察日記
キンポウゲ科の花は花弁がないものが多くがくを花弁と勘違いすることが多いものです。オウレンの花はがくと花弁がある花で、白いのががくで黄色い小さなものが花弁。と説明するとしても見慣れている一般的な花に比べストンと落ちませんね。形態学的にはそうなるのでしょうがやはり不思議な花の感を免れません。雄しべは多数雌しべは3本見られます。白いがくの形は幾分先が尖り気味です。

イワイチョウ

2015年12月29日 | 自然観察日記
葉がイチョウの葉の形に似るというのでイチョウの名が付いていますが、岩場でなく湿原に見られる種です。亜高山帯以上の湿地に普通大きな群落を作って生育していますから夏場歩く高山帯の湿った場所などで普通に見られます。そういう意味で個人的にはあまり感激しない種になっています。小松原湿原でも大量に生育していますが、中屋敷湿原より上の湿原に限られます。下屋敷湿原をくまなく探しているわけではないのでうろ覚えなのですが、印象にないところを見るとあってもごく少数でしょう。そういえば下屋敷湿原と中屋敷湿原の高度差は約200mありますからこの差が生育に関係していると考えられます。

イワイチョウの花

2015年12月29日 | 自然観察日記
分類に苦慮されていて今ではミツガシワ科に分類されています。5数性の花で花の雰囲気からリンドウ科の種にも近いものを感じます。葉が多く群生する割には花が沢山咲いているというところに出会ったという経験がなく比較的地味な感じがします。しかし、花が付く株は20~30cmの花柄に数個の花をつけなかなかいい感じ。白く整った形の花は心惹かれます。

イワカガミ

2015年12月28日 | 自然観察日記
イワカガミの仲間は基本的には日本海側の種と太平洋側の種は違うと言われています。日本海側の種をイワカガミ太平洋側の種をヒメイワカガミというのだそうです。私が新潟で見るイワカガミの仲間は葉が大きく花数が多いイワカガミの亜種オオイワカガミです。北アルプスなどの高山で見る葉が小さく花数が少なめなものをイワカガミで高山にはイワカガミ低山里山にはオオイワカガミというのだといつしか思い込んでいます。それでいいのだとは考えてはいるものの、小松原湿原のエリアでは湿原内はイワカガミがブナ林内にはオオイワカガミが住み分けをしているような生育をしています。あまり高度差には関係なさそうでなんとなくこの両亜種は土壌水分の関係ですみ分けているのかな?と考えてしまいます。
紛らわしいものもあるものの葉の大きさなど形質が連続している感じではありませんから、住み分けをしている独立した種のように思っています。高度による気温の条件や降雪による影響なども含めて分かれた種なのだなぁとしみじみ感じた次第です。

イワカガミの花 拡大

2015年12月28日 | 自然観察日記
合弁花で花弁は合着しています。大きく5枚に裂けていてさらにそれぞれが先端部で細かく分裂しています。雄しべが5本。これ以外に分解すると仮雄しべが5本あるのだそうですが、花を分解して確認したことがありません。

ツルアリドオシ

2015年12月27日 | 自然観察日記
アリドオシランの名前のもとになったツルアリドオシも生育しています。まだ花の季節で可愛い花が楽しめました。アリドオシランよりは一回り大き目な花で花冠は通常4裂しています。雄しべは4本で4が基本の種のようですが、花冠が5裂や6裂する変わり者もいて形質は安定していないようす。花冠の内部は細かい毛が密生しています。花は2個対になって咲き花筒の下部の子房は合着して1個の果実を実らせます。ちょっと変わった花ですね。

ツルアリドオシの果実

2015年12月27日 | 自然観察日記
赤い実は昨年の果実。かなり長い間実をつけている種です。果実の表面に2個の穴が空見られますが、花冠がついていた跡。この実の様子を「ブタ鼻」といった人がいてがっかり。私は「森の小さな妖精の顔」に見えるのですが・・。2つの花が1個の実を結ぶ・・・夫婦円満を象徴するような種ではありませんか。何とも愛らしい実なのです。

アリドオシラン

2015年12月26日 | 自然観察日記
小松原周辺でのラン科植物9種目。アリドウシランです。大変小さな植物体ですから「よくぞ見つけた!」と喝さいを浴びたものです。私が見つけました。花がなければツルアリドオシに間違えれれそうな存在で、あるいは花があっても見過ごされかねない小さな植物です。見つけた私も最初は白いつぼみでもつけているツルアリドウシくらいにしか考えていなかったと思いますが、次の瞬間目を見開いた次第です。「おおっ!」

アリドオシランの花

2015年12月26日 | 自然観察日記
大きさ1cmに満たないもの。透き通るような純白な花が小さいながらも大きな存在感を持ちます。うす暗いブナ林の林床ですからなおのこと光を放つような感じです。小さな壺のような形状の花で他にこのような形の花を思い出せません。