森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ナニワズ 花

2013年03月31日 | 自然観察日記
今回の散策で最も印象に残ったのがこのナニワズの個体の多さでした。日当たりのよい斜面には草のような低木が各所に点在して黄色い花を沢山つけていました。

ナニワズ

2013年03月31日 | 自然観察日記
別名、ナツボウズ。夏には葉が落ち花後の赤い実が目立つそんざいになります。高木が葉を茂らせて林床に生きるナニワズにとっては光合成がしづらくなって夏休眠すると考えられています。ですから高木に葉がないこの季節が彼らの天下とばかりに、緑色をした塊はほとんどナニワズでした。赤い実は鳥が好むようで庭にあるナニワズの赤い実はいるしかみんな持ちさられてしまいます。この森は持ち去る鳥がここに住んでいるのでしょう、鳥によって散布された種子が至る所で発芽しているようです。

ナニワズの花を解体

2013年03月31日 | 自然観察日記
ナニワズの花を裂いてみました。花筒の基部にぷっくり膨らんだ雌しべ、花筒の先端と途中に雄しべが見られます。一応両性花のようですが、どちらかがないものも混ざっているのだそうです。

コシノカンアオイ つぼみ

2013年03月30日 | 自然観察日記
これが花かと疑いたくなる存在がカンアオイの仲間。初めて里山の散策においでになる方に教えてあげると決まって驚きの声をあげられます。ほんとうにおもしろい花ですね。つぼみの状態ならさらにそれが際立ちます。何か動物が地面から頭を出しているような・・・。

コシノカンアオイ

2013年03月30日 | 自然観察日記
ギフチョウが食草としている種です。カンアオイが多くある場所ですからもう少しすると春の女神といわれるギフチョウの乱舞が見られることでしょう。カタクリの蜜を吸って、カンアオイの新葉に産卵するという習性が定番ですからそれぞれの種の成長のタイミングが揃わないとこのサイクルがうまくいかないのです。ギフチョウの羽化は早すぎても遅すぎてもいけないのですね。毎年タイミングを間違わないしくみ、不思議です。

オウレン 雄花

2013年03月29日 | 自然観察日記
オウレンも早春の花の代表です。しかし、この花を強く印象付けるのは杉林であまり雑木林のオウレンは印象が薄いのは何故でしょうか。本来は雑木林に生育していたのでしょうが、杉植林が盛んに行われて林床に適応出来る草本類がオウレン以外にないのが本当のところでしょうか。杉林のオウレンはとても目立ちますが、雑木林のオウレンは周囲に同化していて注意しないと見逃します。ちなみにオウレンを含めキンポウゲ科の植物は花びらはともに「花弁」でなく「がく」です。なぜでしょうね・・・。さらに雄花があったり雌花があったりあるいは両性花があったりで、ここにも形質が一定しないという特徴がでてきます。

キクザキイチリンソウ

2013年03月29日 | 自然観察日記
今回は最初に見つけた花がキクザキイチリンソウでした。スギの葉の間から半開きの状態のものを見つけて、「やっと越後にも春が来た」と実感したものです。
この種もキンポウゲ科の種です。スプリングエフェメラルはキンポウゲ科の種が多いですね。

オオミスミソウが自生する弥彦山塊の雑木林 

2013年03月28日 | 自然観察日記
先日、今年最初のカタクリを報告した時の続編になります。カタクリの花があるということはその他の越後を代表する早春の花もたくさん見られるということです。とはいってもまだまだ季節は早く、自生する花々の個体群密度は決して多くはないようなので少々落胆している部分はあります。特にオオミスミソウですね。

オオミスミソウ ①

2013年03月28日 | 自然観察日記
西山丘陵から弥彦山塊にはかつて足の踏み場もないほどに自生していたといわれるオオミスミソウ、もうとっくに花の楽園になっていてもいい季節ですが花の数は多くないような気がします。私が知っていた秘密の場所もいつしか個体数が減って白い花の個体しか残っていない状態になりました。青や赤の花が見られる場所はまだいい方なのかもしれません。

オオミスミソウ ②

2013年03月28日 | 自然観察日記
ここは高密度ではないにしろ白い花ばかりということはなく、青や濃桃色の花も見られました。山肌にびっしり咲いたら素晴らしいだろうなぁと過去に見た景観を思い出しています。

オオミスミソウが自生する森の木から

2013年03月28日 | 自然観察日記
これはオオミスミソウの自生する斜面に生えていたエノキの株立ちの様子です。こういう株が点在していますから、ここはかつて人の手が入り伐採したことがわかります。つまり、オオミスミソウは完全な自然林でなく二次林によく適応している種であるのです。岩石が多く表土は発達していない場所ですから入り込む植物はそう多くはないので競争に耐えてきたのではないでしょうか。補うつもりで園芸化した個体を植栽しないでも盗掘をしないで、時々高木など被圧植物を伐採すればオオミスミソウは維持できるのではないでしょうか。

オオイワカガミの銅葉

2013年03月27日 | 自然観察日記
南斜面に生育していたオオイワカガミが厚く積もった雪から解放されて日差しを浴びています。普通葉は緑色をしていますが、秋から早春にかけて高木の葉がない季節には銅葉色をした個体が多いことにきづきます。赤く色づくことから「紅葉」という人もおりますが、むしろ直接強い日差しが当たる時の自衛手段のように見られます。特に紫外線などの有害光線に対応した反応かなと勝手に思っています。人に当てはめればメラニン色素のような存在の物質が関係しているのではないでしょうか。

再びマンサクの赤花

2013年03月26日 | 自然観察日記
先回、群馬で見たマンサクの赤花種を載せましたが、今回は公園で見つけたマルバマンサクの赤花の個体です。花弁は十分伸びていないせいか短め。赤い色もそれほど鮮明ではありません。自然に生ずる個体はなかなか個体変異が大きいものです。マンサクの花弁の色素は普通は黄色、赤系統の色素に変異することができやすい物質なのでしょう。一定の頻度で見つかるようです。群馬のマンサクは明るい雑木林の中、長岡のマンサクは雪に埋まる林の中に頭を出している枝先に花が見られます。三国山脈を挟んでマンサクの生態を比較すると面白いですね。
それにしても丘陵公園の里山はまだ雪深く交流館の前の芝生の雪消えは4月15日頃と予想しています。