森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

オオタチツボスミレ

2014年07月31日 | 自然観察日記
カヤノ平の植物を特徴づける種の一つがオオタチツボスミレだそうです。日本海側ではそれほど珍しくもない種で、新潟県内ではごく普通な存在ですが、長野県の植物では特異な存在なのだろうと推察します。

ツボスミレ

2014年07月31日 | 自然観察日記
里山では雑草扱いされるほど湿った場所にはしばしば大発生するスミレですが、花の基調は白。ここカヤノ平のツボスミレは白も散見されますが淡い紅色をしているのが気にかかりました。北どぶ湿原内に転々と自生しているさまは普段見慣れているツボスミレとどこか違った印象を受けました。

オオバノミゾホウズキ

2014年07月30日 | 自然観察日記
深山の湿った沢地などでもみられるオオバノミゾホウズキです。小沢の土壌の安定していない場所に群落を作っていました。日本海側の種とされ夏場県内近隣の山歩きをすると、沢越えをするときなどしばしば出会う花です。私は見慣れた花ですが、ガイドをするときにはもの珍しそうに観察される方が多いように感じている種です。

オオバノミゾホウズキの花

2014年07月30日 | 自然観察日記
比較的薄暗い場所に咲いているせいか黄色の色が浮き出て見えます。ゴマノハグサ科に分類される種ですが、近年の新分類の適応ではまるで縁のなさそうなところへ移動されるという話も小耳に挟みました。見た目の形質で分類する手法に慣れている私にとっては、DNAやゲノムという視点からの分類体系にはついていけそうにありません。

オタカラコウ

2014年07月29日 | 自然観察日記
湿原の入口近くにオタカラコウの群生する場所があって、まだ花の季節ではなかったのですが大きな葉がひしめき合っていました。根元近くは小さな流れがあるようで、大体この種は深山から亜高山帯のそういう場所に大きな群落を作るようです。

オタカラコウの赤い茎

2014年07月29日 | 自然観察日記
今回気になったのが茎の色。かなりの個体で茎の色が赤いのです。湿原の中に踏み入ったわけでもないので、すべてとは言えませんがかなりの頻度でこの色をしていました。茎の赤さの記述が図説などではでていませんでしたから、それほど普通の形質でもなさそうです。ルバーブというタデ科の外来野菜に似た感じですが、本種はキク科。ルバーブのような利用は難しいでしょう。

オタカラコウの葉

2014年07月29日 | 自然観察日記
似た種にメタカラコウというのがあります。これに比べ大型ですから「雄」なのでしょう。ちなみに、「宝香」はやく薬効のある「竜脳香」をさすとか。「竜脳香」は知りませんが香りが似ているそうですから、次の機会に体験したいと考えています。

ヤマドリゼンマイ

2014年07月28日 | 自然観察日記
北どぶ湿原の木道脇にひときわ目立つシダ植物がありました。ヤマドリゼンマイです。胞子葉が褐色でしたから、胞子がかなり熟してきているのでしょうか。このシダは湿を代表する種の一つで、このシダが出現するとたとえ湿原でなくとも土壌の湿り気具合の見当がつきますから山歩きをしている際の表徴種として個人的には利用しています。

ヤマドリゼンマイの胞子のう

2014年07月28日 | 自然観察日記
遠目では色づきがいいのでかなり熟した胞子なのかと思ってみましたが、拡大して観察すると多くの袋(胞子のう)が敗れ胞子が飛散している状態です。緑色をしている部分はまだ中に胞子が残っている胞子のうだと分かります。ツクシと同じように胞子は緑色のようです。胞子のうが褐色なんですね。
シダ植物ですから花は持たず、この「胞子のう」のなかでおびただしい数の胞子を形成します。教科書的に言えばこの胞子のうのなかで母細胞が減数分裂という細胞分裂を行って胞子を形成することになります。胞子が発芽すると配偶体である前葉体を作りここで授精を行い再びシダ植物本体(胞子体)に成長してきます。おびただしい数の胞子を作っても成体になれるのはごくわずか。栄養生殖もするようですから、まとまった群落ができているのは栄養生殖で増えたものではないでしょうか。
ゼンマイといっても食用にはしません。名前は胞子葉がヤマドリの尾に似ているというので付けられたものだそうです。

ワタスゲ

2014年07月27日 | 自然観察日記
何人かの人の話を総合すると今年はワタスゲがどこもきれいで当たり年だったようです。カヤノ平の北どぶ湿原も見事なワタスゲの群落ができていてなかなかの見ごたえがありました。しかし、平日のせいか私以外にこの光景を見ている人もなくひとり占め状態。お天気もいい日でしたから気分も最高、至福のひと時です。

ワタスゲの果実

2014年07月27日 | 自然観察日記
花のような白いものは実は果実の時期のもの。花の咲いている状態のものを探しましたが、木道近辺では見当たらず、花季節は完全に終わってしまったようです。もう少し標高の高い場所にいかないと難しそうでした。種子につく綿毛が特別目立つ種ですが、種子はいたって小さくほぐしてみると黒いシミみたいなものが認められる程度です。
広い湿原を見るとどこにでもありそうなワタスゲも一様ではありません。カサスゲとすみ分けていたり水が流れる小川沿いには少なく、また日蔭になっている場所も生育していないようです。

クルマバツクバネソウの花

2014年07月26日 | 自然観察日記
葉は8枚ですが花の花弁(内花被)は4枚。葯は8個あり隔壁が針状に外部に飛び出しているのが大きな特徴。多くのユリ科が3数性のなかで4数性というのも不思議なところです。ツクバネソウ属でもう一種、キヌガサソウは大型の目立つ花弁(内花被)を8枚持っていることで有名ですが、クルマバツクバネソウはとても地味な花です。