森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

モリアオガエル

2010年06月30日 | 自然観察日記
めっきり増えてきた在来種の一つにモリアオガエルがあります。アマガエルを2回り程大きくした森に住む蛙で目が赤いのが特徴です。この大きさで7―8cmはあるでしょうか。葉っぱの上でじっとしているとなかなか気づきませんが確実に個体数が増えています。天敵もそこそこいるのですが、何よりも人為的な作用が減って水辺が自然のままになっていることが最も大きな要因だと思います。

モリアオガエル 卵塊

2010年06月30日 | 自然観察日記
増加しているという根拠の一つがこの特徴的な卵塊の多さです。これは水面に突き出した木の枝に産み付けられた卵塊ですがこのタイプだけでなく、水辺に接した草むらにも沢山産み付けられています。うかつに踏み込むと卵塊を踏み潰してしまいそうです。ないわともあれ日本の本来の里山種が復活しているというのは嬉しいことですね。

エゾアジサイ

2010年06月29日 | 自然観察日記
アジサイの季節ですね。里山にも誇れるアジサイが群れています。日本に自生するアジサイの中で最も美しいとされるエゾアジサイです。サイズはやや小ぶりでも吸い込まれるような蒼い装飾花は自然のものとも思えないものがあります。
山にあるからヤマアジサイという人もいるのですが、ヤマアジサイは太平洋側の種のことで白い花を基本としています。(かなり変異がある種で、長い年月の中で選別されさまざまな品種の園芸種が作られてきています)

エゾアジサイ 青花

2010年06月29日 | 自然観察日記
土壌の条件で色が変わるとか言われるのですが定かではありません。むしろ遺伝的な要因のほうも無視できない気がします。開花後の時間的な推移でも色の変化はあります。ですから、エゾアジサイといっても細かく見ていくと同じ色のものはなかなかないもので、その個体によって濃淡があります。

エゾアジサイ 赤花

2010年06月29日 | 自然観察日記
この色はエゾアジサイとしてはかなり稀な色です。こういう個体を元に交配を繰り返して品種改良を行って数々の園芸種を作ってきたのだと思います。でもこれは里山にある全くの自生種ですよ。エゾアジサイの一つの個性です。

ノハナショウブ

2010年06月28日 | 自然観察日記
ハナショウブが菖蒲園で花盛りですが、少し遅れて里山にはノハナショウブが咲き出しています。カキツバタも点々と存在してはいますが数は多くないようです。私がいる里山フィールドミュージアムにはまだ歩いていない沢にはあるという記録があるのですが、未だに確認できていません。いつか行く予定ですが、かなりマムシが出てきたという話を聞くと一人で行く気にはなれないので先延ばしにしています(花が終わると確認できにくいのでこの時期がいいのですが・・・)。
ところで、しばしば聞かれることにノハナショウブとカキツバタとの違いがあります。手っ取り早いのは、花弁上部中央に現れる筋が白か黄色で判断します。白はカキツバタ、黄色はノハナショウブです。この絵は黄色ですからノハナショウブということになります。

サカゲイノデ

2010年06月28日 | 自然観察日記
梅雨空が多くはなっているものの時折の晴れ間、森の中は花の量は少ないもの幾つかの花も見られます。人通りがめっきり減ってはいるものの風が吹き抜ける森の中の散歩はなかなかいいものです。
シダの姿もいいですね。大きなロート状のシダはサカゲイノデというシダで、里山の杉林を中心に点々と自生しています。森の妖精が顔を出しそうな雰囲気で、おとぎの国をイメージしながら歩くのもいいですよ。

ガマ

2010年06月27日 | 自然観察日記
湿地の住人ガマです。知人にこのガマの葉を乾燥して草履をこしらえている方がおられます。履き心地は稲藁よりは柔らかく色艶もいい感じで、いわば高級品なのです。その方のいうには今の頃の葉を採集するのが一番いいとか。私などは湿地の厄介者程度にしか評価してこなかったのですが、自然のものを利用して生活の品々を創ってきた文化はなかなか味があって侮れないものですね。

ガマの花

2010年06月27日 | 自然観察日記
私は植物の作りや分布を学び調べてきた人間ですから、その素材が持つ特性を利用して生活に必要な物を作り出すという知恵については全くの門外漢。でも今はそういうことも学んでいきたいと思っているところです。
ところで、このガマの花は変わっているといえばかなり変わった花です。絵の上部が雄花で花粉を出しているところですから黄色の粉のようなものが見えます。下部が雌花です。いずれも1つの花はとても小さく無数に密集していますから、花弁などというものは存在しません。雌しべ雄しべもルーペで見ても判然としないのです。秋遅くいわゆるガマの穂というのがはじけてふわふわの綿飴のような塊になるのですが、この先に実に細かな種子が無数についているのです。

カンアオイとギフチョウの幼虫

2010年06月26日 | 自然観察日記
コシノカンアオイの葉がかなり食害されています。この原因はギフチョウの幼虫が食べたもの。すぐ近くに黒い毛虫がそれです。時期からしてそろそろ最終の段階の幼虫ではないかと思います。さなぎになろうとしてカンアオイの葉から離れようとでもしているような感じです。ところで卵は少なくとも5・6個はこの葉に産み付けられたはずなのですが、この幼虫のほかには見当たりません。それに、カンアオイの葉は全て食べつくされていない当たりが好感を持てるところですね。

ギフチョウの幼虫

2010年06月26日 | 自然観察日記
時期的なことと大きさからたぶん第5齢虫でこの次はさなぎに変態するのではないでしょうか。成虫には似ずややグロテスクかも。毛虫ですから引いてしまう方もおられるかも知れませんが、何もしませんよ。春の女神といってもてはやされるのですが、こんな時期もあるのです。

ヤマブキショウマ

2010年06月25日 | 自然観察日記
里山に「ショウマ(升麻)」と名が付くのが3種。ヤマブキショウマ、トリアシショウマ、サラシナショウマ。「升麻」はサラシナショウマの漢方薬名のようで、名前の派生の起点はサラシナショウマなんでしょうか。その他はいずれもその後の命名のようですね。
それはそうと、このヤマブキショウマは3つのショウマの中で最も早く咲く種で森の中ではなかなかいい味を出しています。

ヤマブキショウマ 雄花

2010年06月25日 | 自然観察日記
細かい花ですからなかなかカメラに上手く捕らえられません。この程度が今回の限界。ヤマブキショウマはバラ科で雌雄異株。雄花の集まりのようですから、この株は雄株ということになります。ちなみに、もうじき咲き出すトリアシショウマはユキノシタ科、晩秋に咲くサラシナショウマはキンポウゲ科です。

アカシジミ

2010年06月24日 | 自然観察日記
バラ園に1頭のシジミチョウ。中学生の頃、腎臓病を患い激しい運動が出来ないので体操部に入りたいと思っていたのに出来なかったため、蝶の世界に足を突っ込んでいました。その頃は中心はウスバシロチョウでしたがやがてシジミチョウに代わって行ったのですが、アカシジミは垂涎の蝶でした。アカシジミはコナラ林の林冠に舞うというイメージで、長い捕虫網でないと捕まえることが出来ないものでした。上空を飛んでいるものを悔しそうに眺めていたものです。長柄の捕虫網は私にとっては手の届かないものでしたからね。
そんな思い出のあるアカシジミが目の前のバラの花に止まっています。蜜を吸っている様子もないのですが、この辺りを行ったりきたりで私に見て欲しいといった風情。早速カメラに収めました。ウラナミアカシジミとともに大好きな蝶です。
(蝶の数え方は、1頭2頭と数えます)

ダイモンジセセリ

2010年06月24日 | 自然観察日記
トンボが沢山出てきてそれを追いかけるのですが、なかなか良い写真になりませんから後手後手に回っています。そんな中、ダイモンジセセリがちょうど良い具合にカメラに収まってくれました。ハルジョオンの花に訪れて吸蜜をしています。セセリチョウの仲間は蛾に最も形態が似ていますから蝶の中でも嫌われる部類になるのですが、その中でも蛾に似ていない方ですね。