森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

カニクサ

2017年01月31日 | 自然観察日記
得手ではないシダ植物も目に留まったものがありました。カニクサという種です。雑草的な性質があり日当たりの良い場所には大生に生育するようです。シダ植物では珍しいつる性の種で中部以南に生育するといわれますから、新潟県内には自生していないのではないでしょうか。現に県内で気づいたことはありません。城峰公園の日当たりのよさそうな場所に見られます。

カニクサの葉裏

2017年01月31日 | 自然観察日記
ここでは常緑性で冬を越すようです。
カニクサについて少し調べてみると、面白いことがわかりました。それは、つるのようになっている部分は実は茎ではなくて葉の脈(主軸)でそこから出ている葉は葉の羽片なのだそうです。本当の茎に相当するものは地下にあって地上にはないのだそうです。したがって、地上にあるつるの部分全体が一枚の葉に相当するという考えです。面白いですね。


イノモトソウ

2017年01月31日 | 自然観察日記
県内では見られないシダ植物でもう一種、城峰公園で目についたものがこのイノモトソウ。鉢植えにしてもよさそうな種です。関東圏ではごく普通に生育していますから、ここでは鉢植えなどとは思いもよらないことでしょう。

ヤマコウバシ

2017年01月30日 | 自然観察日記
晩秋から春先にかけて関東圏に散策に行くとあちこちでこのヤマコウバシに出会います。茶褐色になった葉が落ちずについていますからとても目につくのです。新潟県内にもあるそうですが出会ったことはありません。カシワなどブナ科の一部に茶褐色になっても落葉しにくい植物はみられますが、ヤマコウバシはクスノキの仲間。多くが常緑性の種です。葉が落ちないのは離層が完全にできないためということなのでしょうが、温度やホルモンが関係した微妙な反応なのでしょう。春にはすべて落葉するそうですから、そのころに離層が完成すると考えています。

ヤマコウバシの葉

2017年01月30日 | 自然観察日記
ある人の意見にこんなのがありました。
もともとヤマコウバシは常緑性の種でしたが、分布を北に伸ばし落葉性を身に着けようとしているのだがいまだ完成していない。離層を形成し始めても冬の低温で離層を作るのを一旦停止して春に気温が上がるにつれて再開し離層を完成させ、そして落葉する。
また、ヤマコウバシは日本に生育するのはすべて雌株なのだそうです。しかし、実をつけるそうです。発芽はかなり難しいらしい。奇妙な性質を持っている種なのです。

キクタニギク

2017年01月29日 | 自然観察日記
別名アワコガネギク。新潟県内にはないと思われる黄色い花のキク属。キク科の種は沢山ありますが、キク属となると新潟県内では糸魚川地域にリュウノウギクという白い花を咲かせるキク属を観た経験があるくらいです。太平洋側には黄色いキク属が自生していることを知ったときはかなり興奮したもんですが、峰城公園の雑木林の林縁に晩秋の花の少ない季節にひっそりと咲いているのを見つけなぜか懐かしい心地です。

キクタニギクの葉と花

2017年01月29日 | 自然観察日記
黄色いキク属に感激してもいられない事情があることを知りました。元来キクタニギクは日本以外に朝鮮半島や中国大陸に自生しているのだそうです。当然種が同じでも生育場所で固有の進化をしていますから、国産種と大陸系の種ではかなりの形質に差異があるようです。それが、近年道路ののり面などに吹き付けられるヨモギなどの種子に混じって大陸系のキクタニギクの種子が散布されているのだそうです。至る所に中国産のキクタニギクが生育しているのが実情という話です。新潟県内にはないと思っていましたが案外このルートで各所に生育しているのかもしれません。目の前にあるキクタニギクが国産なのか大陸系なのか詳細な知識がないため不明です。

キクタニギクの葉裏

2017年01月29日 | 自然観察日記
葉裏は細かな毛が多いのか白さが際立ちます。
キクタニギクは太平洋側の限られた地域に生育する種のようです。埼玉県は分布域ですから城峰公園に生育していてもおかしくはありません。しかし、群馬県は微妙な地域です。岩手県から千葉県までの海岸を中心に生育し、あとは近畿圏と北九州。環境省の純絶滅危惧種扱いの種。しかし、富山県や青森県などには中国産のキクタニギクが生育しているのだそうで。在来種と混在している県もあり遺伝子の汚染に心を痛める一人です。

城峰公園の冬桜

2017年01月28日 | 自然観察日記
群馬県との県境近くの埼玉県地内に城峰公園があります。沢一つ越えて行くと群馬県の桜山公園があってともに冬桜の名所として知られています。昨年晩秋にこの桜を見に行きました。規模的には桜山公園のほうが桜の本数は多いようですが城峰公園もまずまずの印象です。天候が悪くゆっくり散策ができないのが残念でしたが新潟では見られない草花もあっていい時間を過ごしました。
冬桜というのは10月から12月頃にかけて咲くものをいうようで一つの種類を指すのではないとする考えもあるようですが、狭義の冬桜としての品種扱いをする方もおられます。この公園や桜山公園のものは狭義の冬桜が多いようです。公園をガイドしてくれる人の話では夏に作った花芽のうち30%くらいの花芽がこの季節に咲いて、4月の桜の季節に残りが咲くのだそうです。
桜の公園もよいのですがこの周辺の民家にも多くの冬桜があり晩秋の晴れたに日ドライブをするとなかなかいい田舎景色に見えます。これがなかなか捨てがたい風景なのです。

冬桜の花

2017年01月28日 | 自然観察日記
品種名が合っているのかどうか正直自信がありません。城峰公園で咲いている冬桜です。薄ピンク色で中型の大きさでしょうか。桜博士の勝木先生の書によればマメザクラとオオシマザクラの交配種とのこと。この品種は秋と春の二回咲く性質があるのだそうです。
ところで、私がときどき通る家の庭先に咲いている冬桜は、10月下旬頃から咲きだして今年は暖かいせいでしょうか一向に咲きやまず1月になってなお盛りと咲いている株があります。この様子だと4脱の桜の季節には花芽がない状態に陥りそうです。おそらく冬桜は冬のある温度以下になると活動を停止し生育が止まるのでしょう。再び温度が上がってくると花芽が動き出し開花するために二回咲くように感じられるのではないでしょうか。温暖化が進むと1月頃に花は咲き切って春には見られないというような現象が起こるのではないでしょうか。

ヒイラギの巨木

2017年01月27日 | 自然観察日記
先日の大寒波の襲来で雪との戦いを続けている最中、目下寒中で節分にはまだしばらく時間がかかります。春の訪れが恋しい日々です。
野山を散策するにはまだまだ時間がありますからもうしばらくは昨年の話材で過ごします。晩秋に頃県内外の訪れた場所で目についたものを紹介します。自然散策をする予定のない場所でのこともありますから特に一貫したものがあるわけではありません。
群馬の中之条の駒岩地区を通りかかると遠くにこんもりとした常緑高木が目につきましたから、車を路肩に止めてこれを確かめに行きました。それは見事なヒイラギの巨木です。圧巻です。ちょうど花の盛りでよい香りもして、風向きによってそれに包まれたり消えたりします。県の指定天然記念物になっていて案内板も設置されています。それによると、ここにはかつて観音堂があったそうで、明治の初めころ子供の火遊びで焼失したのだそうです。その境内で最も古い樹とのこと。目通り2m樹高9m枝張7m樹齢不詳。西日本に自生はあるようですが西日本の山野を訪れる機会はほとんどありませんから、目にするものは庭園に植栽されているものばかり。それも結構高木や古木が多かったように思いますが、この駒岩のヒイラギは群を抜いています。素晴らしいの一言です。