森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

ヒョウタンボク 実

2011年07月31日 | 自然観察日記
今年のヒョウタンボクは変です。沢山花がついたのに実った実はそれほど多くなくて挙句の果て実はひょうたんにならずどれもご覧のような形状です。実の数が少ないということは受粉できた花が少なくて、少なくとも対になっている両方の花の受粉が上手くいかず一方だけということなのでしょう。不成功に終った片方が申し訳なさそうについているのが面白いですね。ポリネーター(受粉媒介者)が少なかったのでしょうか。

ハクウンボク 実

2011年07月30日 | 自然観察日記
オクノフウリンウメモドキのように色では目立ちません。エゴノキの仲間で一時山肌に白い沢山の花を咲かせて目を引くのですがエゴノキほど多くありません。そういえば長岡の西側(信濃川左岸)には分布はなく(米山と国上山には知られています)東山に点々と生えています。それに反してエゴノキは長岡の東西に多く分布しています。ハクウンボクはエゴノキより山地に適応していると考えるといいようです。それにしてもこの実はエゴノキのようにシャボンになったり魚の麻酔作用などがあるのでしょうか。機会があったら実験しても面白いですね。

オクノフウリンウメモドキ 実

2011年07月29日 | 自然観察日記
もう実の季節になってきているのですね。これは越後の山野に点々と生えているオクノフウリンウメモドキというモチノキ科の低木の実です。花は小さな地味な花、気づかないうちに咲き終わります。赤い実がつくとそれと分かります。小さな実ですからもう少したくさんの実をつけてくれれば注目されそうな種なのですが控えめですね。しかし、この控えめさがいいのかもしれません。個体数も多くなく「幻の実」ですから出会うとそれなりに感激します。

ハマユウ

2011年07月28日 | 自然観察日記
なぜか我が家にはハマユウがあって毎年この季節に白い花を見せてくれます。一般には南の海岸に生える大型の草本ですが、もう20年も前に知人から頂いた株が消えるでもなくどんどん増えるわけでもなく生き続けています。しかし、花は咲くけれど結実したことは一度もないですね。別の株がないと結実しないのでしょう。こういう現象を自花不和合性といいます。そのしべを覗いてみると湾曲しています。長く伸びでたしべが内側に曲がるのは受粉を確実にするための手段で昆虫に花粉を付着させやすいのと最後には自分の雄しべと雌しべを接触させるための方法とも考えられるのですが、そういう方法でもこの個体はいまだかって成功していないのです。

イグチの仲間 ①

2011年07月27日 | 自然観察日記
キノコの本体は地中や枯れ木の中にあるシロという菌糸です。このシロが年々移動しながら時期になるといわゆるキノコ(子実体)を発生させます。シロが健在で毎年成長し生きていればほぼ同じ場所にキノコが見られます。しかし、一つのシロはそんなに長生きしていない気がしますね。感覚的に3年も生きてればいい方で、同じ場所で同じキノコを見つけることが出来ないのではないでしょうか(毎年新たなシロが次々に形成する場所ではキノコは発生するでしょう)。
このイグチは少なくとも今年で3年目の発生を確認している種です。バス園路脇のアカマツを交えた雑木林の縁に出ます。しかし、今年は発生量がかなり少なくなっているようです。残念ながらこのイグチの名前を特定することが出来ません。苦味はなく匂いも悪くありません。

イグチの仲間 ②

2011年07月27日 | 自然観察日記
キノコの識別に傘と柄のつき方が重要なポイントの一つ。傘(ひだ)が柄に対してほぼ直角についている場合は「直生」といい、このような僅かですが柄に対して滑らかに連続的についている場合を「垂生」といいます。他に「湾生」「離生」などいくつかの区分があります。イグチは小さな穴が無数にあり、この穴は菅孔といい多くのイグチはこの中で胞子を形成します。

ベニタケの仲間

2011年07月26日 | 自然観察日記
ウコンハツでしょうか。里山フィールドミュージアムに夏場のキノコが出始めました。とはいってもなんとなく少なくて、多くの草花の開花が遅かったようにキノコの仲間も遅いのかもしれません。
あまり歩かない園路にアイタケの老菌があったのですがその脇に黄色の可愛いこのキノコが顔を出していました。ちょっとかじってみましたが、特に違和感のある食味はなく食べても問題はなさそうな感じです。一時クサハツ系の種かなと思っていたのですが、辛味とか異臭がないのでウコンハツかな?という見当をつけてみました。

コブシの若い実

2011年07月25日 | 自然観察日記
川べりの公園にコブシの木があって良く見ると未熟な青い実が沢山ついています。どれも一つとして同じ形をしていない凸凹の実がついています。同行した人に「どうしてだろう?}と問いかけられました。

このモクレン科の種は種子植物の中の被子植物ではもっとも古い形の植物と考えられています。「種子」を作ることはできているとしても用意した胚珠(種子のもと)が全て種子形成に成功するわけでもなく、また種子を束ねる子房などのいわゆる果実が未発達で、一種の「出来損ない感」のある果実になってしまったままです。被子植物はその後出来損ないを修正するべく左右対称のような均整の取れたものに進化していったということだと思います。

若い実を切って見ました

2011年07月25日 | 自然観察日記
こぶしの若い実を横に切ってみました。丸く脹らんだところは種子が出来た胚珠の位置で、受精しなくて種子が出来ないところが未発達です。全ての胚珠で種子が出来ると長楕円形の均整の取れた美しい形になることが推測されます。確かに変形した同じ実をたくさんつけているのは不思議かもしれません。

キササゲ

2011年07月24日 | 自然観察日記
中国からの移入植物で街中で時たま見かけますが、出合ったもの皆高木で細長い実が沢山垂れている場面がほとんどで花を目にすることがありませんでした。先日立ち寄った物産館の入り口に花盛りの低い樹がありました。この花を良く見たのはこれが初めてで、どことなくエキゾチックな雰囲気を感じます。ノウゼンカズラ科というのに分類され近縁種は日本には自生していません。

キササゲ 実

2011年07月24日 | 自然観察日記
花が咲いている株に実もついています。もうこんなに成長していましたが、花の時期が長いというのではなく花後の成長が極端に早いのだそうです。マメ科のササゲに実の様子が似ているので「木」ササゲというのだと説明がありました。

ヤブデマリ 実①

2011年07月23日 | 自然観察日記
7月の夏盛りには木の実はどことなくそぐわない感じがするかもしれません。でも、里山には今を盛りに赤く色づいてきた実があります。ヤブデマリの実(ここはケナシヤブデマリ)です。白い花が5月に一面に咲いてた沢に遠目にもわかるように赤くなってきました。花の少ない季節ですから緑一色の世界では目を潤す貴重な存在です。

ヤブデマリ 実②

2011年07月23日 | 自然観察日記
この実は余り長持ちをしません。やがて黒くなって熟し、落下します。鳥などに食べられるのがありそうですが、ついばんでいる姿を見かけませんし木の下には落ちた実が沢山ありますから鳥たちにはあまり好まれる実ではないようです。7月の中旬にはもう黒く熟しているものが見られます。でも、果軸が赤い実と同じ色でこれはもう少し長く留まり実が落ちた後でもそのままの状態ですから遠めには果実がついているように見えてしまいます。

ホトケドジョウ

2011年07月22日 | 自然観察日記
学名をレファエチゴニア(Lefua echigonia)といい、「越後」という名が付けられている絶滅危惧種の一つです。各地里山の細々とした山間の小沢などに生活をしている肉食性の強い雑食性のドジョウです。しかし、あまりドジョウらしくないです。
丘陵公園の里山フールドミュージアムは開園当初は僅かに生息していたのですが、湿地を回復し農薬などを使わない環境に戻したら大変多くなってきました。今、再びその湿地を改造している最中で、春以来ホトケドジョウの避難作戦を展開中なのですが、今までに保護した個体はもう1000匹は越えているのではないでしょうか。脇を流れる小川に放流しています。工事が終った段階で再び湿地に大きな個体群を復活させる予定です。来年4月に開館する里山交流館の愛称がこのホトケドジョウにあやかって「エチゴニアン」になるとのこと。多くの方に受け入れられるといいですね。

トラフシジミ

2011年07月21日 | 自然観察日記
ゼフィルスのようでその仲間に入れてもらえていない蝶です。ゼフィルスは年1度の羽化なのですがこのトラフシジミは年2回は羽化する種で、そんな違いが仲間はずれといったところなのでしょう。トラフは「虎斑」ですが、らしくありませんね。春初めに羽化する個体が当てはまります。この個体は夏型で翅の裏側はやや黒っぽい色です。しかし、表側は青い綺麗な色をしているはずです。トリアシショウマの蜜を吸っているいるところで夢中になっているせいか近づいても逃げません。