ユキノシタ科のチダケサシ属。越後ではトリアシショウマがこの仲間ですが、雰囲気はまるで異なります。遠くから見ると桃色になって見えますが、近づいて良く見るとどちらかというと白い色。越後には低山にはない種で、基本的には太平洋側の種です。数年前、長野との県境の鳥甲山で見かけたことがありました。この名前の由来を調べてみると、「チチタケというキノコをこの茎にさして持ち運んだことに由来」とありました。なるほど。
木道の真下に小さな花が咲いていました。初めて見る種でヒメヤブランといいます。確かにヤブランを思い切り小型にしたような草姿です。あたり一面に咲いているわけではありませんが、所々の空間に申し訳なさそうに咲いているという風情。いとおしいですね。もう7月、草木が生い茂る季節ですからその根元にひっそりと咲く花のようですが・・・。しかし、良く見るとここはズゲかヨシの泥炭が生じているような場所でそれほど高い草がない環境です。日当たりが好きな種ですね。
見れば見るほどかわいい花。もっと違った名前が付くとよかったですね。ヤブランは薄暗い森の中で生育する種のような印象がありますが、この種は幾分湿地性の明るい場所を好む種と考えています。エングラー体系ではユリ科に分類される多年草です。
カワラナデシコと同様、野生のキキョウです。実に久しぶりで、何十年か前に福島只見の草原で見たような気がするのですが、それ以来でしょうか。大変感慨深いものがあります。キキョウは身の回りにあふれている花で、それほど珍しいものでもありませんが自生ということが大変価値があります。もちろん昔は至る所の草原には普通に生えていた花ですが、乱獲のせいでしょうか全くといっていいほど自生は見られなくなってしまいましたね。まだ花の季節には早い頃でしたから、榛名の草原にはそれなりの個体が自生している可能性があります。大切にしたいものです。
これも自生種。シモツケです。白花種が多く流通していますから、ベニバナシモツケというようになってきました。もともとシモツケは桃色種が多く、白花は極まれに自然界で見つかる程度のものであったはずですが、園芸種として利用され始めると白花種と赤花種が同程度に取り扱われ、今では公園など至る所に白花、赤花がみられます。このシモツケも本当の故郷はこういう環境なのだということを教えてくれるものになりました。
ノイバラの仲間の中で葉が厚く光沢をもつ種で日当たりのよい草原や川原、海岸に生育する種とされます。榛名の草原入り口に地面を覆うノイバラがありました。葉は強い光沢をもっています。花はノイバラに比べ大きく見ごたえがあります。このままつるバラに仕立てても十分観賞価値はありますね。
カワラナデシコも量こそ多くはないものの散策道(木道)の周辺に点在しています。カワラナデシコは植栽されたものは至る所で見るのですが野生のものを見るのは非常に少なくなりました。植栽されているものはほぼ原種に近いものですから、花そのものに何か変わったところがある訳ではありません。しかし、この環境に適合して自然に生じている点に価値があります。
昨年夏、榛名の高原に出かけました。しばらくはこの時に自然観察を行ったことをブログに書こうと思います。
7月下旬ですから、お目当てはユウスゲで、越後にはない花を見ようと出かけました。ユウスゲ(夕菅)ですから夕刻に咲きだし、翌朝少なくとも午前中にはしぼんでしまうのではと推測していました。しかし、一つや二つは残っているだろうというかなり大雑把な投槍の計画です。当日、計画を立てた時間帯にはあるのかないのかやや疑心暗鬼な面持ちで榛名湖の脇に広がる榛名の草原にさしかかります。しかし、そこに広がるユウスゲの多くの花を目にしたときは一行は大歓声で、私は内心安堵の気持ちで胸をなでおろしたものです。思いのほか多くの花がまだ十分な鑑賞に堪える状態で残っていました。もともとはこの草原は湿地環境であったと思いますが、乾燥化が進んで陸化して今に至っていると考えました。しかし、まだ草原状態で低木の進出はこれからのようですね。
7月下旬ですから、お目当てはユウスゲで、越後にはない花を見ようと出かけました。ユウスゲ(夕菅)ですから夕刻に咲きだし、翌朝少なくとも午前中にはしぼんでしまうのではと推測していました。しかし、一つや二つは残っているだろうというかなり大雑把な投槍の計画です。当日、計画を立てた時間帯にはあるのかないのかやや疑心暗鬼な面持ちで榛名湖の脇に広がる榛名の草原にさしかかります。しかし、そこに広がるユウスゲの多くの花を目にしたときは一行は大歓声で、私は内心安堵の気持ちで胸をなでおろしたものです。思いのほか多くの花がまだ十分な鑑賞に堪える状態で残っていました。もともとはこの草原は湿地環境であったと思いますが、乾燥化が進んで陸化して今に至っていると考えました。しかし、まだ草原状態で低木の進出はこれからのようですね。
ユウスゲの淡い黄色がいいですね。個人的には清楚でもの悲しさを感じてしまうものですから、青春の頃のはかない夢ににも似た思い出が結びついてきます。ニッコウキスゲは至る所に大きな群落があり、またそれを売りにした宣伝が盛んになされますが、同じ仲間でユウスゲは至って控え目。その状態が私にとっては好都合で、ひっそりと自分のものにしておきたいところ。でも、結局多くの人にも紹介してしまいましたが・・・。一日花で、夕刻に開花する性質があります。それはポリネーター(花粉媒介者)に蛾などを利用しているということを暗示しています。
里山フィールドミュージアムの大切な顔で無くてはならない種です。といっても特別目立つ存在でもなく今のところ量も多くはありません。この花より少し早い花にミヤマガマズミがこのエリアには多いのですが、いろいろな意味でこの種に圧倒されていて幾分日陰の身の存在。しかし、ガマズミは里山にはなくてなならない存在だと思っています。
何故そう感じるのでしょうか?花や、実の美しさというのではなく昆虫とのかかわりや小鳥とのかかわり合いの中で里山の生態系のなかで重要な位置を占めることから来る気がします。林床はときどき柴刈りを行わなければならないのですが、ガマズミはできるだけ残そうかと思っています。
何故そう感じるのでしょうか?花や、実の美しさというのではなく昆虫とのかかわりや小鳥とのかかわり合いの中で里山の生態系のなかで重要な位置を占めることから来る気がします。林床はときどき柴刈りを行わなければならないのですが、ガマズミはできるだけ残そうかと思っています。
スイカズラ科の低木で、同じころの花でムシカリやヤブデマリとは異なり装飾花がない種の代表で、このグループの特徴を解説するには欠かせない存在でもあります。昔、知人でこの実をとって果実酒を作るのが趣味だという方がおられて、いろいろと自慢されるので酒飲みというのはうらやましいなぁとつくづくと思ったものです(私はまったくの下戸で口にしません)。酒の色がいいのだそうです。それはそうと今年のガマズミの実が遅くなってもたくさん残っているのですが、少し気になります。これからの小鳥たちの食糧になるのでしょうか?
エゴノキです。山野の明るい二次林には普通の種とされます。初夏にはおびただしい花を咲かせる姿が私には強い印象として残っているます。エゴノキが多い林に入ると花が散った後の白い絨毯にも感動させられたものです。それほど多くの花をつけるのなぜか艶やかな感じはしなくて、むしろ地味な存在です。樹も株立ちにはなっても単木で大きくなることはなく、雪国ということもあるのでしょうが素直な樹形にはなりません。樹皮は黒いのですが、その皮が剥がれると内部は白い樹肌でなんとなくなまめかしく感じられます。
エゴノキにまつわるいくつかの話があります。まず、実が「えぐい」からエゴノキというのだとか、果皮にはサポニンが含まれ有毒で泡立ちがよいので石鹸代わりに利用したとか・・・。さらに、小川に流して魚取りをするとかで、昔の人が自然のものをいかに良く調べ利用したのだということを子供に教える格好の素材です。さらにさらに木の実はヤマガラなどの多くの鳥にとっては重要な食糧になっているという話もあります。おそらく鳥との関係が良いので全国的に生育していることと関係しているのでしょう。
フィールドミュージアムにはオオバボダイジュの亜高木~高木が各所に点在しています。ひょろひょろと伸びた幹からはそれと知る人は多くなく花が咲き果実が熟し落ちてくるころに足元に散らばる特徴的な実でオオバボダイジュを意識しています。今年、偶然にも花のついている一枝が折れて手の届くところで見つかり、それを室内に持ち込んでカメラに収めました。