カップ麺“待ち時間”・・・3分が常識かと思っていましたが
最近では、0分のカップ麺が登場したとか
記事(2016年11月13日 gooニュース)によると
『寒くなると、恋しくなるカップ麺。忙しいとき、小腹がすいたとき、つい手が伸びてしまう。3分待つのが定番だが、商品によって1分や5分もある。今秋には、待ち時間ゼロの商品が登場した。あなたは、何分なら待てますか?
シマダヤが9月に発売した「ホット! 流水麺」は、そば、うどん、ラーメンの3種。湯をかけ、混ぜるだけですぐ食べられる。待ち時間の短いカップ麺は、熱湯を注いだ直後のため、熱すぎる難点があった。この製品はチルド食品なので、湯が冷める。記者が測ったら、注いだ直後でも72度と熱すぎなかった。1歳の子を持つ秋田県の主婦、滋賀愛さん(32)は「子供が寝てる隙に、さっと食べられて助かる」といい、仕事に追われる東京都の会社員、桐山祐樹さん(32)は「一刻も早く食べたいときにいい。3分待つのも煩わしいので」と評価。ライバル社の広報担当者も「ある意味で、カップ麺の究極形だと思います」と認める。
一方で、「これじゃ、カップ麺の良さを味わえない」と異議を唱える声も。カップ麺好きの東京都の会社員、島田拓さん(32)は「3分のラーメンなら、2分で食べ始めるのがポイント。最初は硬めの麺で、食べるうちに理想的な軟らかさになる」という。
こんなふうに、待ち時間をアレンジして楽しむ人もいるようだ。0分は、利用者の楽しみを奪うのか。昨年には、お笑い芸人のマキタスポーツ氏が「10分どん兵衛」をラジオで紹介し、話題となった。メーカーの日清食品が「5分」とする待ち時間を10分にすると、だしが麺に染み、光沢が出るほどつるつるとなり、のど越しがよくなったという。
日清も「5分でお客様においしさを届けるということに縛られすぎていて世の中の多様性を見抜けていなかったことを深く反省しております」との“謝罪文”をウェブ上で発表したほどだ。その後、推奨時間よりも待って食べることがトレンドに。「10分ラ王」「10分マルちゃん」「10分凄麺」などが広がった。「どん兵衛は、特有のしっかりとしたコシのある麺が奏功したのでしょう。カップ麺はメーカーのものではなく、お客様のもの。お客様のほうで好みを探し、いろいろと楽しまれているようです」(日清食品広報部の鶴丸一毅さん)
これまで、さまざまな待ち時間のカップ麺が生まれては消えた。そこで、即席麺の歴史に詳しい愛好家の山本利夫さん(56)の協力を得て、待ち時間の変遷をたどった。
1971年に出た初のカップ麺「カップヌードル」は3分。当時は、「3分間待つのだぞ」とのボンカレーのCMに象徴されるように、インスタント食品は3分が定番だった。75年、5分が登場した。東洋水産の「きつねうどん」だ。翌年に出た日清の「どん兵衛きつねうどん」など、太麺は5分の流れができた。77年には、待ち時間4分のノンフライ麺「どんぶりくん」を、明星食品が発売した。以降、日清の「めん八珍」など、ノンフライ麺は4分の流れとなる。80年、新たなジャンルで5分の商品がはやった。高級カップ麺だ。東洋水産の「力一杯」は1個300円。明星食品が81年に出したレトルト具付きの「中華飯店」も、5分だった。
高級化で待ち時間が延びる一方で、82年に時短の画期的な即席麺が生まれた。明星が「クイックワン」を、エースコックが「エースワン」を相次いで発売。時短を追求した60秒ヌードルがヒット商品になった。
シマダヤの前身、島田屋本店が89年に出した生タイプ麺「真打ちうどん」は、2分。他社も追随したものの、92年に日清が1分の「ラ王」を発売。以降、生タイプ麺は1分待つか、湯切り後すぐ食べられる商品が一般的になった。山本さんはカップ麺の歴史について、「時間が短いほど良いとの価値観と、おいしさの価値観。この両者をてんびんにかけて評価するようになったのは、80年代初頭。それ以降、カップ麺市場は成熟化、多様化してきた」と説明する。
山口大・時間学研究所の織田一朗客員教授(69)は、カップ麺の待ち時間の時代性をこう語る。「60〜70年代に重視されたのは、早く食べられ、エネルギー補給できる効率性。80年代から、そうした効率一辺倒ではなく、自分に合った幸せを追求するなど価値観が転換した。さらに、技術の革新で麺や味などの工夫も進み、カップ麺の多様化を促した」』