「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

「なでしこBOSAIパワーズ」全体会に出席して

2017-03-18 23:31:38 | 地域防災
読書とモノを考える数日間の旅を終え、早朝に成田空港に帰着。

シャワーを浴びて眠気を取った後、成田エクスプレスと新幹線を乗り継いで静岡県地震防災センターへ直行。
12時から「ふじのくに防災士会静岡支部」の支部会に顔を出して情報共有、
13時から「なでしこBOSAIパワーズ」第6回全体会に出席させてもらった。

「なでしこBOSAIパワーズ」は、静岡県庁の女性職員が「言い出しっぺ」となり、
女性の力を防災対策に活かす取組を推進することを目指して結成されたグループ。

2014年11月の立ち上げ当初から存在は知っていたが、メンバーに加えてもらったのはここ数ヶ月のこと。
(ちなみに男性であってもメンバーに成ることは出来る!)
初めての全体会出席でしたが、なかなかのカルチャーショックでありました。

パンフレットに曰く、

なでしこは、5枚の花弁から成ります。
儚くみえつつも、実は多年草。
種類によっては、一枝に複数の花が付くことも。

一人ひとりがあつまって花となり、
それぞれの独立した花があつまって“なでしこ”となる。

https://www.pref.shizuoka.jp/bousai/e-quakes/documents/nade45concept.pdf

静岡県のHPには少し硬い表現もあるが、しなやかに、かつ、たくましく、という感。
現時点でのメンバーは50名ほどだろうが、そのうち20名ほどが出席。
ちなみに、男性の出席者は私も含めて3名。お二方とは「やはり」旧知の間柄でありました。

プログラムは三本立て。
まず、県警災害対策課に勤める女性警察官から、県警が作成している防災啓発関係資料についての情報提供。
静岡県警(警備部防災対策課)も、少ない予算の中、オリジナルの防災啓発パンフレットを作成、
個別訪問時などに配布し、普及啓発に取り組んでいる、とのこと。
時代は変わるものだなぁ、と実感。

次いで、「しぞ~か防災かるた」の体験。
百人一首よろしく、上の句と下の句に分かれ、
上の句には静岡の歴史や風物についての説明が、
下の句には防災の知識・情報や教訓がそれぞれ盛り込まれ、
そして取り札は上の句か下の句に関する絵が描かれている、というもの。
この種のものは「大したことはないだろう」と高をくくっていた感があったが、不明を恥じるのみ。
幼稚園~小学校低学年の時に叩き込まれた百人一首が、私の日本語理解の基礎を作ったように、
うまいプログラムを作れば、防災についての基礎知識の底上げを、ごく若い時分から可能にする、
そんな可能性があるのだなぁ、と、今さらのように思わされた。

それにしても……。「しぞ~か防災かるた」の作成と普及に、
静岡県の課長級職員がプライベートな時間を使って取り組んでいるのだから、
静岡県はやはり大したものである。

プログラムの最後は、地震防災センター周辺の防災まちあるき。
防災まちあるきは毎度おなじみだが、
同じ静岡県内であっても、慣れ親しんでいる富士市内と静岡市内では、意外と差があるものだなぁ、と、
こんなことを今さら言っているようでは「おいおい」なのだろうが、ちょっと考えさせられた。
意外なほど防火水槽がなく、ホースボックスも目立たなかった。
もっとも、たかだか1時間弱のまち歩きで、断定的なことを言ってはなるまい。
まぁ、でも、その地域でDIGをやるなら、事前にまち歩きはしたいなぁ、と、こちらも改めて思った。

「なでしこBOSAIパワーズ」の活動と、普段の地域防災活動と決定的に違うのが、
男女比が入れ替わっていること。

かつて東京で社会人生活をしていた時期、行きつけにしていた店が、
フェミニスト運動の拠点として知る人ぞ知る店だった、というのは、馴染みになってから知った話。
大学・大学院生時代には、優秀な女性は山のようにいた。
そんな「原体験」もあって、旧来型の男女の役割論議とは一線を画しているつもりだが、
それでも、女性の能力を活かすということについては(男性についてもそうだが)、まだまだ仕掛けが及んでいない。
引き続き、「なでしこBOSAIパワーズ」の一会員として修業をさせてもらいつつ、
当方の活動についての情報提供等々の形で、防災活動に取り組む女性の率を上げられるよう、
取り組まなくてはならないなぁ、と、思っている。

(3月22日 記す)


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