「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

援助物資は被災地を襲う第二の災害である

2011-03-24 13:41:39 | 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)
日本時間 2011年3月24日(木) 13:40
中米時間 2011年3月23日(水) 22:40

【諏訪部プロジェクト:論点その2】

「地震で店がボロボロになってしもうた。
援助物資で商売がボロボロになってしもうた。」
(阪神淡路大震災のとある記録から)

援助物資が外部から投入されれば、物資送付や仕分けにかかるコスト
(=ただでさえ忙しく、しかも自分自身も被災者の公務員に過剰な
付加をかける!)は無論のこと、より本質的な意味では、
被災地内で身銭を切って買い物をする人がいなくなり、
その結果としての売り上げ減は、特に中小零細の企業にとっては、
文字通りの死活問題となる。
無償のサービス(例えば散髪)の提供も同じこと。

つまりは、無償の物資やサービスの提供は、提供する側としては
善意のつもりでも、結果的には地域経済の復旧復興の妨げとなってしまう。

このことは、防災関係者の間では常識なのだが、まだまだ、
世間の常識にはなっていないようだ。とすれば、
どの程度の意識ギャップがあるのか。
またそれは、解決可能なものなのか。

諏訪部さんはどう考えたか。

以下、原文のまま。
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自分の周囲は「その発想は考えたこともなかった」ようです。
まったく頭にないのが現実のようです。

蛇足ながらツイッター利用者は(自分は遠方の友人が主であまりツイッターの
利用者の声を聞けていないですが少なくとも自分の周囲は)予備知識または
今回の事で防災知識のある人や被災経験のある人が「個人でものを送ることほど
迷惑なものはない(自治体の指示に従い、当然使わないものでなく
相手がいるものを自治体に預けろ)」と声を上げていたので
人的労力を仕分けなどに使うと把握はしていたものの、地域経済の復旧復興と
いった目線は持たず、現在から長期でも、被災による個人の経済的事情を
考えたりすると「発想になかった」「自分なりの意見を言うには時間がいる」と
言う人がいました。

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このような発想法が普通になれば、復旧・復興支援は、
ずいぶんと楽になるのだが、さて、ツイッターの時代、
どうやれば、この発想を拡げていくことは出来るのだろう……。

「だって、モノが足りないのでしょ?」という、
ものすごく単純化された批判をする者を、どうやれば
説得できるのだろう……。


                            (リアルタイムにてアップ)

被災地支援として「プレミア」付き価格でもモノは売れるか?

2011-03-24 13:11:42 | 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)
日本時間 2011年3月24日(木) 13:10
中米時間 2011年3月23日(水) 22:10

【諏訪部プロジェクト:論点その1】
復旧復興のためには被災地の産品が売れることが必要。
であれば、被災地支援として「プレミア」付き価格でもモノは売れるか?

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被災地の復旧・復興にはさまざまな「ものさし」があるが、
少なくとも経済的な復旧・復興は不可欠となる。
つまりは、被災地域が経済的に、再び、自立(自律)できるかどうか、
つまり、若者がそこで経済生活を営み続けられるだけの仕事があるか、
という話。

そのためには、まずは、被災地の産品が売れてくれないことには話にならない。

だが「1円でも安く」が染みついているのが「賢い」消費者である。
となれば……。

ちなみに「旅の坊主」は、モノには適正な価格があると信じており、
額の多寡ではなく、値段相応であるかどうかが一番の判断材料。
また、自分に出来る被災地支援は、まずは現場にお金を落とすことと信じており、
被災地の酒屋さんで、商品価値を失ったお酒をまとめ買いしたことも再三。

では諏訪部さんはどのように考えたか。

以下、原文のまま。
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規模は推測出来ませんが、まず「売れる」と思います。
今回の地震、被災者は勿論、被災とは離れた場所にいる人は
大きな不安からか、被災者の為に何かしたいと強く思う人が
多いように感じました。

(成人して初めての大災害で通常と同じでも過剰評価してある
可能性は否定できませんが)

ただ募金をはじめ被災地への救助支援復旧復興に繋がっている事への
透明さが鍵に思います。不透明だとなにに使われるか疑念を持つ人も
多いようです。しかし産地のものを購入する事はある意味で
分かり易いようにも思えて購入する人はいると思えました。

ただ今回非常に残念なのが放射汚染を危険視しすぎるあまり
政府が出荷や摂取を控えるよう指示を出したことにより、
それらが難しくなりはじめている事実です。汚染で野菜を
そこまですぐに危険視する必要はなく、寧ろ購入したいと
ツイッターで発言する人は多いですが(ネット故真偽はともかく)、
若い方、また実家暮らしの方が「母に説明しても理解してもらえない」
「情報弱者にこそわかりやすくマスコミは伝えるべき」と
ツイート(コメント)しています。

また、実際電力などの影響で現在「今月いっぱい仕事が休み、
短期すぎてバイトもできないが不安」という方や、自分の父
(五十代、中小企業)や父の友人は「停電時間が予定と違って
ばかりで困る、仕事がまともにいかない、倒産する企業も多いだろう。
大手と違い自分達は死活問題」と、経済力が高くない中流以下家庭は、
強い愛国心や防災意識を持たない限り(また、例えあっても
自身の生活が保証されない限り)プレミアを買えない人口も
(復興には長期支援が必要にもかかわらず)時間経過とともに
増えていくのが現実と思います。(悲しいですが喉元過ぎれば
なんとやら、で被災すぐの動きは大きくても、長期はとても
難しいです)少なくとも(とても恥ずべき事ですが)
自分の周囲はそんな感じです。
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諏訪部さんの率直な意見に、心からの敬意を。
実現できるか、継続できるかは二の次として、
少なくとも、こういう発想も被災地支援なのだ、という共通理解を
何とかして作りたいのだが、さてさて……。

さらに。

質の良いキャッチボールは、新たな想をかき立てる。

プレミア付きは買えなくても、
被災地と被災地以外、複数の産地の同じ産品が同じ値段で売っていた時、
その時は被災地のものを選んで買ってくれるだろうか。

そして、そのような小さな気遣いであっても、
それが復旧復興支援になるのだ、ということを、
どうすれば世間の常識にすることができるのだろうか……。



                          (リアルタイムにてアップ)

「諏訪部プロジェクト」始動

2011-03-24 13:01:15 | 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)
日本時間 2011年3月24日(木) 13:00
中米時間 2011年3月23日(水) 22:00

過日の「何を調べ、何を発信すれば……」の書き込みについて、
昨年春に本学を巣立った諏訪部さん(女性)という卒業生から、
大変しっかりとしたコメントをもらった。

「偶然防災に興味を持った」「その他大勢の防災知識の低い人間」等々、
謙遜の言葉がならぶが、どうしてどうして、大したもの。

ご本人の許可を得た上で、次の書き込み以降で、
「旅の坊主」が提起した論点と、
それへの諏訪部さんのコメントを記す。

このキャッチボールが、さらなるコメントを呼び、
ささやかであっても世論を作り、より質の高い支援活動へと
つながって行くことを期待したい。

読者の皆さんへ。

皆さんが、この諏訪部プロジェクトでの議論を読んで、
これは広く共有する価値があると思ってくれたならば、
この議論の存在を、ぜひツイートして下さい。

ひょっとしたら、何か、新しく前向きな展開を
生むことができるかもしれないのです。

そうなることを願いつつ。

「旅の坊主」こと
小村 隆史 拝


                           (リアルタイムにてアップ)