「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

フェリア・デ・BOSAIに思う

2010-10-22 23:07:58 | 国際防災協力
同じレストランで2日間に三度の食事、というのは、
決して主義ではないのだが、
朝食も昨昼・夕食と同じレストランで
ガジョピント(中米風赤飯)と目玉焼き、パンとコーヒー。

集合時間?の7時半を少し過ぎて会場へ。
すでに早い学校(子供たち)は顔を出していた。

フェリア・デ・BOSAI
正式名称は「災害予防活動のためのお祭り」とでも訳すのか、
地元コバノ町の周辺、
7つの小学校の子供たちが集まってのBOSAIイベント。
特に「予防」と明記しているのが嬉しい。
実態は、学芸会か発表会をイメージしてもらえればよいだろう。

スタート直前にようやく式次第が配られ、
(どう考えても目の前で進んでいる現実に合わせたのだろう……)
修正された式次第からも30分遅れで学芸会、ではないフェリアが始まる。

例によって、お偉いさんのご挨拶が続く。
町長、教育省の州事務所、国家災害緊急事態委員会(CNE)、等々。
150人余の子供たちは、どういう思いで聞いたのだろう……。
ついでに言えば、セレモニーで地元コバノの実行委員会の人間が表に出ない。

日本人専門家ということでテープカットの役を頼まれたが、
私一人が「えらいさん」として役を演じるのは「旅の坊主」の主義ではない。
汗をかいたものが、それに応じて評価されるべき、と信じる者ゆえ、

7つの学校を回ってBOSAIの必要性を説いて回り、今日の日にこぎつけた、
コバノ町危機管理委員会のコーディネーターFさん、
教育省のコバノ担当で、上司から許可を得てプロジェクトを具体化させた、
帰国研修員でもあるLさん、
そしてJOCV隊員のOさん、

3人を呼び、
3人に手を添えてもらう形でテープカットする。

フェリアからは多くのことを学ぶことが出来た。

特筆すべきは、帰国研修員でもあるLさんが展開してきた
「学校BOSAI」のコンセプト。

学校のリスクマップを作り、
災害の絵を描かせ、
中長期計画を立て、
学校の模型を作らせた上で、
子供たちに発表させる。

もちろん、
質を問われるならば、いろいろとKAIZENの余地はあるが、
なにはともあれ、
子供たち(=将来の大人)に、
災害(広くリスク)と共に暮らすためのノウハウを説いている訳で、
このことは高く評価したい。

「素晴らしい活動だ!
必要があったら推薦状を書くから、
ぜひ、教育省のHPに載せてもらいなさい。」
とLさんに激励の弁を述べる。

小学生による寸劇もあった。
その中で、テープカットに手を添えてもらった3人がそろって
学校を訪問してBOSAIを説くシーンが出てきた。
よしよし、人選に間違いはなかったな、と。

イベントの運営については、
数多くのKAIZEN点がある。
でも、それらをうまく冊子にまとめられるなら、
横展開の可能性がどんどん出てくると思う。
こういう仕事こそ、我々専門家の仕事なのだろうなぁ、とも。

もちろん、作ったものを押し付けるようではダメで、
彼らと一緒に作るプロセスも大切にしたい。
ドラフトというか、たたき台を作るのは誰の仕事か。
そこは、考えどころであるが。

途中、お菓子と昼食を含み、
何だかんだと13時半過ぎまでフェリアは続く。
優秀学校の表彰と、副賞の授与、
全体写真を撮ってお開きになる。

サンホセへの帰りは、
ニコヤ湾を渡るフェリーを使うことになる。
フェリーに乗りきれない場合もあるとのことで、
後片付けも気になるが、少し先を急ぐ。

対岸の砂州の街プンタレーナスまで
1時間の船旅。
雲に隠れて見えなかったが、
乾季ならばきれいな夕日が見えただろう。

フェリーのデッキで、
4日間お世話になったドライバーRさん、
この秋に日本研修に行くCNEのXさん、
日本語ペラペラのSさんらと、
簡単な反省会。

「JICAの活動のことを誰も知らない」
「コスタリカと日本の国旗があるから、日本の機械メーカーか?と問われた」
など、広報に関する課題が多数出される。
まさに、考えどころであろう……。

先を急ぐSさんらとは別れて、
プンタレーナスのレストランで
かるい夕食。

結局、
朝食を除いたほぼすべての食事をふるまうことになったが、
みんなと気持ちよく意見交換をするためと考えるならば、
安い出費、ということになるのだろう。
(米ドル換算でも日本の半額では済まないコスタリカの物価には
ちょっと考えてしまうが……)

プンタレーナスから1時間ほどで空港近くのホテルへ到着。
いろいろとお手伝い下さったドライバーのRさんとは
ここでお別れになる。
中米流に、お互い、力強くハグして友情と謝意を示す。

有り難いことに、
今宵の宿、ホリデーインエクスプレスにはバスタブがあった。
湯船につかって全身を見る。
虫さされの跡は見える範囲に8つ。何もなかったようなものだ。

それにしても、表向きの価格は220ドルを越えている。
いくら何でも、ちょっとべらぼうではないかい?

数日ぶりだがまともなネット環境があった。
メールチェックやら急ぎの返信やらで夜が更ける。

(10月24日アップ)