「旅の坊主」の道中記:常葉大学社会環境学部・小村隆史の防災・危機管理ブログ

日本唯一の防災学部はなくなっても、DIGと防災・危機管理を伝える旅は今日も続いています。

静かな一日

2008-06-15 23:38:49 | 国際防災協力
 ラストスパートに向けた仕込みの2日目です。辞めさせられた?TDMMOの
スタッフの置き土産である避難に関する14のポイントに当方が追加、合計
17ポイントになりました。多少なりとも地震災害時の避難が抱える問題に
ついて、イメージを持ってくれればよいのですが……。まぁ、すべては明日、
実際にぶつけてみればわかる話です。生産的な議論が展開されるか、反発
を喰らうか。彼らなりにイメージを持ってくれるならば、反発されても一向に
構わないのですが……。

 15時から1時間ほど、明日用の資料を説明しつつ、プロジェクト・マネー
ジャー氏との議論でした。短期的な問題解決方法と、長期的な問題解決
方法。「短期的な対策を考えても、本質的なところでは問題は解決しない」
と言っても、「明日きたらどうするのか?」「彼ら(区の防災担当者)は緊急
対応の人間であって、長期的な解決策(=建物の耐震性の向上)を訴えた
ところで混乱するだけだ」と、つまるところ議論は平行線。ただ、「イランでは、
本震の前に前震があるから(本当かよ?!)、その時に避難すれば助かる」
とは、さすがに言わなくなりました……。

 区(住民は30~50万人くらいでしょうか)の防災担当者が本気で防災に
取り組んでいるのか、正直、極めて疑わしく思っています。予防と応急対応
が完全に分離しており、ほとんど没交渉なのも理解し難い。今日初めて知った
(というよりも無理やり説明させた)のは、市の災害対策本部はともかく、22
ある区にも、その下の市内371のマハレ(Mahalle、単純計算で1マハレ約2
万人)という地域の組織にも、関係機関が集まる防災委員会はないということ。
そういうことは、最初に言ってほしかったよねぇ……。

 どうも、こちらが根拠を示しつつ、「ここはこうなっているはずだが?」とガン
ガン突っ込んでいかない限り、ないものでもあると言うのが、この土地の習い
のようです。そういうことがわかってきたころには、もう日本に戻らなくてはなり
ませんが……。

 そうそう、大きな課題を持ち込まれてしまいました。避難訓練について
アイディアを提供してくれ、とのこと。日ごろから「避難で問題は解決しない」
と言っていることもあり、「旅の坊主」は多くの避難訓練のような本質的では
ない見せるための訓練は好きになれず、正直あまり関心もありません。でも
まぁ、何かを提供しないとさらに「あさって」の方向に訓練が行ってしまうなら……。
3日目はフリーディスカッションで済むかと思いきや、最後の最後まで、使い
潰そうというつもりみたいです。プロジェクト・マネージャー氏本人は、来る
つもりはないのに、ね。

 前日、お疲れで夜9時にはベッドに入っていた川崎さんも、今日はOKとの
ことで、日本人スタッフ3人で夕食。過日行ったGhandi Shopping Center内
のMonsoonまでちょっとしたお散歩でした。たまたま隣のテーブルは、当地
の大学に留学中なのでしょうか、若い日本人の男女でした。声をかけても
よかったのでしょうが、多少訳ありで今回はパスにしました。縁があればまた
会えるでしょう。

 洗濯、メール、本読み、原稿書きと、いつものような夜です。でも、ぼつぼつ
荷造りを始めないと、と思うと、ちょっとさみしいものがあります。また来る
機会はあるかなぁ……。